小説・文芸 - 文春文庫作品一覧

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  • 野の医者は笑う 心の治療とは何か?
    4.5
    若き臨床心理学者の冒険譚にして青春物語 われらがカウンセラー、東畑開人の一般書デビュー作、文春文庫版の電子書籍化。 文庫版あとがき「8年後の答え合わせ、あるいは効果研究」を付した完全決定版です。 人生に痛めつけられたからこそ、 人を癒やす力を得た野生の医者たち。 彼女・彼らと共に過ごした 灼熱のフィールドワークの記録! 気鋭の心理学者にしてカウンセラーは、精神科クリニックを辞め、学界を揺るがすこと必至のフィールドワークを開始。沖縄で人々の心を癒やし続ける謎のヒーラー達を取材しながら自ら治療を受け、臨床心理学を相対化しようと試みた。「野の精神医療」と学問の狭間で辿り着いた驚愕の発見とは? 涙と笑いの学術エンタテインメント。 単行本:2015年8月 誠信書房刊 文庫版:2023年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 雨の中で踊れ 現代の短篇小説 ベストコレクション2023
    4.0
    今をときめく作家たちの、キレの良い短篇を一冊に 日本文藝家協会が選ぶ短篇傑作選。AI、リモート、宇宙探索、家族の不和、孤独死、LGBTQなど現代のテーマに人気作家が挑む。
  • 善医の罪
    4.2
    彼女は善意の名医か、患者を殺した悪魔か―― 救急医・白石ルネは、意識不明で運ばれてきた男性を、家族の同意のもと延命治療を中止、尊厳死に導く。しかし3年後、ルネを嫌う麻酔医が、ルネは積極的に安楽死を行ったと病院に告発。身に覚えのないルネだが、やがてマスコミも巻き込む大問題に発展、遺族も白石を告訴するが……医療×法廷ミステリーの新たな傑作誕生! ※この電子書籍は2020年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • パチンコ 上
    4.8
    全米図書賞最終候補作!オバマ元大統領も絶賛 日韓併合下の釜山沖の小さな島、影島。下宿屋の娘、キム・ソンジャは、粋な仲買人のハンスと出会い、恋に落ちて身籠るが、実はハンスには妻子がいた。妊娠を恥じる彼女に牧師のイサクが手を差し伸べる。二人はイサクの兄が住む大阪の鶴橋へ。しかし過酷な日々が待ち受けていた――。全世界で共感を呼んだ大作、ついに文庫化! ※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 駒場の七つの迷宮
    3.0
    東大駒場キャンパスに存在する「七つの迷宮」の謎を解け! 1980年代の東大駒場キャンパス。新興宗教系サークルに所属する 東大生・葛城陵治の前に現れた鈴葦想亜羅は、複数の宗教をかけもちして、 天才的な勧誘活動を行なう〈勧誘女王(パーカー・クイーン)〉だった。 やがて想亜羅も入会した葛城たちのサークルと反カルトの学生たちとの いさかいの中、駒場寮で殺人事件が発生する。犯人は想亜羅なのか? 著者自身が体験した〈新宗教の時代〉を舞台にした出色のミステリー!
  • 東京、はじまる
    3.5
    1巻1,001円 (税込)
    日本銀行本店や東京駅など、近代日本を象徴する建物を矢継ぎ早に設計した、 明治を代表する建築家・辰野金吾。 下級武士から身を立てるべく学問に励み、洋行して列強諸国と日本の差に焦り、 帰国後はなんと恩師ジョサイア・コンドルを蹴落として 日銀の建築を横取りする……! 周囲を振り回しながらも、この維新期ならではの超人・金吾は熱い志で 近代日本の顔を次々を作り上げていく。 日銀の地下にある意外な仕掛け、東京駅の周辺にかつて広がっていた海の 蘊蓄など、誰もが見慣れた建築物の向こうに秘められたドラマを知ることもできる。 ベストセラー『家康、江戸を建てる』の著者が 「江戸を壊して東京を建てた」辰野金吾を描く、大きく楽しい一代記! ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ストーカーとの七〇〇日戦争
    4.2
    ネットで知り合った男性との交際から8カ月。ありふれた別れ話から、恋人は突然ストーカーに豹変した―― 執拗なメール、ネットでの誹謗中傷……「週刊文春」連載時に大反響を呼んだ、戦慄のリアルドキュメント。誰にでも起こり得る、SNS時代特有のストーカー犯罪の実体験がここに。 【ストーカー規制法が定める「つきまとい等」の行為】 ・あなたを尾行し、つきまとう。 ・あなたの行動先(通勤途中、外出先等)で待ち伏せする。 ・面会や交際、復縁等義務のないことをあなたに求める。 ・あなたが拒否しているにもかかわらず、携帯電話や会社、自宅に何度も電話をかけてくる…etc 別れ話がこじれて元恋人が「ストーカー化」した分かれ道とは ストーカー被害にあったらまずどこに相談に行けばいいのか まだ傷害事件にはなっていない場合、警察はどこまで動いてくれるのか 警察に被害届を出したらその後どういうプロセスを踏むのか 示談交渉に持ち込まれたさいの様々な落とし穴 ネットでの誹謗中傷の書き込みは消せるのか 加害者の起訴・逮捕後に被害者がしなければならないこと ストーカー行為は医学的な治療でやめさせることができるのか? ストーカー対策の海外での先進的な実例 知らないことだらけのストーカー被害の全容と問題の本質が理解できる、かつてない異色のノンフィクション。 ※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 崩壊の森
    3.5
    1巻1,001円 (税込)
    日本人特派員、土井垣が降り立ったソ連は“特ダネ禁止”の地だった。 謎に包まれた帝国で監視の目を潜り、取材を開始する土井垣。しかし、その周囲では次々に不可解な出来事が起こる──。 ソ連崩壊という世界的スクープを報じた斎藤勉をモデルに、魑魅魍魎が蠢くソ連崩壊前夜を圧倒的リアルで描き尽くす。 今、読むべき本物のインテリジェンス小説!  諜報、盗聴、罠、駆け引き、裏切り…… “ソ連崩壊”を世界に先駆けて報じた 日本人記者が見た「真実」とは?   「どうやら、この国のことを少し甘く見ていたらしい──」 吉川英治文学新人賞を受賞した『ミッドナイト・ジャーナル』、直木賞候補となった『傍流の記者』。 気鋭の著者が放つ、極寒の氷をも溶かす熱き闘いの物語! 解説は、保守派に換金されたゴルバチョフの生存情報の第一報を伝えた、当時、在ソ連日本国大使館の三等書記官だった作家の佐藤優さんです。 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ドッペルゲンガーの銃
    3.5
    名手・倉知淳がフェアプレイ精神で贈る奇妙奇天烈な三つの殺人事件。 ユーモアあふれる本格ミステリ中篇集。 女子高生ミステリ作家(の卵)灯里は、小説のネタを探すため、 警視監である父と、キャリア刑事である兄の威光を使って事件現場に潜入する。 彼女が遭遇した奇妙奇天烈な三つの事件とは――? ・密閉空間に忽然と出現した他殺死体について「文豪の蔵」 ・二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について「ドッペルゲンガーの銃」 ・痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について「翼の生えた殺意」 あなたにはこの謎が解けますか? ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 白魔の塔
    4.3
    ホラーミステリーの名手、シリーズ第2弾! 敗戦に志を折られた物理波矢多は、 復興を縁の下から支える職に就こうと決意する。 炭坑夫となるも怪事件に巻き込まれ、 転身先に選んだのは海運の要、灯台守。 新しい任地の轟ヶ埼灯台で待っていたのは“白もんこ”と呼ばれる怪異と二十年の時を超える奇怪な謎だった。 大胆な構成に驚く異色ホラーミステリー。 解説・杉江松恋 ※この電子書籍は2019年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 熱帯
    3.8
    どうしても「読み終えられない本」がある。結末を求めて悶えるメンバーは東奔西走。世紀の謎はついに…。第6回高校生直木賞受賞作。 【電子書籍特典付き】電子書籍特典として森見さんの書き下ろしエッセイ「私の熱帯」をPDFでダウンロードして読むことができます。 ※この電子書籍は2018年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 30センチの冒険
    3.7
    1巻1,001円 (税込)
    故郷に帰るバスに乗ったユーリが迷い込んだのは、 遠近の概念が狂った世界だった。 目の前に見えるものがそばにあるとは限らず、 屋外に出ると道に迷ってしまう。 奇妙な現象に苦しむ街の人々を救うため、 ユーリは「30センチのものさし」を手に立ち上がるが……。 ある日突然、非日常の世界に連れ去られる冒険ファンタジーの傑作。 ※この電子書籍は二〇一八年十月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 夏物語
    4.4
    大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 泥濘
    4.5
    「疫病神」の最強バディ、凶弾に倒れる! 桑原・二宮コンビの新たな標的はワルの警察OB。「週刊文春」連載で警察の腐敗に斬り込み大反響を呼んだ『疫病神シリーズ』第七弾! ※この電子書籍は2018年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 乗客ナンバー23の消失
    3.6
    一件落着――そう思ってからが本番です。 ニューヨークまで逃げ場なし。豪華客船に渦巻く謎また謎。 amazon(ドイツ)でレビュー数1,400超、評価平均4.2。 ドイツ・ミステリーの最終兵器セバスチャン・フィツェックの代表作登場。 事件解決のためなら手段を選ばぬ囮捜査官マルティンのもとに、5年前に豪華客船「海のサルタン号」船上から忽然と姿を消した 妻子にまつわる秘密を明かすという連絡が届いた。相手がマルティンを呼びだしたのは、因縁の客船。そこでは2か月前に 船から姿を消した少女が忽然として出現。さらなる事件が次々に起きていた。 ニューヨークへ向かう客船の中で走り出す複数のプロット――。船の奥底に監禁された女と、彼女を詰問する謎の人物。 娘の忌まわしい秘密を知って恐慌を来たす女性客。何者かとともに不穏な計画を進める娘。船室のメイドを拷問する船員と、 それを目撃した泥棒。船の売却を進める船主と、船の買い手である中米の男も乗船しており、マルティンを呼びだした富豪の老女は 「この船には恐ろしい秘密が隠されているのよ……」とささやく。 この客船の中で何が起きているのか? からみあう嘘と裏切りと策謀――真相はめくらましの向こうにある! そしてあなたが「一件落着?」と思ってから、ドイツ・ミステリー界最大のベストセラー作家が腕によりをかけて仕掛けた意外な真相のつるべ打ちが開始される! ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • オクトーバー・リスト
    3.9
    ドンデン返しの魔術師が技巧のかぎりを凝らした 前人未踏&驚愕連続の “逆行” ミステリー! 本書は最終章ではじまり、第1章へとさかのぼる。 娘を誘拐され、秘密のリストの引き渡しを要求された女ガブリエラ。隠れ家にひそみ、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待っていた。 しかし玄関にあらわれたのは誘拐犯だった。その手には銃。それを掲げ、誘拐犯は皮肉に笑った……。 だが読者よご用心。全ては見かけ通りではない。章ごとに物語は時間軸をさかのぼり、あなたの知らなかった「事実」が次々に明かされ、 白は黒に、黒は白に反転をくりかえす。謎のオクトーバー・リスト。それを狙う者たち。迷路のようなニューヨークの街で展開される人狩り。 正解最強のサプライズの魔術師ディーヴァーが繰り出すサスペンスとサプライズ。そして全ての真相が明かされるのはラスト2章! 『ボーン・コレクター』『ウォッチメイカー』などでミステリー・ファンを狂喜させてきたベスト・ミステリー作家の神髄がここにある。
  • ウチの娘は、彼氏が出来ない!!
    4.3
    私だって恋してみたい。と娘(二十歳)は思っていた。 でも、漫画は次々に新刊が出るし、コミケに向けてコスプレの準備もしなきゃだし。 オタクの私はそれでも結構忙しいのだ。 なんていうか、“ご縁”もなかったし。 そんなことより心配なのはウチの母! いい歳して天然、暴走、世間知らずなかーちゃんを放っては置けない。 そんな時、二人に突如吹きつけた恋の春一番! 娘にとっては人生初の、母にとっては久々の、恋! 少女のような天然母・碧と、しっかり者のオタク娘・空。 トモダチ母娘のエキサイティングラブストーリー。 2021年1月クール、日テレ系列で放送の水曜ドラマを小説化。 出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、川上洋平(Alexandros)、東啓介、沢村一樹、有田哲平、豊川悦司ほか
  • 清張地獄八景
    4.3
    みうらじゅんの清張愛炸裂! 人間の業や深い闇を暴き出す清張は、ホラー作家だ! 押したら最後、底無しの「生き地獄」へ転落してしまう「清張ボタン」とは? 松本清張の大ファンであるみうらじゅんが様々な媒体で書いてきた清張論や対談などの記事、イラスト、なりきり小説を中心に、 「文藝春秋」や「週刊文春」、「オール讀物」に掲載された清張に関する記事を厳選して一冊に。 数多くの清張原作作品に出演している岩下志麻、船越英一郎のインタビューや対談をはじめ、 佐藤愛子、京極夏彦、大沢在昌、宮部みゆき、北村薫、有栖川有栖、岩井志麻子、佐野洋、山村正夫、泉麻人、春日太一……ほか、著名な作家の再録記事も多数掲載。 清張原作のNHK土曜ドラマの演出家だった和田勉の随筆、『砂の器』など清張原作映画の脚本家である橋本忍のインタビュー、 清張が井上ひさしや女性ファンに書いた手紙、清張による江戸川乱歩への弔辞、直子夫人へのインタビュー、 朝日新聞勤務時代の同僚による清張の思い出、清張が描いたエッセイ漫画や絵など、貴重な原稿や写真も収録。 松本清張の小説世界、人柄、映像作品の魅力がよくわかるので、清張ファンはもちろん、未読の人の入門書としてもおすすめ。 「清張地獄」に堕ちたくない人はぜひ! *巻末に文庫特典としてみうらじゅんのインタビューを収録。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行されたムック『みうらじゅんの松本清張ファンブック 清張地獄八景』を文庫化したものを底本としています。
  • 2011年の棚橋弘至と中邑真輔
    4.0
    1巻1,001円 (税込)
    プロレスを救った二人の天才の軌跡 総合格闘技の台頭で、アントニオ猪木が主導した路線は頓挫した。プロレス界を救うべく立ち上がった二人の天才が歩んだイバラの道。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 北条政子
    4.0
    2022大河ドラマ主人公・北条義時の姉にして、源頼朝の妻。 彼女はいつも動乱の渦中にいた。 伊豆の豪族・北条時政の娘に生まれ、 流人源頼朝に遅い恋をした政子。やがて夫は平家への叛旗をあげる。 源平の合戦、鎌倉幕府開設―― 御台所になった政子は、実子・頼家や実朝、 北条一族、有力御家人達の間で自らの愛憎の深さに思い悩む。 歴史の激流にもまれつつ乱世を生きぬいた女を描き、 NHK大河ドラマ「草燃える」原作にもなった傑作歴史長編。 解説・大矢博子
  • ミルク・アンド・ハニー
    4.4
    1巻1,001円 (税込)
    文学賞三賞に輝いた前作『ダブル・ファンタジー』に続く、魂と官能の傑作長編小説。 脚本家・高遠奈津は、創作の鬼に導かれるようにして夫との穏やかな暮らしを捨てた。 いくつかの恋を経て、現在は物書き志望の恋人・大林一也と暮らしているが、 大林もまた奈津の心と身体を寂しくさせる男だった。自分に触れず、遊び歩くばかりの 大林に気を遣いプレゼントを捧げ続ける日々の中で、元恋人たちと逢瀬を重ねる奈津だったが―― 自由と官能、孤独と愛憎の果てに、奈津がたどり着いた果てとは? 「週刊文春」連載中から「面白過ぎる」と多くの読者・執筆者を夢中にさせた強烈な吸引力のある一冊。 解説・辻村深月 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • U

    U

    4.0
    1巻1,001円 (税込)
    第一次世界大戦中の独軍と一七世紀初頭のオスマン帝国。戦争に翻弄される三人の少年、ヤーノシュ、シュテファン、ミハイは、時空を超えて巡り合います。オスマン朝の風俗やUボート艦内の緊迫した雰囲気など、「幻想小説の女王」の目眩く世界をご堪能ください。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 呪われた町 上
    4.6
    モダン・ホラーを生み出したスティーヴン・キングのデビュー第2作。 恐怖の帝王のすべてはここから始まった。伝説の名作が装いを新たに復活! 「友達にも恋人にもならない。死と恐怖の王たる吸血鬼。その偉大なる碑」――小野不由美 荒れ果てた屋敷が丘の頂から見下ろす町、セイラムズ・ロット。そこに幼い頃住んでいた小説家ベンが帰ってきた。町は平穏に見えたが、ある夜、ベンは丘の上の屋敷に灯が点っているのを見る。あの屋敷を買った者がいるのだ。そしてある日、幼い少年が忽然と姿を消した……。 デビュー長編『キャリー』を刊行し、ベストセラー作家となったキングが、専業作家として初めて書き上げた作品が本書。吸血鬼譚を現代に甦らせ、現代ホラーに巨大な影響を及ぼした。「モダン・ホラー」を生み出した普及の名作。 ※この電子書籍は2011年11月に集英社文庫より刊行のものを、文春文庫より刊行した新装版の文庫を底本としています。
  • ブルーネス
    4.0
    1巻1,001円 (税込)
    〈津波監視システム〉は実現できるのか? はぐれ研究者たちの情熱溢れる理系エンタメ! 「津波監視システムの実現に手を貸して欲しい」。 東日本大震災後、地震研究所を辞めた準平は、学会で異端視されている武智に誘われる。 海洋工学や観測機器などのエキスパートだが個性が強すぎて組織に馴染めない“はみ出し者”たちと、準平は前人未到のプロジェクトに挑むか……。 研究者の情熱ほとばしる科学エンタメ! 解説・巽好幸(神戸大学海洋底探査センター教授・センター長) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています
  • 鮪立の海
    3.7
    1巻1,001円 (税込)
    三陸海岸の入り江にある港町「仙河海」。 大正十四年にこの地に生まれた菊田守一は、「名船頭」として名を馳せた祖父や父に憧れ、一人前の漁師になることを夢見ていたが、戦争がはじまり、守一が乗っていた船は海軍の徴用船にされてしまう。グラマンの機銃掃射、米軍潜水艦からの攻撃で船は大破し、父は大けがで漁師を引退、兄は海の藻屑と消えたが……。 大正~昭和の激動の時代をひたむきに生き抜いた人々と日常を描いた感動巨編! 解説・土方正志 ※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 1984年のUWF
    5.0
    1巻1,001円 (税込)
    単行本刊行時に賞賛と非難の十字砲火を浴びた「UWF本の発火点」。 「プロレスから格闘技へ」の過渡期を描く傑作ノンフィクション! 1984年、UWF誕生。新日本プロレスへの復讐のために誕生した団体は 元タイガーマスク・佐山聡の大胆な構想のもとプロレスから逸脱していく。 若者はUWFを真剣勝負のプロレスとみなして熱狂した。 しかし――。 プロレスから総合格闘技への過渡期に痛烈な一閃を浴びせ、 大反響を呼んだ迫真のノンフィクション、渾身の文庫化。 文庫特典「クリス・ドールマンとの一問一答」収録。 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 極夜行前
    4.1
    天測を学び、犬を育て、海象に襲われた 本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞をW受賞した超話題作『極夜行』。その「エピソード1」といえる350日のすべて。 ノンフィクション界の話題をさらった『極夜行』。この旅を遂行するには3年の準備期間があった。何度も北極を訪れ、重ねた試行錯誤。これもまた命懸けの探検だった。この準備行がなければ極夜の探検は成功しなかったのかと思うと、起こった全ての試練が命を繋いだとも言える。『極夜行』と併せて読みたい。 特別寄稿・山口将大 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ワシントン封印工作
    4.3
    昭和16年、ワシントンの日本大使館に臨時雇用された医学生の大竹幹夫は、同僚の若い日系人タイピスト、ミミ・シンプソンに一目惚れする。しかし、ミミは国務省高官のホルブルックが潜入させた女スパイだった――。和平交渉の裏側で進展する諜報活動と、3人の恋愛模様。第二次大戦三部作(『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』)に連なる長編小説。
  • ハルカ・エイティ
    4.1
    大正に生まれ、見合い結婚で大阪に嫁ぎ、戦火をくぐり抜け、戦後の自由な時代の波に乗り……。人生の荒波にもまれつつも、平凡な少女は決して後ろ向きになることなく、その魅力を開花させ、みんながハルカの天真爛漫なキャラクターに引き込まれていく。やっぱ、新時代の婦人は、これくらいさばけてなあかん! 実在の伯母をモデルに、著者が新境地に挑んだ原稿1000枚の力作。ヒメノ式「女の一生」、直木賞候補の傑作長編。
  • 逃亡者
    3.6
    時効直前で逮捕された「松山ホステス殺人事件」の福田和子をモデルに、魔術師・折原氏ならではの四転五転のトリックが冴える叙述ミステリー。結末を読むのが怖い、大人気「――者」シリーズ! 同僚だった女に持ちかけられた交換殺人の提案に乗り、一面識もないその夫を殺した罪で逮捕された友竹智恵子。だが、警察の不手際から脱走に成功した彼女は、整形手術で顔を造り変え、身分を偽り、逃亡を続ける。時効の壁は15年。DVの夫、そして警察による執念の追跡から、智恵子は逃げ切ることができるのか? 運命の日の朝、驚くべき真実の扉が開く――。
  • 獣たちの庭園
    3.6
    現代最高のミステリー作家が初めて歴史サスペンスに挑んだ! 1936年、オリンピック開催に沸き立つベルリン。アメリカ選手団にまぎれてニューヨークの殺し屋が潜入する。米国海軍情報部からナチス・ドイツ高官暗殺の使命を帯びたその男は、現地工作員との接触の際に誤って人を殺してしまい、刑事警察(クリポ)から追われる身となる……。リンカーン・ライムシリーズで人気の著者が初めて挑む歴史サスペンスは、懐旧的雰囲気のなか、タフな主人公(ヒーロー)が活躍するという新機軸。もちろんどんでん返しも盛りだくさんの上級エンタテインメントです。CWAイアン・フレミング・スティール・ダガー受賞作。 2005年週刊文春ミステリーベスト10第5位、このミステリーがすごい!第5位。
  • 狩場最悪の航海記
    3.0
    徳川綱吉の治世。犬が人間より偉く、武士が腹を切る奇怪な国・日本に上陸した冒険家ガリヴァーは、病に臥せる将軍のため南洋の島へと不死の秘薬を持ち帰る旅に出た。忍者に海賊、恐竜までが暴れ回る旅の果てに明かされる世界の秘密。博覧強記の奇才が、膨大なトリビアと知的たくらみを詰めこんで描ききる! かの名作『ガリヴァー旅行記』からは割愛された幻の冒険記が本書。『高丘親王航海記』『ランゲルハンス島航海記』などの奇想博物冒険記に、『ニンジャスレイヤー』のキッチュさを加えたテクニカラーの一大奇書!
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判
    4.1
    映画より面白い映画評論がここにある! 町山智浩&柳下毅一郎による、伝説の映画活字漫談が1冊になって堂々復活。映画へのほとばしる愛ゆえに怒り、ツッコむ2人が、ときに対立も辞さず語り尽くす。『千と千尋の神隠し』のアンタッチャブルなテーマを喝破し、『スター・ウォーズ』を『巨人の星』に、『チャーリーズ・エンジェル』を「通いたい店」に喩える掛け合いは、まさにこのコンビならではのもの。傑作はもとより、クサしている映画までつい観たくなること請け合いの、怒濤の91本。
  • 太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで(上)
    4.4
    攻撃か、防御か。戦力か、情報力か 米国の若き海軍史家が“日本が戦争に勝っていた百八十日間”を日米双方の視点から描く。米主要紙絶賛の、まったく新しい太平洋戦史。 【目次】 序章 海軍のバイブル 第1章 真珠湾は燃えているか 第2章 ドイツと日本の運命を決めた日 第3章 非合理のなかの合理 第4章 ニミッツ着任 第5章 チャーチルは誘惑する 第6章 不意を打たれるのはお前だ
  • ひとり旅立つ少年よ
    4.4
    『音もなく少女は』『その犬の歩むところ』に続く感動作 悪党が狙う大金を奴隷解放運動家に届けるべく少年は一人でアメリカ縦断の旅に。非道の中の人間の尊厳を描き続ける巨匠の会心作。
  • 皇后雅子さま物語
    4.0
    痛みを知るから勁くなれる――令和の新皇后、雅子さま。その皇太子妃としての道のりは決して平坦ではなかった。ご成婚パレードでの笑顔はなぜ失われたのか? お世継ぎ問題、「適応障害」の真相は何だったのか? 長年にわたり雅子さまの実像を追う唯一のジャーナリストが描く、新皇后の素顔とは。半生を網羅した決定版! 【目次より】 序章 幸せの黄色いワンピース 第1章 帰国子女の憂鬱 第2章 「根無し草にはなりたくない」 第3章 新人外交官の悩み お妃候補への戸惑い 第4章 皇太子妃選定「極秘プロジェクト」 第5章 ご成婚──雅子さんのいちばん長い日 第6章 「新皇太子妃」に差す影 第7章 長官が尋ねた「お身体のこと」 第8章 愛子さまご誕生までの全舞台裏 第9章 涙が止まらない 第10章 「人格否定発言」初めて語られる真相 第11章 ようやく治療がはじまった 第12章 悠仁さまご誕生──急転する皇室の運命 第13章 愛子さまが学校に行けなくなった日 第14章 ご成婚二十年──雅子妃はお幸せだったのか 終章 令和の皇后として ※この電子書籍は、2015年1月に文藝春秋より刊行された単行本『ザ・プリンセス 雅子妃物語』を改題、新章を増補した文庫版を底本としています。
  • 渋沢栄一 上 算盤篇
    3.9
    新1万円札の肖像画に選ばれた、「日本資本主義の育ての親」渋沢栄一。幕末から明治、大正、昭和へと至る91年の激動の生涯を、博覧強記の才人・鹿島茂が描いた傑作評伝、ついに電子書籍化! 近代日本の「資本主義」をつくりだした渋沢栄一。彼がその経済思想を学んだのは、「産業皇帝」ことナポレオン3世の統べる19世紀フランスからだった。豪農の家に生まれ、尊皇攘夷に燃えた彼は、一転、武士として徳川慶喜に仕えることになり、パリ万博へと派遣される。かの地で渋沢に影響を与えたのが、産業を拡大することで労働者の福利厚生を充実させるという「サン=シモン主義」の思想だった。帰国後、維新政府に迎えられるが、日本に資本主義を興すため、民間人として生きることを選ぶ……波瀾万丈の評伝、その上巻・算盤篇。 「近代日本は、世界に類を見ないほどの幸運に恵まれていたといえる。なんのことかというと、日本の資本主義は、この「損して得取れ」という思想をバトル・ロワイヤルが行われる以前にすでに体得し、血肉化していた渋沢栄一という例外的な人物によって領導され、実に効率よく高度資本主義の段階に入ることができたからである」 (本文より)
  • くせものの譜
    4.0
    武田、北条、佐々……仕えた家が軒並み絶家! 厄神と呼ばれた男・御宿勘兵衛の生涯。 武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛(みしゅくかんべえ)は、何を求めて大坂城へ入ったのか? 武田家滅亡から、大坂の陣まで――仕えた家が次々と滅びることから、その武勇に反して「厄神」と忌み嫌われた御宿勘兵衛。 そして、時代に迎合することなく己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬など、勘兵衛と関わった度し難い男たち。 「天正壬午の乱」「さらさら越え」「小田原征伐」「越前騒動」「大坂の陣」など勝者の側ではなく滅び行く者たちからみた戦を描く。 気鋭の著者が腕をふるった、時代に選ばれなかった曲者たちの物語。 解説・縄田一男
  • 冬の光
    3.5
    四国遍路の帰路、冬の海に消えた父。 家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。 企業戦士だけれど、子煩悩だった父。だが父は、二十年間ひとりの女性を愛し続けていた。 一度は夫の裏切りを許し、専業主婦として家庭を支えて生きてきた母は、父の退職後に発覚した事実に打ちのめされる。 それなりに安定した幸せな家庭を作ってくれた父が、四国の遍路を終えた時、冬の海に飛び込んだのは何故なのか。 家庭の外にもう一つの世界を持っていたその心中とは? 次女の碧は職場に休暇願いを出し、父の最後の旅を辿ろうと決めた。 日本の標準的で幸せな一人の企業戦士の、切なく普遍的な人間心理。 四国遍路のリアルな光景を辿るうち、読者も自身の人生、男と女の根源的関係に思いを馳せることになるに違いない。 変容し続ける作家・篠田節子の到達点。 解説・八重樫克彦
  • バベル
    3.5
    新型ウイルスの出現によって、日本中がパニックに―― ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、 救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのびより……。 感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか? 日本政府はある対策を講じる決断をする。 近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル! 毎年インフルエンザの季節が到来するとマスクの人が増え、自分の周囲にインフル患者が出た途端に緊張感が高まりますが、この小説は、インフルどころではない最強のウィルスが日本国内に発生してしまうという、「もしかして、ひょっとしたらありえるんじゃないか」という危機感さえ感じさせる緊迫した内容となっています。 極小サイズだけど、人間を恐怖のどん底に陥れる「ウィルス」によって、日本は恐ろしい事態に陥ります。追い詰められた人々は、どのような手を打つのでしょうか? 読み始めたら、最後まで止まることができません。
  • 半分、青い。 上
    4.4
    1~2巻968~1,018円 (税込)
    心は、空を飛ぶ。 片耳を失聴したヒロイン、スズメの愛と勇気の物語――。 高度成長期の終わり、岐阜県の小さな食堂に生まれたスズメ。 小学生の時に病気で左耳を失聴してしまうが、我が子を愛してやまない両親と、 同じ日に同じ病院で生まれた幼馴染のリツに支えられ健やかに成長する。 高校を卒業したスズメは少女漫画家を目指し上京し、 人気漫画家・秋風羽織のもとで仲間と修業に打ち込むが……。 最注目の「連続テレビ小説」を小説でお楽しみ下さい
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年
    4.6
    広島平和記念公園の片隅に、土饅頭と呼ばれる原爆供養塔がある。かつて、いつも黒い服を着て清掃する「ヒロシマの大母さん」と呼ばれる佐伯敏子の姿があった。なぜ、佐伯は供養塔の守り人となったのか。また、供養塔にまつられている被爆者の遺骨は名前や住所が判明していながら、なぜ無縁仏なのか。「知ってしまった人間として、知らんふりはできんのよ」佐伯敏子の言葉を胸に取材を丹念に重ねるうちに、埋もれていた重大な新事実が判明していく──。引き取り手なき遺骨の謎を追う、もう一つのヒロシマの物語。 第47回(2016年)大宅壮一ノンフィクション賞、第15回早稲田ジャーナリズム大賞受賞作がついに文庫化! 解説・平松洋子
  • 革命前夜
    4.2
    この国の人間関係は二つしかない。密告しないか、するか──。 第18回大藪春彦賞受賞作! 革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。 留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。 中でも学内の誰もが認める二人の天才が── 正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。 奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。 ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。 その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。 演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。 彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。 冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。 ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。 圧巻の音楽描写も大きな魅力! 本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』 ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ……etc. 解説・朝井リョウ
  • プロローグ
    3.9
    わたしは次第に存在していく 知的で壮大にたくらみに満ちた著者初の「私小説」 小説の書き手である「わたし」は物語を書き始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり……。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。 解説・佐々木敦
  • 神は銃弾
    3.9
    「このミス」第1位! “暴力の詩人”ボストン・テランの輝かしきデビュー作。 元妻とその再婚相手をカルト教団〈左手の小径〉に惨殺され、娘を誘拐された刑事ボブ・ハイタワー。元薬物中毒者の女性ケイス・ハーディンの助けを借りて娘の足跡を追い、教祖サイラスと〈左手の小径〉に復讐を誓う。 愛と憎悪、セックスと暴力、そしてドラックと銃弾。鮮烈な文体で描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。 発表と同時に大きな反響を呼び、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞候補作となり、英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を受賞。 日本でも「‘02年版 このミステリーがすごい!」第1位に選出。日本冒険小説協会大賞を受賞した。 解説・池上冬樹
  • 侵入者 自称小説家
    3.0
    「殺人事件を被害者の遺族をキャストにした再現劇で解決しよう!」。自称小説家による異様な企ての結末は? 北区十条でクリスマスの朝に発見された一家4人の惨殺死体。迷宮入りが囁かれる中、まだデビューも果たしていない“自称小説家”塚田慎也のもとに、事件の遺族から調査の依頼を受ける。以前、彼が自費出版した未解決の資産家夫婦殺人事件のルポが目にとまり、白羽の矢が立ったのだ。 塚田が調査を進める中で見えてくる、二つの事件の奇妙な共通点。やがて塚田は、あるアイデアを思いつく。遺族をキャストに事件現場で再現劇を行い、犯人をあぶり出すそうというのだ。果たしてこの異様な試みの結末は!?  「自称小説家」の一人語りから、彼が取材した情報を元に書く「〔創作〕『サクリファイス』」という原稿、彼が前に書いた「〔ノンフィクション〕板橋資産家夫婦殺人事件」の原稿、そして、再現劇のシナリオ「脚本『侵入者――Pierrot』」と、様々なテクストが入り混じる、著者得意の叙述トリックが炸裂する。 大好評の折原一「○○者」シリーズ最新刊。狂気の再現劇の観客、それはあなたです。
  • 復活祭
    3.8
    1巻968円 (税込)
    〈失われた10年後、あの男たちが帰ってきた! そのとき裏切られた女は……〉 80年代後半、土地と株の高騰に沸いた東京。 バブルの絶頂期の都会を舞台に、若き「持たざるもの」の青春の暴走と破滅を描いた名作『生誕祭』。 ボリュームを感じさせない疾走感と、入り乱れる男女の愛憎、最後まで敵味方のわからないコンゲームは、北方謙三氏からは「バブルという、現実に社会や人を狂わせた時代を、象徴的に描ききっている。時代の狂気を背景にすることによって、ノワールとも呼ぶべき新しいジャンルを主張」と評された。 そして10年後、再び主人公の彰洋と彼の敬愛する美千隆が動き出した。 バブルが崩壊して10年、彼らが運命を狂わした女たち――麻美と早紀がすべてを失ってから10年の歳月を経て、どん底だった日本の経済は一部の産業の復活の兆しがみえている。 インターネットという実態のないものに金が集まる、いわゆる“ITバブル”時代が到来したのだ。 「失われた10年」の雌伏後も彼らの夢は変わらない。 マンハッタンにでかいビルを建ててやる――そのために選んだのが、IT産業だ。 関連企業を立ち上げて目指すのは株式公開、その株の価値を上げて売買を行うだけで、実態を伴わない億単位の金が動く。 バブル時代と同じように、彰洋と美千隆は新会社メディアビジョンを興すと休息もないままに動き回り、上昇は成功していくかに見える。 しかし二人がかつて裏切り、現在はしがないクラブの雇われママの麻美はそれを許すはずがない。 自分のパトロンであり詐欺師の桜田、そして彰洋の恋人だった早紀にも誘いをかけ、ふたりの儲けを掠め取る計画を開始する。 IT時代の寵児たちをも連想させる重要人物と、複雑な心情をお互いに抱く男女たち。 いずれ土地バブルと同じようにはじける運命の時代の中で、勝ち抜くのはいったい誰か? 馳星周王道の裏切りと哀しみが躍動する、一級のエンタテイメント作品。
  • 荒野
    3.8
    山野内荒野、14歳。 まだ、恋はしてない。 ……たぶん。 鎌倉で小説家の父と暮らす少女・荒野。「好き」ってどういうことか、まだよくわからない。でも、中学入学の日、電車内で見知らぬ少年に窮地を救われたことをきっかけに、彼女に少しずつ変化が起き始める。少女から、大人へ――荒野の4年間を瑞々しく描き出した、たまらなくいとおしい恋愛“以前”小説。全1冊の合本・新装版。 カバーイラスト:岸田メル
  • 離陸
    4.0
    失踪した〈女優〉を追って、平凡な人生が動き出す 時空を超えて足跡を残す〈女優〉とは何者か。 大切な人を喪い、哀しみの果てに辿りつく場所とは。 透徹した目で人生を描く感動長編。 国交省から矢木沢ダムに出向中の佐藤弘のもとへ、ある夜、見知らぬ黒人が訪れる。 「女優の行方を探してほしい」。 昔の恋人はフランスで、一人息子を残して失踪していた。 彼女の足跡を辿る旅は、弘の運命を意外な方向へ導いていく。 〈生きている者は皆、離陸を待っているのだ〉。 静かな祈りで満たされた傑作長編小説。 解説・池澤夏樹
  • 零戦、かく戦えり! 搭乗員たちの証言集
    3.3
    生命を賭けて大空を飛んだ男たちの証言。 昭和15年、中国大陸での衝撃的なデビュー、真珠湾からラバウル航空戦、そして終戦間際の神風特別攻撃まで。現場にいた男たちが綴る。 「零戦搭乗員会」とは1978年に発足し、2002年まで運営された旧海軍搭乗員の会である。 その後継団体として発足した「零戦の会」が、「零戦搭乗員会」の会報「零戦」に掲載された回想を中心に、会員の私家版、雑誌記事などを加えてまとめたものが本書だ。 【目次】 第一章 零戦前史--海軍戦闘機隊の草創から支那事変まで 第二章 零戦の登場 第三章 大東亜戦争開戦 第四章 珊瑚海からミッドウェーへ 第五章 空と海を紅に染めて--死闘ソロモン 第六章 マリアナ沖から比島攻防戦へ 第七章 沖縄--本土防空戦 付    追悼・開発・復元 資料   海軍搭乗員の養成コース、関連年表ほか ※本書は『零戦、かく戦えり!』(文春ネスコ)を再編集したものです。
  • 11/22/63(上)
    3.7
    このミス1位ほかミステリー3冠達成の感動大作 過去へ旅することのできる「扉」の存在を知った男はケネディ暗殺阻止に挑む。キングにしか書けない壮大な物語。落涙保証の感動大作!
  • ガール・セヴン
    3.5
    24歳の女性作家が放つ苛烈で美しいノワール 私は必ず日本に帰ってみせる。石田清美、21歳。家族を何者かに惨殺され、ロンドンの底で生きている。そこに飄々とした冷血の殺し屋マークがやってきた。僕が君の家族を殺した人間を探してみようかとマークは言うが――暗黒街からの脱出を願う清美の必死の苦闘を描き切る鋭利なる文体。徹頭徹尾、女子が女子を書いたノワール。
  • 金色機械
    4.1
    著者の新境地・ネオ江戸ファンタジー小説 謎の存在「金色様」を巡って起こる不思議な禍事の連鎖。人間の善悪を問うネオ江戸ファンタジー。第67回日本推理作家協会賞受賞作。
  • 血盟団事件
    4.4
    世界恐慌の煽りをうけ、日本が深刻な不況に見舞われていた昭和七年(1932年)。カリスマ的な日蓮主義者、井上日召が率いる集団「血盟団」の若者たちが連続テロ事件を引き起こし、元大蔵大臣・井上準之助、三井財閥総帥・団琢磨が凶弾に倒れた。 茨城・大洗周辺出身の青年や、東京帝大を中心としたエリート学生たちは、なぜ井上に心酔し、凶行に走ったのか。その背景には格差社会、漂う閉塞感、政治不信という現代日本と酷似する状況があった。 最後の血盟団員へのインタビュー、中曽根元首相の証言、裁判記録などから「昭和史最大のテロ」の謎に迫る。
  • 世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち
    4.3
    2016年3月公開 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』原作 世界中が、アメリカ発の住宅好況に酔っていた2000年代半ば、そのまやかしを見抜き、世界経済が破綻する方に賭けた男達がいた。投資銀行、格付機関、米政府の裏をかき、彼らはいかに世紀の空売りと呼ばれる大相場をはったのか。『マネー・ボール』の著者マイケル・ルイスが世界同時金融危機の実相を描く痛快ノンフィクション。解説・藤沢数希 電子書籍では、マイケル・ルイス氏が映画化の経緯や、その見所について述べた「映画化記念 著者特別エッセイ」を収録。
  • 暁の珊瑚海
    4.6
    井上成美が統率した日米、世紀の海空戦! 史上初めての空母対空母の決戦「珊瑚海海戦」の5日間の攻防。人間井上の戦略観を基底に日米文明の対決を描く。錯誤の海戦の全貌とは
  • 保科正之の生涯 名君の碑
    4.2
    将軍家光の異母弟として悲運の生をうけながら、忠勤と民への慈愛身をつくした、この稀有なる会津藩主の歩んだ清洌な生涯を辿る
  • 武曲
    3.8
    1巻968円 (税込)
    これが二十一世紀の剣豪小説だ! 無自覚な天才少年・羽田融とその「殺人刀」の血を恐れる剣道部コーチ矢田部研吾。反発と無視を乗り越えやがて二人は運命の対戦へ。
  • 青い虚空
    4.0
    天才ハッカーvs.奇才ハッカー、白熱の電脳戦! 護身術のウェブサイトを主宰するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見された。警察は周辺捜査からハッカーの犯行と断定。コンピュータ犯罪課のアンダーソン刑事は容疑者特定のため、服役中の天才ハッカー、ジレットに協力を要請する。ゲーム感覚で難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯の正体を追え――息詰まるハッカー同士の一騎打ちが始まる!
  • 本が多すぎる
    3.3
    女子の心理、家族関係、下ネタに旅に歌舞伎に母と娘――。世相を的確に捉える「現代の清少納言」酒井さんにしか書けない、読み応えたっぷりの極上エッセイ集です。「週刊文春」に現在も連載中の名物読書エッセイ79編をオリジナル文庫化。酒井さんの心に響いた本たちの話題は、そのまま私たちのただならぬ共感と爽快感を呼びおこしてくれます。損はさせない一冊です!
  • ラオスにいったい何があるというんですか?
    4.2
    そこには特別な光があり、特別な風が吹いている――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの雄大な自然、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島々、フィンランドの不思議なバー、ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、そして熊本の町と人びと――旅の魅力を書き尽くす、村上春樹の紀行文集、待望の文庫化!カラー写真を多数収録。
  • double~彼岸荘の殺人~
    3.4
    幽霊屋敷に超能力者たちが集結! 傑作ホラーミステリ 本年度最高のホラーミステリ登場! 洋館で繰り返された残虐な事件…… うごめく恐怖、悲しい記憶から 私たちは逃れられるのか? 少女の頃に念動力で世間を騒がせて以来引きこもるようになった紗良を、幼馴染のひなたは見守ってきた。しかし紗良の噂を聞きつけた富豪から「幽霊屋敷」の謎を解き明かして欲しいとの依頼が入る。屋敷にはテレパス、サイコメトリストら超能力者が呼び寄せられていた。二人を待ち受ける恐怖の日々。書き下ろしホラーミステリ。 カバー画・雪下まゆ
  • 悪将軍暗殺
    3.0
    片腕を失った少女には、全てを見通す“目”があった 襲撃によって父と生き別れ、片腕を失った少女・小鼓。生き残るために戦う中で、彼女は本当の敵は誰なのかに気づく。渾身の歴史小説! 足軽の父と暮らす少女、小鼓(こつづみ)の日常は、都から来た高僧・義圓(ぎえん・後の足利義教)の襲撃により奪われた。左腕を失い父と生き別れた小鼓は、やがて自分に“軍略の才”がある事に気づき……。数多の戦場を仲間たちと駆け抜けながら、小鼓は京を「万人恐怖」で支配する義教への復讐を誓う。著者渾身の傑作歴史小説! 解説・天野純希 ※ 単行本『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』2021年3月刊 文春文庫版『悪将軍暗殺』に改題 2024年2月刊 この電子書籍は、文春文庫版を底本としています。
  • 奔流の海
    4.4
    人は運命に抗うことができるか? 1968年、後に「千里見の七夕崩れ」とよばれる大型台風による土砂崩れで、町は多数の死者・行方不明者を出した。 20年後、同じ町の旅館の娘・清田千遥は、東京からやってきた大学生・坂井裕二と出会う。裕二はなぜか夜ごと町を徘徊していた―― 激流に飲まれた運命がやがて大きな感動へとたどり着く。 『代償』『悪寒』のベストセラー作家・伊岡瞬史上、 最も残酷で美しい青春ミステリー! Apple Books Store 2022年上半期ベストブック(ミステリー部門) ※この電子書籍は2022年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 傍聴者
    3.7
    彼女は女神か、悪魔か? 大好評「〇〇者」シリーズ なぜ、こんな女に? 彼女は女神なのか、悪魔なのか――。 結婚が決まっていた親友の死に疑問を抱き、ライターの池尻淳之介は真相を探り始めた。 “婚約者”牧村花音は、複数の交際相手を騙し、練炭自殺に見せかけて殺害したとして、起訴されている。そして迎えた初公判の日、傍聴席で被告を真剣に見つめる四人の女がいた。 平凡な容姿の彼女になぜ男たちは騙されたのか。そして彼女はなぜここまで人々の注目を集めるのか。 事件の全貌が見えた時、いつしか舞台は暗転し――。 実際にあった事件に材をとった、大好評「〇〇者」シリーズ。 折原作品の真骨頂とも言える、鮮やかなトリックが炸裂する! 文庫解説・高橋ユキ ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 聖乳歯の迷宮
    4.5
    イエス・キリストの正体とは? 先端科学の知識と作家的想像力を駆使し緻密に組み立てられ傑作ミステリ。 日本版「ダ・ヴィンチ・コード」登場! 日本人考古学者・夏原圭介はキリスト生誕の地・イスラエルのナザレで、 〈イエスの乳歯〉と思われる歯を発掘した。 しかも、その乳歯からはホモサピエンスとは異なるDNAが検出された。 イエス・キリストは現生人類とは異なる〈人類〉だったのか? イエスの乳歯はセンセーショナルな話題を呼び、 神の実在が証明されたとして世界中でキリスト教をはじめとした 宗教ブームが湧き起こる。 夏原の旧友で新聞記者の小田切秀樹は夏原のインタビューに 成功する一方で、妻の夕海が勢いを増した新興宗教に 取り込まれてしまい苦悩する。 そんな折、夏原と同じく大学の同じサークルだった 沼修司が亡くなったとの知らせが届く。教師のかたわら、 源為朝の鬼退治伝説を調べていた沼は、 青ヶ島で調査中に事故死を遂げたらしい。 沼の妹から兄の遺品整理をして欲しいと頼まれた小田切は、 彼ら三人の恩師の娘で、やはり同級生だった秦野牧と一緒に 青ヶ島へ赴くが、そこで思いがけない事態に陥るのだった。
  • ネヴァー・ゲーム 上
    4.0
    米CBSでTVドラマ化! シリコンヴァレーで連続誘拐事件が発生。死のゲームを操るのは!? ドンデン返しの魔術師、新シリーズが待望の文庫化 シリコンヴァレーで19歳の女子大生が失踪した。警察は事件性はなさそうだと判断するが、単なる家出ではないと考えた父親が1万ドルの懸賞金を設ける。人捜しの懸賞金ハンターであるコルター・ショウは彼女の行方を追うが、事態はやがて連続誘拐事件に発展し、死者が出るに至り……。ディーヴァーの新たなヒーロー誕生。新シリーズが開幕! ※この電子書籍は2020年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • インビジブル
    3.5
    大藪賞&推協賞W受賞! 新鋭が放つ骨太ミステリ 昭和29年の大阪で起きた連続猟奇殺人事件。中卒叩き上げの若き刑事・新城と帝大卒の警察官僚・守屋は戦後日本の巨大な闇に迫る。 ※この電子書籍は2020年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ほかげ橋夕景
    -
    父を想う娘の涙、師弟の絆。とびっきりの人情譚! 祝言が決まった娘は冷たくなった父に戸惑う…。親子の絆、恩人への情、清水の次郎長晩年の逸話など、人情時代小説の粋を集めた八編。 解説・長宗我部 友親 (長宗我部家十七代目当主) ※この電子書籍は2010年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 父を撃った12の銃弾 上
    3.0
    アメリカ最高のミステリーに与えられる エドガー賞最優秀長編賞最終候補。 わたしの父の身体には、 たくさんの銃弾が刻んだ傷跡がある―― 全米の書評を絶賛の声で埋めつくした、少女と銃と父と、いまは亡き母の物語。 12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは漁師として働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった……。 ティーンとしていじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。 どんな小説が好みなのかを問わず、心に響くものがここには必ずある。(ニューズウィーク) 恋愛小説でありミステリーでもある、感動的な物語の饗宴。(ピープル) ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 禿鷹の夜
    -
    1~5巻950~1,400円 (税込)
    傑作の誉れ高い〈禿鷹シリーズ〉が新装版で再登場! 信じるものは拳とカネ。史上最悪の刑事・禿富鷹秋―通称ハゲタカは神宮署の放し飼い。 ヤクザにたかる。弱きはくじく。しかし、恋人を奪った南米マフィアだけは許せない。 痛快無比!血も涙もひとかけらの正義もない非情の刑事を描いて読書界を震撼させた、本邦初の警察暗黒小説。 ※この電子書籍は2003年6月に刊行された文春文庫の新装版です。
  • 刑事たちの挽歌〈増補改訂版〉 警視庁捜査一課「ルーシー事件」
    4.0
    Netflixにてドキュメンタリー映像化決定。 2000年に世間を震撼させた、ルーシー・ブラックマン殺害事件――。 麻布署に届けられた家出人捜索願から事件の臭いを感じ取り、猟奇的犯人を追いつめる捜査一課の精鋭たち。その捜査の全貌を明かす真相ドキュメント。 登場する捜査官は幹部にいたるまで全て実名。本物のド迫力で数多の警察小説を凌駕する。本当の捜査は、刑事たちの執念でここまでやるのだ。 Netflixでの映像化が決定したことを受けて、著者は元捜査員たちに再取材と出演交渉を行った。事件から20年を経て、一課の元刑事たちを訪ね歩いたことで、捜査本部に後から投入された山代班の“潜行捜査”の実態が明らかになった。彼らの存在なくして、この事件が解明されることはなかった――。 登場する捜査員たちは幹部に至るまですべて実名。ここまで詳細かつ正確に捜査の実態が描かれたノンフィクション作品は、かつてなかっただろう。 ※この電子書籍は2013年7月の文春文庫を加筆修正したものです。
  • カッティング・エッジ 上
    3.7
    リンカーン・ライム・シリーズ第14作! ダイヤへの妄執を紡ぐ殺人者――ニューヨークを揺るがす大犯罪を暴け。 シリーズ原点回帰の傑作。 ダイヤモンド店で三人の男女が無惨に殺害された。 被害者は婚約指輪を受けとりにきたカップルとダイヤ加工職人。現場からはダイヤモンドも持ち去られていた。 科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査を担当することになるも、犯行直前に店を訪れた人物が殺害され、さらにはやはり結婚間近の男女がダイヤモンドへの妄執を口にする男に襲撃され、辛くも難を逃れる事件が起きる。連続する事件に振り回されるライムらのもとに、「プロミサー」と名乗る人物から、婚約したカップルへの異様な殺意を表明するメールが届いた。 犯人は関係者を次々に殺害しながら、逃走する目撃者のあとを追う。犯人より先に目撃者を確保すべく、ライムと仲間たちは必死の推理と捜査を展開するが――。 ※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 江戸の夢びらき
    4.0
    初代〈市川團十郎〉空前の一代記 〈荒事〉の開祖にして最後は舞台上で刺殺されたカリスマ。謎多き初代團十郎の生涯を元禄の狂乱と江戸歌舞伎の胎動とともに描き切る。 命を燃やすが如き〈荒事〉によって歌舞伎を革新し、元禄の江戸を熱狂させた初代・市川團十郎。民衆から信仰にも近い人気を得て、今なお愛される名演目と斬新な演出を生み出した不世出の天才役者はなぜ舞台上で殺されたのか。謎多き生涯と芸の神髄に迫る圧巻の一代記。巻末エッセイ・岸田照泰(成田山新勝寺中興第22世貫主) ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 神域
    3.5
    1巻950円 (税込)
    アルツハイマー病を治す「奇跡の細胞」が誕生!? バイオ・ビジネスの光と闇を描く迫真の医療サスペンス。 篠塚と秋吉は二人三脚で脳細胞を再生する人工万能幹(IUS)細胞「フェニックス7」を開発、アルツハイマー病の克服を目指していた。だが、人体への移植には莫大な資金と研究環境が必要で、篠塚は世界的なIT企業を一代で築き上げた氷川の助力を得ることに成功した。 再生医療を国家戦略の柱としたい日本政府は、一刻も早い実用化を迫っていたが、一方で古い体質を維持しようとする勢力や慎重派らは陰に陽に足を引っ張り、フェニックス7の治験実現は一向に進まない。 そんな中、フェニックス7の研究施設周辺で、認知症を患ったお年寄りの謎の失踪事件が頻発していた。真相を追う刑事が追及の果てに見たものとは……。
  • 絢爛たる流離
    3.3
    3カラットのダイヤが引き起こす12の悲劇 戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら 数奇な運命をたどる。欲望と愛憎の人間ドラマを描く傑作連作推理小説。 解題・藤井康栄/解説・佐野洋 ※この電子書籍は2009年に文春文庫「長篇ミステリー傑作選」の 一冊として刊行されたものの新装版を底本としています。 【目次】 第一話 土俗玩具 第二話 小町皷 第三話 百済の草 第四話 走路 第五話 雨の二階 第六話 夕日の城 第七話 灯 第八話 切符 第九話 代筆 第十話 安全率 第十一話 陰影 第十二話 消滅
  • 震雷の人
    4.8
    ★中華時代小説の新鋭が放つ、松本清張賞受賞の大河武侠小説 〈安史の乱〉により未曾有の混乱に陥った唐で、 言葉の力を信じ、戦禍の流れを変えるべく奔走した顔季明。 彼の言葉を胸に、武芸に秀でた許嫁の張采春は故郷を出奔し、 采春の兄の張永は叛乱軍との戦へ身を投じた。 袂を分かった兄妹の運命は戦場にて思わぬ形で交差する――。 約3600万人もの犠牲者が出たと言われる〈安史の乱〉を背景に、 言葉の力で世を動かしたいという一心で文官を志す名家の青年と、 理不尽な理由で世間からつまはじきにされてきた地方の兄妹の 運命の出会いが唐の歴史を大きく動かす。 手に汗握るアクション、ハラハラする謀略、 そしてかけがえのない友情と愛情……。 そのすべてが詰まった、圧倒的スケールの武侠小説登場! (解説 三田主水) 第27回松本清張賞受賞作。 ※この電子書籍は2020年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 大谷翔平 野球翔年 I日本編2013‐2018
    4.3
    二刀流でメジャーMVPの原点はここに 日本でプレーした5年間を本人の肉声とともに辿る。プロでは「不可能」「非常識」と言われた二刀流を大谷はなぜ実現できたのか? ※この電子書籍は2018年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 玉蘭
    3.8
    女の中で何が壊れ、何が生まれたのか 東京の生活に疲れ、仕事も恋人も捨てて上海留学した有子。ある日、大伯父の幽霊が突然現れ…。過去と現在が交錯する異色の恋愛小説。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
  • ブラック・スクリーム 上
    4.0
    大西洋を股にかける殺人鬼VSリンカーン・ライム イタリアとアメリカで発生した拉致監禁事件。殺人の期限までに名探偵ライムは真相を暴き、被害者を救えるか? シリーズ第13弾! NYの路上で男性が拉致された。ほどなく、監禁された姿が動画サイトにアップされる。 被害者の苦痛のうめきをサンプリングした音楽とともに――。アップロードした主は自称「作曲家」。科学捜査の天才リンカーン・ライムはすぐさま監禁場所を割り出す。 しかし犯人はイタリアに逃亡。ライムたちも犯人を追って、ナポリに向かう。 ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版
    4.0
    「うつ」でも大丈夫だよ。 ――どんなに「できること」を失っても、必ずまた一緒にやっていける。 研究者として最盛期を迎えていた30代の半ばに、重度の「うつ」で言葉の読み書きができなくなっていた著者は、いかにして知性を取り戻し、しかし大学を去ると決めたのか。能力主義の限界を超える、新しい社会の見取り図はどこにあるのか。平成の「反知性主義」を検証し、疫病の令和で孤立する人を励ます真摯な一冊。解説・東畑開人●文庫大増補版●
  • 彼女は頭が悪いから
    4.2
    2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場! 私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?  深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」!  横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。 偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。 そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。 しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。 柴田錬三郎賞選考委員絶賛! 無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静 どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛 女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生 テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子 平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • そして、すべては迷宮へ
    3.9
    「怖い絵」シリーズなどで絵画鑑賞に新たな歓びを提示してきた著者による、 知的ユーモアにあふれ、ときにスリリングなエッセイ集。 『怖い絵』や『名画の謎』シリーズで絵画鑑賞に新たな視点を提示した著者は、芸術を、人を、どのように洞察するのか? 名画との衝撃的な邂逅や、一見穏やかに見える日常から掬い取るおかしみと歓び。 「絵を買う人々」「夫たちの怖い秘密」「幸運の前髪」「異類婚の哀しみ」等を収録した初のエッセイ集が文庫オリジナルで登場!
  • 任務の終わり 上
    4.5
    ミステリーとホラーを最高レベルで融合させた、巨匠渾身の三部作・完結編! あいつの悪意がふたたび動き出す――。 相棒のホリーとともに探偵社を営むホッジスのもとに、現役時代にコンビを組んでいたハントリー刑事から 現場にきてほしいとの連絡が入った。事件は無理心中。6年前に起きた暴走車による大量殺傷事件で 重篤な後遺症を負った娘を、母親が殺害後に自殺したものとみられた。だがホッジスとホリーは 現場に違和感を抱き、少し前にも6年前の事件の生存者が心中していたことを突き止める。 一方、6年前の事件の犯人が入院する脳神経科クリニックでは、怪事が頻々と発生していた――。 エドガー賞受賞の傑作『ミスター・メルセデス』でホッジスと死闘を演じた「メルセデス・キラー」が静かに動き出す。 底知れぬ悪意が不気味な胎動をはじめる前半戦が、ここに開始される。 ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 監禁面接
    3.6
    『その女アレックス』の鬼才ルメートルが放つ徹夜必至、 一気読み保証のノンストップ再就職サスペンス。 リストラで職を追われたアラン、失業4年目、57歳。再就職のエントリーをくりかえすも 年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。 だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。 だが最終試験の内容は異様なものだった。 〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ――〉 どんづまり人生の一発逆転にかけるアラン。愛する妻と娘たちのため、 知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む! 解説:諸田玲子 ※この電子書籍は2018年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • メディアの闇 「安倍官邸 VS.NHK」森友取材全真相
    3.3
    なぜ放送されないんだ! エース記者はなぜNHKをやめたのか。 官邸からの圧力、巨大組織内で上層部から歪められる報道── スクープの裏側を「忖度なし」に書き尽くす。 社会に衝撃を与えた『安部官邸vs.NHK  森友事件をスクープした私が辞めた理由』を改題し、大幅加筆。 「文庫化にあたって 『この本には虚偽がある』は虚偽である」をはじめ、単行本刊行後の怒濤の展開も描いた決定版。 著者は「森友事件」の発覚当初から事件を追い続けたNHK大阪放送局の司法担当キャップだった。 次々に特ダネをつかむも、書いた原稿は「安倍官邸とのつながり」を薄めるように書き換えられていく。 NHKでも検察でも東京vs.大阪のせめぎ合いが続く中、ついに著者は記者職からの異動を命じられた。 記者であり続けるために職を辞した著者が、事件の核心、取材の裏側、そして歪められる報道の現在を赤裸々に明かす、渾身のノンフィクション。 この話には続きがある。 「この単行本が出来上がろうかというタイミングで赤木雅子さんに初めて会えた。 その後、劇的な展開を見せて、週刊文春での赤木俊夫さんの遺書全文公開、国と佐川氏の提訴に至った。 森友国有地値引きも公文書改ざんも何一つ古びていないし終わってもいない」(「文庫化にあたって『この本には虚偽がある』は虚偽である」より) 今、メディア不信は最高潮に達している。 権力に牙を抜かれ、批判能力を失う一方で、現場の最前線には、真実を伝えるために日夜格闘する記者たちがいる。 すべてはここから始まった――。 メディア、公正な報道が危機に瀕する現代、必読の書。 解説:田村秀男(産経新聞特別編集委員) ※この電子書籍は2018年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 血と炎の京 私本・応仁の乱
    4.0
    行間から血の匂いが立ち上ってくるかのような迫力。 応仁の乱を描いた小説中の最高峰だ。――田中芳樹 応仁の乱――それは地獄の戦さだった。 かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。 連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。 日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。 そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。 行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。 額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。 男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。 しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。 一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、 渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。 京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。 その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。
  • コルトM1847羽衣
    4.0
    女渡世人の羽衣(はごろも)お炎(おえん)は、失踪した思い人・信三郎を追って佐渡へと渡った。 軽業師のおみんを味方に得たお炎は、邪教集団“オドロ党”が跋扈する島の実態に戦慄する。 佐渡奉行に薩摩浪士もからむ、謎また謎。金山の底で背中の切り札、最新式コルトM1847が火を噴いた! 正統時代伝奇×ガンアクション、シリーズ第2弾。 背中に背負った切り札 天下無双の新式コルトが 巨悪を撃つ! うねる物語! イッキ読み時代小説! 稀代の女侠客 羽衣(はごろも)お炎(えん)登場! 轟然と火を噴く新型の短筒。 左手で撃鉄を叩く 華麗な銃さばき。 立ち姿の艶やかさ。 風に颯爽と翻る被衣が、 真夏の日差しに白く輝く。 気っ風がよくて 度胸があって、それでいて 優しく情は細やか――        (本文より) 解説・細谷正充 ※この電子書籍は2018年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 辺境メシ ヤバそうだから食べてみた
    4.4
    人類最後の秘境は食卓だった!? カエルの子宮、猿の脳みそ、ゴリラ肉……。未知なる珍食を求めて、世界を東へ西へ。 子供の頃は、好き嫌いが多かったという著者は、大学の探検部の遠征でアフリカ・コンゴへ行ったのをきっかけに、 「食ビッグバン」を起こし、一気に珍食のトリコに! 世界中を訪れた探検家・高野秀行さんが綴った抱腹絶倒エッセイ! 解説・サラーム海上 ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • スティール・キス 上
    4.0
    名探偵リンカーン・ライムが刑事事件の捜査から撤退。 連続殺人鬼「未詳40号」をアメリア・サックスは単身追うが―― 殺人犯を追跡中のアメリア・サックスの目の前で、エスカレーターが通行人を巻き込んだ!アメリアの必死の救助活動もむなしく男は死亡、殺人犯「未詳40号」も逃走してしまった。 ある事件をキッカケにリンカーン・ライムがニューヨーク市警の顧問を退いた今、アメリアはライムの助力を得られず、その教えに沿って捜査をつづけるほかなかった。 一方ライムは、エスカレーターで死亡した男の妻から民事訴訟のために事故を調査してほしいとの依頼を受ける。ライムの弟子として働き始めた車椅子の元疫学研究者ジュリエット・アーチャーを交え、調査が開始される。なぜエスカレーターは不具合を起こしたのか。そもそもこれは事故なのか。犯人追跡のさなかに事故が起きたのは偶然なのか? そして「未詳40号」ことヴァーノンが物陰からそっと眼を光らせる。自分を追う女刑事アメリア――殺人計画を完遂するためには、あの女刑事を阻止しなくてはならない……。 日常の道具を凶器に変える殺人者。鉄壁のパートナーシップが揺らぐ中、名探偵ライムと刑事アメリアは犯人を捕らえることができるのか。 ドンデン返しの魔術師の名シリーズ、第12作。 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 鵜頭川村事件
    3.6
    3年ぶりに帰った故郷は、狂気に満ちていた 父と娘は、閉ざされた狂気の村から逃げられるか 墓参りのため、亡き妻の故郷・鵜頭川村を三年ぶりに訪れた岩森明とその娘。 突然、豪雨にみまわれ、山間の小さな村は土砂崩れで孤立。 そして、若者の死体が発見された。 犯人は村人か、それとも――。 降りしきる雨の中、父と幼い娘は暴動と狂乱に陥った村から脱出できるのか。 血と恐怖のパニック・サスペンス!
  • 夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールII
    3.5
    花火合戦に挑んだ酔っ払いの末路とは――  新たなる黄金時代を迎えた「恐怖の帝王」が短編小説の才能をみせつける短編集その2。  滅びゆく世界を静かに見つめる二人の男と一匹の犬――悲しみに満ちた風景を美しく描く表題作。 湖の向こうの一家との花火合戦が行きつくとんでもない事態を描く「酔いどれ花火」。 架空の死亡記事を書くと書かれた人が死ぬ怪現象に悩まされる記者の物語「死亡記事」他、 黒い笑い、透明な悲しみ、不安にみちたイヤミス、奇想が炸裂するホラ話、そしてもちろん化け物も!  バラエティあふれる10編を収録。帝王自身による舞台裏の解説も楽しい短編集その2。
  • 池袋ウエストゲートパーク ザ レジェンド
    4.1
    10月、ついにTVアニメ放送が開始! シリーズ初期から近作まで、アニメ化エピソードと、読者投票で人気のエピソードを中心に厳選! マコトとタカシの魅力が全開の一冊。
  • 13・67 上
    4.1
    華文ミステリーの到達点を示す傑作! 名刑事クワンと弟子のローが挑んだ六つの難事件。 香港警察の「名探偵」と呼ばれた伝説の刑事クワン。2013年、末期がんで余命僅かな彼のもとに、難事件の捜査で行き詰ったかつての部下、ローがやってくる。 クワンが最後の力を振り絞り提案した前代未聞の捜査方法とは――。 戦後香港の現代史と一人の警察官人生を重ねながら、権力者と民衆の相克を描く華文ミステリーの傑作。 綾辻行人氏も絶賛! 最初の「黒と白のあいだの真実」を読んでまず、何と高密度・高レベルの本格ミステリであることか、と驚嘆した。 続く5つの中編も同様で、「本格」の典型からさまざまに逸脱していきながらも、すべてが実に本格ミステリ的な、優れた創意と技巧によってこそ成り立っているのだ。――という点も含めて、『13・67』は大変に感動的な1冊である。 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ゴー・ホーム・クイックリー
    3.8
    「あんたは日本の憲法だけでなく、日本語も変えようというのか」 日本政府とGHQとの言葉を巡る攻防を描く、「日本国憲法」誕生の物語。 終戦後の昭和21年2月、内閣法制局の佐藤達夫は突然、憲法問題担当大臣に呼び出された。 新憲法の日本政府案をGHQが拒否し、英語の草案を押し付けてきたという。 その邦訳やGHQとの折衝を命じられた彼は、白洲次郎らと不眠不休で任務に当たる――。 現憲法の成立までを綿密に描く、熱き人間ドラマ。 今こそ読むべき「日本国憲法」誕生の物語。 解説・大矢博子 ※この電子書籍は2018年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 祈り
    3.5
    1巻950円 (税込)
    どうして、自分が大切に思うものは消えて行くのか? ふたりの人生が交錯する時、心震える奇跡が起きる 東京になかなか馴染めない25歳の楓太は、ある日公園で信じられない光景を目にする。炊き出しのうどんを食べる中年男・春輝が箸を滑らせたその瞬間――。 “田舎者”の劣等感を抱える若者と、“望まない力”を持つがゆえ暗い過去を背負って生きてきた中年男の人生が交錯するとき、心震える奇跡が起きる。 解説・杉江松恋 ※この電子書籍は2015年3月に文藝春秋より刊行された単行本『ひとりぼっちのあいつ』を改題し、大幅に加筆修正をしたものです。
  • のりたまと煙突
    3.4
    ファミリーレストランで、近所の公園で、人生の瞬間と現代を鋭く見すえる――。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。本好き達に激賞された、短篇小説のようなエッセイ集が電子版で登場! すべてを忘れて、私たちは幸せに近づいたのだろうか……。 吉祥寺と、戸越銀座。著者はさまざまな猫たちとの出会いと別れを経験し、生と死、そして忘れえぬ過去の記憶へと思いをめぐらせていく。 さりげない日常からつむぎ出される短篇小説のようなエッセイのひとつひとつに、現代への警鐘と内省がにじむ。 解説・角田光代 ※電子書籍化にあたり、新章「地中に埋まっている部分」を収録。
  • 覗くモーテル 観察日誌
    4.0
    他人の性生活を、覗いてみたい――。 天井裏に自分だけの覗き部屋を作ったモーテル経営者、30年の奇妙な記録。 1980年のはじめ、著者のもとに一人の男から奇妙な手紙が届く。 男の名はジェラルド・フース。コロラド州デンヴァーでモーテルを経営しており、 複数の部屋の天井に自ら通風孔と見せかけた穴を開け、秘かに利用者たちの姿を観察して日記にまとめているという。 男を訪ねた著者が屋根裏へと案内され、光の洩れる穴から目撃したのは、全裸の魅力的なカップルがベッドでオーラルセックスにはげむ姿だった――。 ヴェトナム戦争で傷ついた兵士とその妻の行為から、不倫や同性愛、グループセックス、 さらには麻薬取り引きの絡んだ殺人事件まで、三十年に及ぶ記録からはアメリカの世相、性意識の変化が見えてくる。 解説・青山南 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三
    4.3
    第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 民俗学者・宮本常一の人と業績を、財界人・渋沢敬三との交流から描いた傑作評伝。 日本中の村と島を歩き尽くした男がいた――。 瀬戸内海の貧しい島で生まれ、日本列島を隅から隅まで旅し、柳田国男以来最大の業績を上げた民俗学者・宮本常一。 「日本資本主義の父」渋沢栄一の孫として生まれ、財界人として活動する一方で、パトロンとして物心両面で宮本を支え続けた渋沢敬三。 対照的なふたりの30年に及ぶ交流を描き、宮本民俗学の輝かしい業績に改めて光を当てた傑作評伝。 第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 解説・稲泉連 電子書籍化にあたり、新稿「素晴しき「助平」たち――渋沢栄一と宮本常一」を収録した。
  • わずか一しずくの血
    4.0
    長年埋もれていた連城三紀彦のミステリー長篇! ファン待望、必読の一冊。 薬指に結婚指輪をはめた左脚の白骨死体が山中で見つかり、 石室敬三とその娘は、その脚が失踪した妻のものだと確信する。 この事件をきっかけに、日本各地で女性の身体の一部が発見される。 伊万里で左腕、支笏湖で頭部、佐渡島で右手…… それぞれが別の人間のものだった。 犯人は、一体何人の女性を殺し、 なんのために遠く離れた場所に一部を残しているのか? 壮大な意図が、次第に明らかになっていく超絶ミステリー。 ※この電子書籍は2016年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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