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この国の人間関係は二つしかない。密告しないか、するか──。
第18回大藪春彦賞受賞作! 革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント
バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。
留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。
中でも学内の誰もが認める二人の天才が──
正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。
奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。
ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。
その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。
演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。
彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。
冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。
ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。
圧巻の音楽描写も大きな魅力!
本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』
ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ……etc.
解説・朝井リョウ
Posted by ブクログ 2024年03月29日
90代の利用者さんから、「私、これ好きだからあなたも絶対ハマるわよ」とお薦めされた2冊目でした。
2024/03/28読破
一言 ドイツの歴史と音楽を通した主人公の感情の変遷、そして最後物語を占めるラストに感動しました。
感想
まだ、ベルリンの壁がある頃のドイツのお話。音楽や人種を主題...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月03日
若きピアニストの成長物語でもあり、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ=DDRを描いた歴史小説でもあり、誰が味方で誰が敵なのか分からないミステリでもあり。
それらが散らかることもなく密接に絡み合い同時進行して行くのでグイグイ引き込まれてしまった。
ヴェンツェルもイェンツもそれぞれに許されないことをしている...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月30日
歴史物は普段読みませんが、帯につられて購入。結果、めちゃめちゃおもしろかった!!
音楽のことは詳しくありませんが、まず音楽の描写が素敵。そしてそれに加えて、当時の情景描写が秀逸すぎて脱帽!
昔、人生に一度は壁の名残を見てみたいと思って、冬のベルリンに一人旅に行ったことがあります。当然冷戦は終わっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月01日
アーティストのKitriさんがお勧めしていたのがきっかけで手に取った本。元から歴史小説が好きで司馬遼太郎ばかりを読んでいたが、そこにはないミステリーの要素があり一気に引き込まれてしまった。ベルリンの壁崩壊前のドイツの空気感を知り、音楽家の成長過程の葛藤を知り、さらに須賀しのぶさんの小説にハマるきっか...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月05日
何とも言えない読後感。「ベルリンの壁崩壊」、「東西統一」といったことばだけで知ることができない、西と東に翻弄された一人ひとりの人生や家族。音楽の美しさ、音楽の存在、音。それら全てを融合した素晴らしい作品だった。戦う人の音楽に惹きつけられる、というのは、現代でも同じなのかもしれない。ちゃんと「生きる」...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月28日
本を読んで鳥肌が立つと言う経験を初めてした。
感動という言葉では表しきれないほど大きく心を動かされて、読み終わった今も心の震えが止まらない。やっぱり読書って色んな世界に行くことができて楽しい。読書って素晴らしい、と再認識させてもらえるような一冊。
まるで作者がベルリンの壁崩壊前の東ドイツを実際に経...続きを読む
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