明治から大正、昭和にかけて、その奔放な行動で世間を騒がせた本荘幽蘭の評伝。
著者の本としては「破天荒セレブ」や「明治 大正 昭和 不良少女伝」の系譜に連なる自由な女についての一冊。
当時の新聞や雑誌の記事など幽蘭に関する細かなテキストを集約し時系列に並べて、そのいきあたりばったりの人生を浮かび上がせ
...続きを読むる労力はどれほどのものであったろうか? まさに労作としか言いようがない。とりあえず作者にはお疲れさまでしたといいたい。
本荘幽蘭という人は何かをなした人ではない。今よりも遥かに女性が生きづらかった時代に、常識や世間に縛られずただ好きなように思うままに生きただけのように見える人だ。本人の気持ちはともかくその結果に捕らわれない生き様は軽やかで人を魅了するものがある。彼女が自身の人生を楽しく思ったかどうかは判らないが、楽しく生きたいと思った人だったのだろう。