ちくま文庫作品一覧

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  • 紙の罠
    3.5
    紙幣印刷用紙が輸送中のトラックから強奪された。犯人は紙幣贋造を狙ったのだろう。そんな計画を察知した近藤庸三は贋造に必要な“製版の名人”の身柄を押さえ、紙強奪犯へ引き渡す取引を思い立つ。しかし、同じ企みを持つ土方と沖田、さらに強奪犯の一味も動き出していた……。二転三転する物語の“結末”は完全に予測不能。奇想天外アクション小説が遂に復活。シリーズ続編「NG作戦」併録。
  • 神保町「ガロ編集室」界隈
    3.5
    1960年代末、マンガ、映画、演劇、アート、さまざまな表現分野で変革の波が起きていた。その中心にあった、白土三平「カムイ伝」連載の『月刊漫画ガロ』編集部に本書著者は転職する。そして、長井勝一編集長のもと、つげ義春「ねじ式」、滝田ゆう「寺島町奇譚」誕生の瞬間、林静一、佐々木マキらのデビューの場に立ち会う。その後、北冬書房を設立し今も活動は続く。巻末対談、つげ正助
  • 昭和の洋食 平成のカフェ飯 ──家庭料理の80年
    3.5
    小津安二郎の映画『お茶漬の味』からテレビドラマ『寺内貫太郎一家』、平成のマンガ『きのう何食べた?』『花のズボラ飯』まで、家庭料理はどのように描かれ、作られてきたのか。女性雑誌やテレビの料理番組、そこに登場する料理研究家たちは、どんな役割を担ったのか。日本の社会や経済、家族のありかたが通り抜けてきた、この80年の変化を食生活から読み解く。
  • 旅情酒場をゆく
    3.5
    知らない土地で、ちょっとドキドキしながら、居酒屋の暖簾をくぐるときの期待と不安は何とも言えない旅の楽しみである。地元の人に混じり人情に触れるもよし、静かに酒と料理を味わうもよし。酒場を求めて、山、海、温泉……。観光地や路地裏まで日本各地を旅しながら見つけた、あの店この店。全国24か所を旅した、酒場ルポの傑作。文庫オリジナル。
  • おれたちと大砲
    3.5
    将軍様の尿筒役、草履持、髪結之職に御駕籠之者、馬方爪髪役……代々将軍の身の回りの世話をする家の跡取りに生まれた若者五人。まだ正式に家代々のお役に就けないうちに大政奉還となる。将軍慶喜様をなんとか助けようと端役ながらも東奔西走する彼らを時代は待ってくれるのか。爆笑と哀愁の幕末青春グラフィティ。
  • 適切な世界の適切ならざる私
    3.5
    「だから/おりてこいよ、ことば。」「されば、私は学校帰りに/月までとばなくてはならない。」――学校と自室の往復を、まるで世界の淵を歩くようなスリリングな冒険として掴みとってみせた当時十代の詩人のパンチラインの数々は「現代詩」を現代の詩としてみずみずしく再生させた。中原中也賞と丸山豊記念現代詩賞に輝く傑作詩集が待望の文庫化!
  • 真鍋博の植物園と昆虫記
    3.5
    星新一、筒井康隆、アガサ・クリスティーなど人気作家作品の装画や装幀の仕事で知られる天才・イラストレーターが、社会のあらゆるものを〈植物〉と〈昆虫〉に見立て、ユーモアと風刺を織り込んで描いた40年前の幻の作品集が奇跡の文庫化。機知縦横に生み出されたイラストは、時代を超えて現在の我々の問題にもリンクしており、その普遍的な想像力に驚くばかり――。
  • 父が子に語る近現代史
    3.5
    われわれが生きるこの国のいまは、どこから繋がり、どこに向かっていくのだろうか? 鎖国政策、幕末の動乱、大陸政策から現代社会に至るまで、アジアはもちろん様々な国々と民族からの刺激を受けつつ、「日本人」たちは自国の歴史を紡いできたが――。「唯一無二の正解」を捨て、新たな角度で自分の故郷を再度見つめる。やわらかで温かな日本史ガイド・待望の近現代史篇!
  • 新版 ダメな議論
    3.5
    サラリと重大な主張をする、単純なスローガンをくり返す、偉そうな理論や引用による「厚化粧」……こんな特徴をもつダメ議論が、会議やSNSでまかり通っていませんか? 本書はそれほどの専門知識がなくとも、そんな議論の「怪しさ」を見抜く方法を伝授。実例を交えながら、簡単なチェックリストにしたがって、論理思考を実践する方法をわかりやすく解説いたします。
  • 吉行淳之介ベスト・エッセイ
    3.5
    文学を必要とするのはどんな人か? 紳士の条件はロクロ首になること? 腹が立っても爆発寸前になったときにおもい浮かべる言葉とは? 多くの作家、編集者に愛され、座談の名手としても知られた人生の達人が、戦争や赤線時代の回想から、創作の秘密、性と恋愛、酒の飲み方、四畳半襖の下張「裁判」の法廷私記まで、「水のような」文章で綴ったエッセイ集。
  • 古城秘話
    3.5
    「文化的遺産はすべて、それをめぐる人とのかかわり合いにおいてこそ、後世の人々の心をより強く打つものなのだ」隠密が潜み、裏切りが行われ、亡霊がさまよう。──北は松前城から南は鹿児島城まで、全国三十の古城名城にまつわる秘話裏話伝説記録を、そこに込められた哀しみと憤りと、怨念と呪詛と、闘いとその血汐とともに鮮やかによみがえらせる。
  • 飛田ホテル
    3.5
    社会の落伍者が集まるアパート「飛田ホテル」。刑期を終えたヤクザ者の有池が戻ると待っているはずの妻がいない。有池は妻の足取りを追うが、思いもよらなかった彼女の姿を知ることになる(表題作)。昭和の大阪、光の当たらない暗がりで悲しく交わる男女の情と性。自身も大阪のどん底を経験した直木賞作家が「人間の性」を抉り出す、傑作ミステリ短篇集。
  • オランダ絵図 ──カレル・チャペック旅行記コレクション
    3.5
    故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャペックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1931年、世界ペンクラブ大会出席のためオランダを訪れたときの観察記。運河、自転車、犬、風車、橋、オランダ絵画……。独特の視点からその民族性を抽出し描く手つきは見事。イラスト多数。
  • うれしい悲鳴をあげてくれ
    3.5
    作詞家、音楽プロデューサーとして活躍する著者の小説&エッセイ集。彼が日常に「言葉」を紡ぐと「物語」が生まれる。そこには誰をも魅了する、堪えきれない笑いがあり、ゾクッとする恐怖があり、腑に落ち過ぎるくらいのオチがあり、最後は世界の真理を言い当てられたような不思議な気分にさせてくれる。「言葉」の持つエンターテイメントの可能性を開く1冊。
  • 日本地図のたのしみ
    3.5
    日本地図を鑑賞しよう。「ムカツク」地名や人名にしか読めない地名、不思議な飛び地や奇妙な県境など楽しい発見の宝庫だ。その由来を探れば、地形や歴史、あるいは地図制作者の意図が見えてくる。地図の見方や古地図の味わいなど、マニアならではの目のつけどころを、初心者にもわかりやすく紹介する。「机上旅行」を楽しむ地図鑑賞入門。
  • 消えた赤線放浪記 ──その色町の今は……
    3.5
    戦後間もない昭和21年に定められ、かつて日本のいたるところにあった「赤線」は昭和33年に廃止された。ところが地域によっては様々な風俗産業の業態に姿を変えながら、現在に至るまで賑わいを続けている。全国各地の元赤線地帯を訪ね、風俗産業の栄枯盛衰と、そこで働く女性たちの声を書きとめることで「赤線後の色町」を浮かび上がらせた貴重な記録。新取材の書き下ろしと未発表写真多数収録。
  • 実話 怪奇譚
    3.5
    何が彼らの人生を狂わせたか。私たちはいつまで正常を保てるのか……。日常が崩れはじめると、何気ない悪意は増大して、不条理な狂気へと一直線に突き進む。陰惨な殺人の現場に立って未解決事件を推理し、さらに近親相姦やカニバリズムなど、タブーを破ることへの甘美な欲求を想像する。現代のダークサイドを直視する怪奇評論。
  • 増補現代思想のキイ・ワード
    3.5
    ドゥルーズの「リゾーム」、フーコーの「脱中心化」、バタイユの「蕩尽」、デリダの「ディコンストラクション」。80年代のニューアカデミズム、ポストモダンとは何だったのか? 世界を席捲した現代思想のキイ・ワードが、20年の歳月をへて、今よみがえる。新たに第5部を書き加えて、21世紀の思想状況に斬り込む「増補決定版」が、ここに登場! 現代思想はいま、どの地点にまでたどりついたのか。
  • クリスマス・ブックス
    3.5
    イギリス風ペーソスとユーモアで繰りひろげられるクリスマスのお話二編。原書の持つ雰囲気を生かした落語調の翻訳で、また違った味が楽しめる名作「クリスマス・キャロル」。クリスマス本の二冊目として熱狂的に迎えられた「鐘の音」。風刺雑誌『パンチ』の画家として有名なジョン・リーチらの、幻想性に満ちた挿絵と現実が奇妙に溶けこんだ不思議なファンタジーをどうぞ。
  • アダルト系
    3.5
    死体清掃や盗聴、身元調査にブラックジャーナリズム、さらにはパンチラ、AV、風俗、ノーパン喫茶、女装にデブ専・フケ専、刺青、浣腸などなど……。オトナじゃないとわからない世界にハマる、いまいちオトナになりきれない人々の知られざるディープな生態を徹底的にリポートする。
  • コメント力――「できる人」はここがちがう
    3.5
    職場でもプライベートでも、毎日のようにコメントをすることが求められている。そんな時、切れ味がよく、自分のオリジナリティのある一言を言えるかどうかで、「おもしろい人」「できる人」だ、という評価が決まってしまうのである。この本では、優れたコメントの例を挙げ、どこがどう優れているのかを、クイズ形式で納得していくことができる。そうすることで、そのコツをつかみ、「コメント力」を意識化して磨いていくことができるのである。文庫版のための長いエピローグを付す。
  • 巷談 本牧亭
    3.5
    東京・上野の本牧亭は、落語や講談の中心地として、人々に親しまれていた。そこにつどう落語家、講談師、なじみの客たち、そしてあるじ。客席、舞台、そして楽屋うらが一体となっての、ちょっと哀愁をただよわせた人間模様。芸を愛し育てた人々が住むどこか懐かしい別世界の物語。第50回直木賞受賞作。
  • 倒壊――大震災で住宅ローンはどうなったか
    3.5
    住宅ローンの制度ができてから、初めて大都市圏を襲った地震から十年。建替? 補修? 自己破産? ダブルローン? 被災地の人々にはどんな選択があったのか。「解体」には全額補助、「補修」にはゼロ、その裏に働いていた思惑とは? ―そして十年後の住宅政策の大転換とは? いま、明らかになるこの国の驚くべき実態。
  • 別世界通信
    3.5
    J.R.R.トールキン、H.G.ウェルズ、G.マクドナルド、ウィリアム・モリス等さまざまな別世界を求めて冒険の旅に出た作家たち。ファンタジーという巨大な宇宙に憑かれ、妖精郷に遊び、世界言語を創造し、ユートピアをさまよう偉大な先人たちの旅の跡を辿り、永遠に色あせない別世界へ誘う夢先案内の一冊。
  • 徳川家康(上)
    3.5
    1~2巻1,045円 (税込)
    戦国時代に終止符を打った家康が師と仰いだのは「地味な超人」毛利元就だった。人質時代から関ヶ原の戦いまでの苦難の軌跡をさまざまな角度から検証する。
  • グリム童話(上)
    3.5
    1~2巻770~935円 (税込)
    グリム兄弟はドイツ語辞典(つまりドイツの「国語辞典」)を編纂したことからもわかるように、自分たちが使っているドイツ語の生きた姿をとどめることに力を注ぎました。彼らがまだ学者の卵だったころ、小さな街の薬局で働いていた住み込みのマリーおばさんから昔話を聞いたことから話の採集が進み、『グリム童話集』として集大成されると世界中に広まり大ロングセラーとなりました。(上)には幼い兄妹の冒険譚「ヘンゼルとグレーテル」など32編を収録しました。
  • かげろう忍法帖 ――山田風太郎忍法帖短篇全集(1)
    3.5
    「どんなきっかけで時代錯誤な忍術物語を書きはじめたのか、じぶんでも忘れてしまったが、いまくびをひねって思い出してみると、どうやら「水滸伝」を私流に書いてみないかとすすめられたことが端緒となったような気がする」(「『今昔物語集』の忍者」より)。風太郎忍法帖の多彩さの極みは短篇にある。長らく読めなかった短篇を多数収録するシリーズ第一弾。
  • 辰巳屋疑獄
    3.5
    大坂の炭問屋「辰巳屋」は、正徳のころ掛屋(大名相手の金融業)も営む豪商であった。手代460人、家財200万両(現在の2000億円相当)という大企業に跡継ぎ問題が起こると、大坂じゅうの商家、江戸幕府や武士役人の世界、京の公家の世界をも巻き込む一大疑獄事件へと発展した。大岡越前守の日記に登場する史実をもとに、奉公人・元助の目を通して事件のてんまつを描く。
  • 大江戸歌舞伎はこんなもの
    3.4
    著者が30年間惚れ続けている大江戸歌舞伎。誰も見たことのない100年以上前の歌舞伎とはどんなものだったのか? 歌舞伎の定式、専門用語とは? “時代”と“世話”とは? 顔見世狂言とは? などなど、江戸の歌舞伎の構造を徹底解説。人気狂言『兵根元曽我』はなぜ何ヶ月も何ヶ月もロングランしたのか?? 粋でイナセでスタイリッシュな江戸歌舞伎の世界へようこそ。
  • 古本で見る昭和の生活 ──ご家庭にあった本
    3.4
    一世を風靡し大量に出回ったベストセラーや、生活に密着した実用書など、どこの家庭にもあったような本は古書店では二束三文だ。だが、これら古書値もつかない、捨てられた本や忘れられた本にこそ、時代を映しだす面白さがあるのだ。宴会でのかくし芸に悩むお父さん、まだ珍しかった女性ドライバーの話……。古本ライターが雑本の山から昭和を切り取る。
  • 北欧の旅 ──カレル・チャペック旅行記コレクション
    3.4
    故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャベックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1936年、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った記録。船と鉄道と車で、原始の面影を残す森やフィヨルドをたどり、壮大な自然と素朴な人間の暮しを感動いっぱいに描く。イラスト多数。
  • ある日のメニュー ──絵のあるレシピ
    3.4
    フランス人のマダムが昼ごはんに作るにんじんのサラダ、サンフランシスコで出会ったブロッコリーのあつあつパスタ、山菜尽くしの秋田の朝食。はっとした「おいしい」記憶は、いつしかわが家の得意のメニューに。たくさんのイラストとともに綴られる堀井さんちのふだんのメニュー。
  • 出久根達郎の古本屋小説集
    3.3
    古本屋店主にして作家となった出久根達郎。その古本小説のなかから傑作を選び出したアンソロジー。少年時代の本との出会い、下町の古本屋での修業時代、独立後の苦労など、著者自身の体験を作品化したもの。本に憑りつかれた人々の妄執の凄まじさ、一冊の本に込められた思い、人と本が織りなす様々な人生模様を描いた作品23編を収録。オリジナル・アンソロジー。
  • 無言板アート入門
    3.3
    誰かがなにかの目的で立てたはずなのに、雨風や紫外線などの影響で文字が消えてしまった街角の看板たち。そんな“もの言わぬ看板”=「無言板(Say Nothing Board)」を、作り人知らずのストリートアートとして鑑賞する。美術評論家である著者が、まち歩きの道すがらに発見、収集した路上の芸術をカラーで約200点収録&解説。これを読めば、いつものさんぽ道がまったく新しい美術館に見えてくる!
  • 平成古書奇談
    3.3
    フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作集。平成の隠れた古書ミステリが初書籍化。日下三蔵氏による編者解説も併録。
  • 中央線がなかったら 見えてくる東京の古層
    3.3
    「中央線がもしなかったら?」そう考えて街を見てみれば、そこにはいつもと違った景色が現れる。中野、高円寺、阿佐ヶ谷、国分寺・府中、日野……沿線の街を地形、水、古道、神社、商店街に注目して歩けば、古代・中世が見えてくる! 鉄道中心の視点を脱し、土地を見る目を養う「まち歩き」最高の入門書。地形がよくわかるカラーマップ付。近年の中央線沿線の変化をめぐる対談も新たに収録。
  • ゲーム理論を読みとく ──戦略的理性の批判
    3.3
    数学と物理学の天才フォン・ノイマンや映画「ビューティフル・マインド」で話題を呼んだジョン・ナッシュが創始したゲーム理論は、社会のどの分野でも見られる協調と対立の現象を数学的モデルで厳密に分析することを目指し、ビジネスの現場から国家戦略まで多くの分野で影響力を発揮してきた。しかしそうした考え方は大きな壁にぶつかっている。いまや現代社会科学の支配的パラダイムにまでなりつつある「戦略的思考」のエッセンスと広がりを描くと同時に、そこから脱出する道をさぐる。
  • ふるさとは貧民窟なりき
    3.3
    板橋の貧民窟・岩の坂で育った社会派ルポライターが綴る、壮絶で切ない、怒涛のような少年時代の思い出。木賃宿・長屋の住人。梅毒で鼻が無い“フガフガのおばさん”、正体不明のインテリ「ゴライ博士」、ヒロポン中毒のマアちゃん、初恋のパンパンガール……。強靱で、悲惨で、温かで、そして何より自由だった戦中戦後の「東京スラム」を、深い郷愁を込めて描く。
  • 仏教のこころ
    3.3
    かつてインドに「仏教」はなく、「ブッダの教え」「ブッダの考え」があった。はたして「ブッダの教え」とはいったいなんだろうか。「仏教」とは違うのだろうか。人々が仏教に求めているものとは何なのか、仏教はそれにどう答えてくれるのか、著者の考える仏教のすがたをまとめた文章に、河合隼雄氏、玄侑宗久氏との対談を加えた一冊。
  • ビール世界史紀行 ――ビール通のための15章
    3.3
    5000年以上の歴史をもち、世界中で飲まれているビール。メソポタミアでの発祥、修道院でのビール造り、そして日本への伝来まで、そのルーツと歴史をたどる。エールとラガーの違いなど、ビール好きなら知っておきたい知識もまじえ、ビールとその歴史を学ぶための決定版といえる一冊。便利な「ビール小事典」付き。
  • 迷信博覧会
    3.3
    たとえば「鬼門」、たとえば「十三日の金曜日」、あるいは「媚薬」。今となってはただコッケイな昔の話から、身近に残るちょっとこわいことがらまで、迷信のパワーはすごくて、魅力がある。―「どうでもいいことの力」「役に立たない知識の面白さ」をしみじみ感じさせる、変り種の百科全書。
  • 名曲三〇〇選 ――吉田秀和コレクション
    3.3
    グレゴリウス聖歌やルネサンスの音楽から、ブーレーズ、シュトックハウゼンらの現代音楽まで―音楽史の流れをたどりながら、きくものに忘れがたい感動をあたえる傑作300曲を選び、文化や芸術への深い洞察に満ちた解説を加える。音楽の限りない魅力と喜びにあふれる「名曲の歴史」。
  • ヒトの見方
    3.3
    解剖学者の仕事はモノを見ること。じっと見ては考える。ヒトの顔はどうしてみな違うのか? ヒトにはなぜヒゲがないのか? 対象だけでなくそれを見ているヒトをも視野に入れて考える。『ヒトの見方』は、見えているモノがなにかというより、それがどう語られたかに注目するところから生まれたヒトの博物誌なのです。還元主義に陥った現代自然科学に苦言を呈し、生物進化に新解釈を導入し、昆虫採集の楽しみを語る。簡潔にして明快、現代最高の知性ならではの科学エッセイ集。
  • アジア おいしい話
    3.3
    あぁなんておいしい! と舌鼓を打つ時、その料理の向こうにあるおいしさの秘密を知りたくなる。固いごぼうやにんじんをふんわりと仕上げるベトナムのおろし金、蒸し焼きには欠かせないバナナの葉、煮えた野菜とココナッツ殻のしゃもじとの絶好の相性……。アジアを旅して、あちこちの家の台所や店の厨房、市場の軒先、路上の雑貨屋で見て、聞いて、教わった、おいしさのコツ。
  • 明治・大正・昭和 不良少女伝 ──莫連女と少女ギャング団
    3.2
    明治から戦前昭和の転換期に、社会の規範を超え、自由に生きた少女たちがいた。彼女たちは、不道徳と破廉恥の代名詞として「莫連女」「バッド・ガール」と呼称された。良妻賢母型の女性モデルが賛美された時代に、早熟な彼女たちは、何に反抗し、何に憧れたのか? すれっからしの不良少女たちが帝都を跋扈する様子を生き生きと描き、近代少女の真実に迫った快列伝。
  • 雨の日はソファで散歩
    3.2
    「雨が降っている。外へ出るのが億劫だ。車もない。あっても運転できない。こんなときはソファに寝ころがって行きたい町に本の上でつきあわしてもらうのが分相応というものだ。では、どこへ行くか。……」(本文より)稀代のエンサイクロペディストが自ら選び編んだ最後のエッセイ集。
  • 癒しのチャペル
    3.2
    勝ち組負け組がはっきりした生きにくい世の中で、癒しを求めていろいろな場所やものを訪ねた「第1章癒しの礼拝堂」。勝ち組トップ、だれもが羨むセレブとはいったいどういう人たちなのかを観察した「第2章こんにちはセレブ」。どんなときでも逞しく! 「第3章ポジティブシンキングコミック アミー」。3章立てで世の中と自分を笑い飛ばす、もしくは、ブラックにこっそり笑う辛酸なめ子の真骨頂。
  • アーサー王ロマンス
    3.1
    戦いと愛と聖なるものを主題に繰り広げられる一大中世英雄ロマンス。円卓の騎士たちと聖杯探求の旅、王妃グィネヴィアと湖の騎士ランスロットとの恋、トリスタンとイゾルデの悲恋など、神秘と謎に満ちた英雄の物語の数々。そのエッセンスのすべてをきわめて分かりやすく凝縮した、アーサー王伝説の入門にうってつけの一冊。
  • 原理運動の研究
    3.0
    安倍元総理銃撃事件を契機に注目を集めた統一教会。日本での活動の歴史は60年以上もさかのぼる。1970年代には統一教会の影響下にあった原理研究会が全国の大学で組織活動を広げ、大きな社会問題となった。強引な勧誘、募金、集団生活……。それは家族も巻き込んで多くの悲劇を生んだ。本書はいち早く原理運動に警鐘を鳴らし、社会に衝撃を与えた歴史的名著といえる。
  • 小津安二郎と七人の監督
    3.0
    若くして映画の道に入り、撮影助手を経て助監督となり、24歳で監督となった小津安二郎。移動撮影やオーヴァーラップやパンをせず、ローアングルから撮ったショットを積み重ねる静的映像をどのようにして確立していったのか。憧れのルビッチ、同時代に影響し合った溝口健二や五所平之助、清水宏、成瀬巳喜男、木下惠介、加藤泰ら7人の監督との関わりを軸に小津安二郎の映画作りの極意を描きだす。
  • 貸本屋とマンガの棚
    3.0
    60数年前、人々は貸本屋から本を借りて読むことが、ささやかな娯楽だった。とくに貸本マンガと呼ばれる作品群は、子どもや若い労働者たちの心をつかんだ。そのなかには若き日の白土三平、つげ義春、さいとう・たかを等の作品があった。戦後社会のあだ花のように咲いた貸本文化の全貌に迫る!『貸本マンガと戦後の風景』を改題・文庫化。
  • 北山耕平青春エッセイ集 ──抱きしめたい
    3.0
    1970年代『宝島』編集長として、『POPEYE』アメリカ特派員として、カウンターカルチャーの先駆者となり、ネイティブアメリカン文化を紹介してきた著者が、20代編集長時代までを描き、自由な生き方を伝える。『抱きしめたい』から60‐70年代の息吹を、『雲のごとくリアルに』から時代を切り開く編集者時代の話を収録。
  • 増補改訂版 「アニメ評論家」宣言
    3.0
    あの名作は、なぜ面白いのか? 『カリオストロの城』の「ルパン」像の新しさ、押井守監督作における乗り物の役割、『パーフェクトブルー』の背景美術はなぜリアルに描かれたか……。1968~2004年までに公開されたアニメ作品を中心に、ユニークな視点と、アニメの表現技法・製作現場・歴史への深い知識をもって語りつくす。アニメの見方を変える傑作評論、大幅に増補改訂して待望の復刊!
  • 病める母親とその子どもたち ――シック・マザーを乗り越える
    3.0
    うつや不安障害、パーソナリティ障害など、近年増加する子育て世代の心の病。不安定な親に育てられる子どもたちは、発達や人格形成において、どのような困難に直面しているのか。世代を超えて連鎖する悲劇を断ち切るには何が必要なのか。精神科医として、特に「愛着」の問題に取り組んできた著者が、生きづらさを抱える母と子、双方の葛藤に寄り添い、克服の道を探る。
  • テュルリュパン ――ある運命の話
    3.0
    17世紀パリ、ルイ13世の宰相リシュリュー枢機卿は貴族勢力の一掃を決意し、陰謀をめぐらしていた。一方、運命がその企てを阻止するため選んだのは、自らを高貴の生まれと信じる町の床屋テュルリュパンだった。フランス大革命の150年前に画策された共和革命という奇想、時計仕掛めいたプロットがきりきり動いて物語は転がり落ちるように展開していく。稀代のストーリーテラーによる伝奇歴史小説。
  • 日本語で書くということ
    3.0
    〈書く〉ことは〈読む〉ことからしか生まれない。小説には収まりきらない世界がここにある。水村作品を紐解くエッセイ&評論集、待望の文庫化。小説をこよなく愛した少女は、10代でアメリカへ移住、異国の地で大学院に進み文学に勤しむことになる。その生活は、おのずとグローバル(=英語)な世界で“日本語”を外から見るという経験となり、のちの作家活動へ多大な影響をもたらすこととなった。本書は、文筆活動最初期の文章から漱石や谷崎に関する文学論他、著者だからこそ描くことのできる日本の文字文化に対するエッセイ&批評文集。
  • 日本語で読むということ
    3.0
    『日本語が亡びるとき』はなぜ書かれることになったのか? そんな関心と興味におのずから応える1990年代から2000年代の間に書きつづられたエッセイ&批評文集。文庫版あとがきを加えて待望の文庫化。12歳でのニューヨークへの移住、パリでの留学生活、子供時代からの読書体験、加藤周一や辻邦生ら先達への想い――。英語ばかりの世界で過ごした著者にとって“日本語”で“読む”とはどんなことなのか。
  • 輝け!キネマ ──巨匠と名優はかくして燃えた
    3.0
    日本映画の黄金期を支えた、巨匠と名優たち。小津安二郎と原節子、溝口健二と田中絹代、木下惠介と高峰秀子、黒澤明と三船敏郎。ゴールデンコンビによる数々の名作。その誕生の裏に隠された壮絶な人間ドラマとは? NHK第2「カルチャーラジオ」で好評を得た「日本映画の黄金期を支えた監督とスターたち」を大幅に改稿した、文庫オリジナル。
  • 女将さん酒場
    3.0
    日本のオーナーシェフの世界は圧倒的に男社会、飲食の仕事は肉体的にも精神的にもハードで、結婚や出産などライフステージが変わりやすい女性には務まらないと。そんな厳しい世界に飛び込み、生き生きと活躍する女性料理人がいる。彼女たちはなぜ料理の道を志したのか、その決断を支えたものは。飲食に生きる人生を選んだ彼女たちの想いや喜びを丁寧に描いた、すべての働く女性たちへのエール。
  • カルト資本主義 増補版
    3.0
    「超能力」「永久機関」……オカルト研究に投資する企業を徹底取材したノンフィクションの傑作! バブル崩壊以降、日本の企業社会が傾斜していった研究とは? ソニーの中にあった「超能力」研究所。「永久機関」に投資する商社。これらの現象は深層で繋がっていた。現在の政治社会におけるカルト状況について新たに取材、序章、最終章分を書き下ろした。
  • 住み開き 増補版 ──もう一つのコミュニティづくり
    3.0
    部屋を開いて人と繋がる場所にする「住み開き」は、コミュニティづくりのヒント満載。自宅の一部を博物館や図書館にしたり(「少女まんが館」「さわ洞窟ハウス」)、古民家や元店舗を改装してシェア生活したり(「ギルドハウス十日町」「たむろ荘」)、共同育児やシニア世代の交流の場としても。東京・大阪ほか約30軒に新たな7軒を増補。対談:三浦展、松本哉、山下陽光、田中恒子。
  • わたしの中の自然に目覚めて生きるのです 増補版
    3.0
    毎日の小さな悩みにも、生き方の岐路に立ったときにも、自分の中の自然が答えてくれる。孤独からエイジングまで。恋愛から子育てまで。「問題が発生したときに」「呼吸のこと」「うつくしさとは「ムハ力」なのだ」「友だちがほしいなら」「性行為のこと」「こうだと決めることが魔法」など、心身にも人間関係にも役立つ知恵の宝庫。文庫のための書き下ろしも!
  • 一人盆踊り
    3.0
    徒党を組まず、何者にもおもねらず、孤絶と背中あわせの自由を生きる歌手・友川カズキ。詩人、画家、俳優、競輪愛好家の顔ももつ。その狂気と諧謔に満ちた独特の表現は、自他への怒り、故郷への追憶と悔恨、酒を介した友との交流、それらの蓄積から生み出される。「血だらけの魂を剥き出しにして生き抜いてきた」男の新旧の随筆と詩篇を精選採録。
  • ふたりの平成
    3.0
    「おちょくりガイのある女は好きだ──昔っからそれだけで生きてたから」という橋本治と「大人宣言したい。私たちの戦後民主主義と全共闘体験を総括したい。きちんと昭和に決別したい」と意欲を燃やす中野翠の過激で知的な対談集。昭和の終わり、平成のはじまり、そして平成七年の大事件──阪神大震災、オウム事件まで、社会の姿をみつめ分析する。
  • 増補 頭脳勝負 ──将棋の世界
    3.0
    弱冠20歳で「竜王」となり、その後もトップ棋士であり続ける著者が、将棋にまつわるすべてを本音で語り尽くす。駒の動かし方、将棋界のしくみから、進化するコンピュータとの対戦、対局中の心理、休日の過ごし方まで、今明かされる棋士の頭の中! 名勝負として名高い、羽生善治四冠(当時)との第21期竜王戦第4局の貴重な自戦記を増補し、待望の文庫化。
  • キオスクのキリオ
    3.0
    とある郊外の駅のキオスクに勤めるキリオは関西弁の中年男。彼は訪れるさまざまな人と、「袖すり合うも多生の縁」を持ってしまう不思議な男だ。本人にはその気が無いのに、結果としてはなぜか人生相談になり、妙に深い関わりを持つことになる。人徳か? 脇が甘いのか? 連作短篇集。
  • 名字の謎
    3.0
    珍しい名字にはれっきとした由来がある。名字で全国の歴史や民俗が新たに見えてくる。ユニークな名字の成り立ちから日本の名家の誕生まで、名字にまつわるあれやこれやの話題を網羅した画期的な書。コウノさんとカワノさん、同じ地域でなぜ違う? 「鬼」のつく名字は海賊の末裔? 三人に二人が「長屋さん」の村など、なるほど納得、笑える仰天エピソード満載。
  • 田中小実昌ベスト・エッセイ
    3.0
    牧師の家に生まれ、戦争では死にかけ、東大に入学しながらストリップ劇場に転がり込んだ男、田中小実昌、通称コミさん。香具師をやったり、米軍基地で働いたりしながら翻訳や創作を始め、いつの間にか直木賞作家に…?! そんなコミさんの、人に優しく「物語」に厳しいエッセイを精選。入門編にして決定版! コミさんの「目」は、今も輝きを失っていない。
  • 文壇挽歌物語
    3.0
    石原慎太郎の華々しい文壇への登場とそれに続く太陽族ブームは、出版界に大きな影響を与える事件となった。敗戦からの復興とともに、旧体制の変革が急激に進行しつつあり、かつて栄華を謳った文壇もその例外ではなかった。編集者の目から眺めた戦後昭和文壇史の舞台裏。好評の『文壇うたかた物語』『文壇栄華物語』につづく“文壇三部作”の完結編。文庫版のための書き下ろし「補説」を増補。
  • にっぽん洋食物語大全
    3.0
    トンカツ、コロッケ、ライスカレーの発明、戦争が需要を増大させた牛肉・豚肉、白くて気味悪がられた西洋野菜・白菜、数々の文豪を虜にしたアイスクリーム、明治天皇と福沢諭吉がPRに一役買った牛乳──。素材・料理法からテーブルマナー、はては食堂車まで、日本人は如何にして西洋食を取り入れ、日本独自の食文化「洋食」として育て上げたのか。
  • 混浴と日本史
    3.0
    温泉列島・日本に花開いた混浴文化。常陸風土記にも記されるなど、長い歴史のなかで、庶民の日常生活の一風景となった。宗教や売春の場となったり、権力から弾圧されたり、多様な面を持つ。明治以後、西欧文明の波が押し寄せ、不道徳とされながらも消えずに残った混浴。太古から現代まで、混浴が照らす日本人の心性に迫る。図版多数収録。
  • 新版 女興行師 吉本せい ──浪花演藝史譚
    3.0
    大正時代大阪演藝界を席捲した“吉本興業部”──現在の吉本興業の土台を作り上げた希代の名プロデューサー吉本せい。夫との死別後、弟たちと力をあわせて社業を盛り立てた60年の生涯を辿りつつ、桂春団治、エンタツ・アチャコら芸人たちの藝と生き方、「落語から漫才へ」と動く関西演藝の激動期を鮮やかに描く。NHK連続テレビ小説『わろてんか』主人公のモデルになった女社長の一代記。
  • ぼくの東京全集
    3.0
    小説、紀行文、エッセイ、評伝、書評、詩、俳句。「新東京感傷散歩」でデビューして以来60年以上の文業において、作家は一途に「東京」を歩き、書いてきた。焼跡の鮮明な記憶、銀座に暮らした幼少期の思い出、佐多稲子や辻征夫の作品と人生、「千人斬」松の門三艸子……闊達なユーモアと確かな観察眼で、町とそこに生きる人々を描きだす。『東京骨灰紀行』著者の集大成。
  • 吉本隆明という「共同幻想」
    3.0
    吉本隆明は戦後最大の思想家!? 「学生反乱の時代」には熱狂的な読者を生み、多くの言論人が影響を受けた。だが、彼ら彼女らは吉本思想を「正しく」読み取っていただろうか? 「マチウ書試論」、転向論、「大衆の原像」論、『言語にとって美とはなにか』、『共同幻想論』など難解な吉本思想の核心を衝き、特異な読まれ方の真実を説く。補論「吉本隆明に見る“信”の構造」を収録した増補決定版!
  • 呑めば、都 ──居酒屋の東京
    3.0
    赤羽・立石・西荻窪──。古き良き呑み屋街にはそれぞれの歴史がある。アメリカ生まれの著者が酒のグラスの向こうに見たのは、闇市のにぎわう猥雑でエネルギッシュな東京の姿だ。歴史探索とはしご酒という二重の“フィールドワーク”を敢行し、居酒屋文化に頭脳と肝臓で切り込んだ渾身のノンフィクション。
  • がんがん焼肉もりもりホルモン
    3.0
    まずはロースにカルビにタン、それから……ミノにハチノスにコブクロ、テッチャンも追加してーっ。焼肉・ホルモンを食べると、暑さも寒さもヘッチャラ、夏バテ、風邪、ジメジメ季節の陰鬱な気分さえもブファーと吹き飛ぶ。おいしい店の見分け方から肉の名称図解まで。煙もくもくの中、熱々の肉を頬張れば、パワー全開、鼻息ふんふん。
  • 定食バンザイ!
    3.0
    量たっぷりなのに爆安。栄養バランスもバッチリ。さらにやみ付きになる味を醸す――。そんな定食を探して見つけて、ご紹介しましょう。巨大なおかずに感動し、お代わり自由の店では丼飯3杯を平らげて、ベルトを緩める。畸人研究学会主幹による主観的な定食ガイドブック。気になる人気店の思い出から見知らぬ街で良店を発見する極意まで。
  • 隠れ念仏と隠し念仏 ――隠された日本 九州・東北
    3.0
    五木寛之が日本史の深層に潜むテーマを探訪するシリーズ「隠された日本」の第2弾。九州には、かつて一向宗が禁じられ、300年もの間の強烈な弾圧に耐えて守り続けた信仰、「隠れ念仏」の歴史がある。それに対して東北には、信仰を表に出さず秘密結社のように守り続け、「隠す」ことで結束した信仰「隠し念仏」がある。為政者の歴史ではなく、庶民の「こころの歴史」に焦点を当て、知られざる日本人の熱い信仰をあぶり出す。
  • 諸葛孔明
    3.0
    『三国志』の主人公の一人である諸葛孔明。三国時代(二二〇~二八〇年)、蜀の宰相として活躍した彼は、曹操の魏や孫権の呉に比べて劣勢だった蜀の勢力を拡大し、主君の劉備亡き後も、縦横無尽の機略によって支えた。以来、二千年を経た今日まで「戦略家」「参謀」の天才として語り継がれている。基礎文献を丁寧に紹介しながら、稀代の軍師の素顔と事績に迫る。
  • 最後の幕臣 小栗上野介
    3.0
    幕末の外国奉行・勘定奉行・陸軍奉行・海軍奉行を歴任した小栗上野介。鎖国論が根強い幕閣にあって、一貫して海外との交流を主張し、常に世界と時代の行方を見据えていた。逼迫する財政を支えながら、西洋から産業・貿易・金融の制度や技術を移入し、近代軍隊の育成に努めるなど、その手腕は幕政全体に及んだ。しかし、この知略溢れる主戦論者に不安を抱く倒幕軍は、小栗追討令を出す――。江戸末期の政権を背負い、次代を準備した孤独な男とその一族の悲劇を描いた力作。
  • 笑う茶碗
    3.0
    耳を澄ませばウグイスが鳴いているし、草笛をねっしんに吹く人もいる。カラスがマヨネーズのふたを開けられないし、鈴虫がケンカの仲裁をする。たまには梅の花や蓮の花の香りを聞いて、蛍や流れ星を見た夜もある。そんな二人のなんでもない日常がしみじみ笑えて面白い。笑う探検隊・シンボー夫妻の、茶碗も笑うエッセイ集。
  • 落語手帖
    3.0
    世界に稀有な「落語」という芸が、ひとつの頂点を極めていた昭和30年代中期。落語に淫した随筆の名手が、その楽しさを愛惜をこめて描く。客席から見た、昭和の名人たちとその芸。落語があざやかに人間を描く様。服飾や食べ物、特殊な言い方など、知っていればさらに落語鑑賞の愉しみが深くなる知識。現代の落語ファンも必読の一冊。
  • じろじろ日記
    3.0
    赤瀬川さんはどこでもじろじろしている。いつでもじろじろしている。すると、カラスはなぜ黒いのか、とか、函館の建物はなぜモスグリーンにぬられていたのか、とか、ニッサン・パオはなぜ「どことなく」違うのか、という大テーマがわいてきて、きっとこういうことなんだ、という答えまでわいてきてしまうのです。ヒトのこともモノのことも、今のことも昔のことも、目に飛び込んでくるものにはみんないわれがある。見ることの面白さ・楽しさを存分に味わえる極上の観察エッセイ。
  • ごちそう探検隊
    3.0
    九州に住んでいた少年時代、納豆は幻の食べ物だった。甘納豆から甘を取った納豆ってなんだろう? 機内食はどうしても飛行機に乗らなければ食べられないのか? 究極のグルメは、やっぱり点滴だと思う――。三井物産へ行って、ふかふかの絨毯に驚いたり、回転寿司を食べながらスケールの大きなことを考えたり、ヤクザの人に追いかけられた末に、牡蠣鍋を食べたりと、好奇心と食欲のおもむくままに綴ったエッセイ。赤瀬川流グルメワールドが、多数のイラストを添えての大展開。
  • 幕末辰五郎伝
    3.0
    江戸市中に組織された町火消を束ねる頭、「を組」の新門辰五郎。気風がよくて、豪胆そのもの。ひょんなことから御三卿一橋家の慶喜、後の十五代将軍徳川慶喜と知り合った。頻繁に出入りするようになった彼は、屈強な子分たちを率い「殿さん」の身辺警護を買って出て、最後まで佐幕派の義理を守り通した。慶喜と市井の侠客新門辰五郎との身分や年齢を超えた交情を軸に、荒れ狂う幕末の人間模様を描く。
  • 骨董屋(上)
    3.0
    19世紀、イギリス産業革命の激動の時代を背景に、祖父に引きとられた純情無垢な少女ネルの辿る薄幸の生涯を描く大作。祖父は骨董屋を経営していたが、ネル可愛さの余り一獲千金を夢見て賭博に手を出し、破産してしまう。骨董屋は高利貸クウィルプに差し押えられ、ネルは老人とロンドンをあとに、あてどない旅に出る。美と醜、善と悪、さまざまな対立を描きながら、波瀾万丈の物語の幕が上がる。
  • 競馬の国のアリス
    3.0
    とある日曜日、源一郎さんがおもしろいところへ連れて行ってあげようと言い出した。「どこどこ?」「ケイバジョウ」ふむ、そいつはおもしろそう。(本文より) 明るいコース、すらりと美しい脚をした馬、ぴかぴか光る鮮やかなサテンの勝負服の騎手……。「競馬の国」へ一歩足を踏み入れたとたん、その魅力の虜となった。カシマウィングの成長に驚き、美しいホクトヘリオスに惚れ、オグリキャップの引退レースに涙する。馬券のあたりはずれにこだわらず、愛する馬を応援し、レースをまるごと楽しむ競馬エッセイ。
  • 小説東京帝国大学(上)
    3.0
    1~2巻770円 (税込)
    「帝国の大学」として数多くの指導者を養成し、日本近代史の原動力となった東京帝国大学は、学問と政治・社会との関わりや、権力と思想の自由の問題にどう対処してきたのだろうか。ムーアヘッド『倫理学』中の「弑逆」の解釈に端を発した「哲学館」事件や、桂太郎内閣の対露外交を批判して国論を二分することになった七博士の“日露開戦論”などを扱い、明治体制の確立を描く。
  • 城昌幸集 みすてりい ―怪奇探偵小説傑作選4
    3.0
    ショートショートの先駆者であり、怪奇探偵小説の分野で多くの掌編小説を残した城昌幸。小さな作品ひとつひとつに見られる驚くべき発想の奇抜さ、ときに詩的な雰囲気を漂わせる文章の流麗さから、江戸川乱歩をして「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と言わしめた作家の、自選傑作集「みすてりい」を中心に、魅力を網羅した一冊。
  • おとこくらべ
    3.0
    「表を作りましょうか。おとこくらべ一覧。……」。樋口一葉が極貧の中、家を訪れる男たちを値踏みして書きとめた「おとこくらべ」一覧の話。「怪談」を生んだ小泉八雲は、「紫の一本、見ました」と言っては妻の躯を求めた。夏目漱石、有島武郎、芥川龍之介、北原白秋…明治の文豪の性と死をユーモアと博識で綴った6篇。
  • 勉強ができなくても恥ずかしくない
    3.0
    自分で考えて根本がわからないと前へ進めないケンタくん。クラスで独りぼっちだったが、あるきっかけで「ずっと幸福で、生きてるだけで忙しい」毎日を経験し、次第に自信をつけていく――。勉強の本当の意味は?いちばん大切なことって?子供の気持ちで感じ、やさしい気持ちいっぱいで涙する自伝的小説三部作・全収載。
  • おせいさんの落語
    3.0
    抱腹絶倒! おせいさんの創作落語の数々。不良老人に、女房の尻に敷かれっ放しの甲斐性なし野郎ども、妻に家出され、すずめを女房にした男……。どこかに有りそうな話から、荒唐無稽な話まで。上方言葉に乗って、おせいさんの筆がさえる。傑作11篇を収録。
  • 緊縛
    3.0
    「わたしを縛って……」心も体も強く縛られることを欲しながらも、二人の男とのアイマイな情事を淡々とくり返す美緒、三十二歳。その日常の果てに彼女の心が向かう先は……。第十八回太宰治賞受賞作。短篇の秀作「見ていてあげる」を併せて収録。
  • 砦に拠る
    1.0
    己が意志力と能力のあらん限りを燃焼し尽くしてダム建設反対の鬼と化し、ただ一人で国家と拮抗し、ついに屈することのなかった蜂の巣城城主・室原知幸。「法には法、暴には暴」のスローガンの下、奇抜な山砦戦術、芝居っ気たっぷりな作戦。そして六法全書を武器として果敢に闘った室原の凄絶な半生を、豊富な資料と丹念な聞き書きをもとに、躍動する文体で描ききった感動の記録文学大作。
  • 絵本とは何か
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    子どもは早くから文字を読むようにしむけられ、親は熱心に文字を覚えさせようとする。はたしてこれで読書のたのしみを知るだろうか? ―良質の絵本とはどういうものか、子どもはどんなふうに絵本の世界へ入ってゆくのか。福音館書店で数々の名作絵本を世に送り出し、日本の児童出版文化の礎を築いた著者による絵本の本質と魅力をまとめた第一論集が初の文庫化。
  • 水鏡綺譚
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    著者にとって「自分の仕事の中で一番好きな漫画だった」という代表作。時は戦国の世、狼と行者に育てられ、立派な人間になるべく修行をする少年ワタルと、記憶をなくした少女・鏡子の物語。鏡子の家を探す旅の途中、護法童子、白比丘尼、外道丸……などによるさまざまな妖しい事件に出会う。そして、二人は……。完結版、待望の文庫化! 解説=南伸坊 推薦文=高橋留美子
  • 狂言サイボーグ 増補新版
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    700年の歴史を背負って舞台に立つ狂言師の身体は、どのようにつくられたのか? 師父・野村万作の一言一句を繰り返し、先祖先達から伝わる「型」を獲得した自身の稽古を振り返ることで、伝統芸能の本質に迫る。二十代の武司時代から萬斎襲名まで、狂言を生きることを率直に語った原点の書。
  • 関東大震災と鉄道 ――「今」へと続く記憶をたどる
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    1923年9月1日、関東大震災。10万人以上の死亡・行方不明者数を記録した日本史上最大規模の天災だが、人々の生活の動脈であった「鉄道」の被害に焦点が当てられる機会は存外少ない。カオスそのものの限界状況下、列車に載せた命を救うべく奮闘した鉄道員たち、互いを助け合った乗客たち―その機転と智恵から何を学ぶか? 残された声を丁寧に追う貴重な災害史。
  • 増補 戦う姫、働く少女
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    ポップカルチャーには現代女性の働きかたが反映されている――。異性愛と家父長制を否定した『アナと雪の女王』や、アイデンティティの労働がいかなるものかを示した『魔女の宅急便』、「無賃家事労働」の問題をラブコメにおとしこんだドラマである『逃げるは恥だが役に立つ』など、数々の映画やドラマを縦横無尽、クリアに論じた文芸批評を大幅増補・改訂して文庫化。
  • 子どもをおいて旅にでた
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    「名探偵ミルキー」シリーズで人気の児童書作家・杉山亮が妻と二人の幼児を残し出かけた若き日の旅の記録。徒歩・野宿・行き先未定・1ヶ月間。そんな風変わりな旅で何を見つけるのか。「子どもをおいて」出る旅は一見、無責任のようだが、家族の結びつきを確認する行為でもある。家族といることが好きなのに、一人にもなりたくなってしまう矛盾を抱えた全ての人に。

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