【感想・ネタバレ】革命前夜のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ドイツの話なので、地名や人物名にカタカナが多く難しかったが、読み終えた時の感動はひとしおだった。
解説にもあったが、体験したことのないことをこんなに鮮やかに描写できるのはすごいと思う。
主人公たちが生きた、激動の時代を追体験したような気分になれる。

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

作中に出てくるバッハやラインベルガーの曲を聴きながら読書。ストーリーの急展開が、東ドイツ(DDR)の革命前夜を背景に繰り広げられていく。それぞれの登場人物が監視社会やそこからの変革に翻弄され、変わっていく。原罪を背負って嘘を貫き通したイェンツの周りは、救済されたのだろうか

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2024年04月12日

Posted by ブクログ


90代の利用者さんから、「私、これ好きだからあなたも絶対ハマるわよ」とお薦めされた2冊目でした。

2024/03/28読破 

一言 ドイツの歴史と音楽を通した主人公の感情の変遷、そして最後物語を占めるラストに感動しました。

感想 

まだ、ベルリンの壁がある頃のドイツのお話。音楽や人種を主題に、当時の出来事や歴史と音楽を掛け合わせたようなエピソードが多く非常に読み進めるのが面白かったです。
教養のための読書にもなり、趣味としても読書になるそんな良書でした。

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2024年03月29日

Posted by ブクログ

数年前に読み、その時は普通に「あー面白かった」という感想。
しかしずっと私の心の奥にじんわり残る作品です。
買い戻して再度読みたい本です!

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

若きピアニストの成長物語でもあり、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ=DDRを描いた歴史小説でもあり、誰が味方で誰が敵なのか分からないミステリでもあり。
それらが散らかることもなく密接に絡み合い同時進行して行くのでグイグイ引き込まれてしまった。
ヴェンツェルもイェンツもそれぞれに許されないことをしているんだけど、それぞれに魅力的でもあり物語の真の主役は時代と社会情勢に翻弄されたこの二人とも言えるかも。

火事場の馬鹿力かもしれないけど、それはマヤマ強過ぎじゃない?ってシーンがありそこはちょっと笑ってしまった

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

歴史物は普段読みませんが、帯につられて購入。結果、めちゃめちゃおもしろかった!!

音楽のことは詳しくありませんが、まず音楽の描写が素敵。そしてそれに加えて、当時の情景描写が秀逸すぎて脱帽!

昔、人生に一度は壁の名残を見てみたいと思って、冬のベルリンに一人旅に行ったことがあります。当然冷戦は終わっているし、マヤマと同じで全く関係ない国からきた日本人だけど、それでも、壁からなんとも言い表せない冷たさや重力を感じました。もちろん作者さんと私が実際に見た景色は全く違うものだとは思いますが、私が「なんとも言い表せない」と感じたことを見事に表現してくださっています。

音楽だけだったら最後まで読めなかったと思いますが、スパイ要素というかミステリー要素(?)が上手くミックスされていて、普段歴史物読まない人でも飽きずに読めるかなと思います。(特に後半は色んなことが回収され始めて、そこからは一気に読めます!)

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

過酷、だけど悲惨という言葉は似合わない物語なのは、登場する少年少女誰もが心に音楽への揺るぎない渇望があって、"焔を守"り続けたからだと思いました。

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2023年08月03日

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アーティストのKitriさんがお勧めしていたのがきっかけで手に取った本。元から歴史小説が好きで司馬遼太郎ばかりを読んでいたが、そこにはないミステリーの要素があり一気に引き込まれてしまった。ベルリンの壁崩壊前のドイツの空気感を知り、音楽家の成長過程の葛藤を知り、さらに須賀しのぶさんの小説にハマるきっかけとなった。この小説に出会えたことに感謝。

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2023年07月01日

Posted by ブクログ

何とも言えない読後感。「ベルリンの壁崩壊」、「東西統一」といったことばだけで知ることができない、西と東に翻弄された一人ひとりの人生や家族。音楽の美しさ、音楽の存在、音。それら全てを融合した素晴らしい作品だった。戦う人の音楽に惹きつけられる、というのは、現代でも同じなのかもしれない。ちゃんと「生きる」生き方、自分で考えて選びとっていく生き方をすることの大切さも感じた。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

難しい話だった…
私はベルリンの壁について、壁が作られていたんだよ〜ということしか知らなかったし、それが実際どういう事を意味していたのかは理解していなかった。
物語を通して歴史の一部を知ることができてよかった。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

本を読んで鳥肌が立つと言う経験を初めてした。
感動という言葉では表しきれないほど大きく心を動かされて、読み終わった今も心の震えが止まらない。やっぱり読書って色んな世界に行くことができて楽しい。読書って素晴らしい、と再認識させてもらえるような一冊。

まるで作者がベルリンの壁崩壊前の東ドイツを実際に経験してきたかのように、目に見えるものも誰かの言葉も行動も、全てのものがあまりにリアル過ぎて、フィクションとは思えない。
後書きで浅井リョウさんが「書けないものがない系」と表現されてるように、本当に天才なんだと思う。

そして音楽の描写も本当にすごい。目に見えないものをここまで丁寧に言語化できるなんて…。とにかく文章が上手いと思う。一字一句が美し過ぎて、息を呑む瞬間がたくさんあった。

人生に一度は読んでおきたいような本。
出会えてよかった。




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2023年04月28日

Posted by ブクログ

音楽の描写が秀逸!
音楽ってこんなに文章化できるんだ!と感動しました。

登場人物たちの音楽への関わり方をみると、純粋に音楽という芸術と向き合うことは愛だけじゃ無理なのかもな、と思う。憎んだり苦しんだりしても、それでも愛がまさって音楽に誠実である姿が健気で力強くて好きでした。

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2023年04月10日

購入済み

素晴らしい傑作

本屋さんで紹介されていたので興味を惹かれました。どんどんどんどん吸い込まれて夢中で読んでしまいました。映画をみているかのような、余韻が続き呆けてしまうような感動。これはすごい。

#切ない #感動する #ドキドキハラハラ

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2021年05月29日

Posted by ブクログ

ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツにピアノ留学した日本人青年、眞山柊史が主人公。

一流の音楽家を目指す若者たちが奏でるバッハやメンデルスゾーンなどの曲の表現が素晴らしく
文字を追いながらその曲聴くと
知識のない私でもすごく心に響き、
贅沢な読書時間でした。

ベルリンの壁崩壊の映像は鮮烈に覚えているが
それ以前のヨーロッパをあまり知らなかったので
東ドイツやハンガリーは
こんな雰囲気だったのかと自分の無知を恥じます。
革命前の東ドイツの監視社会の恐ろしさ
後半ミステリー要素もある
現代史エンターテイメントと言うべき名作。
最後まで一気に読めました。

イェンツは最後までパーフェクトな
悲しいほどパーフェクトな人物だったなぁ。

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2022年12月11日

Posted by ブクログ

ヨーロッパ、ベルリンの壁崩壊前夜の東ドイツ、その暗い社会システム、クラシック音楽、ピアニストやバイオリニストを目指す若者の友情、葛藤、自覚、夢。こういった舞台背景と装置とテーマがあれば、だいたいどういう物語なのか想像はつく。そして、予想通りであった。
だが、読み進めるにつれて、この舞台の中で、読者である自分も主人公に寄り添い、同じ空気を呼吸し、同じ風景を見ているような気分にはなる。それだけ豊穣なテクニックが注ぎ込まれた小説であると思う。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

冒頭の100ページくらいまでは、正直世界観に面食らってなかなか読み進めるのが難しかった。ベルリンの壁崩壊という文言はもちろん知っているが、実際どうして起こったのか経緯を知らない私からすると、どうも話が入ってこなかった。
中盤からはミステリー的な要素もあり話を進んでいくにつれて、ようやく内容が分かってきた。東ドイツが密告者や監視対象がいたなんて信じられないそんな状況だったことを知った。そこまでみんな自由を脅かされ西への憧れが強いのか。
フィクションだと分かっていても、ほんとにこういうことが起きていた、主人公たちが実在していたと思わせるくらいリアルな小説だった。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

世界史専攻ではなかったからベルリンの壁が壊れた年月しか知らなかったが、そこまでの西東の人々それぞれの苦悩や葛藤を音楽のテーマにのせられながら知ることができた。留学生という立場から見る東西の国の現状は現地の人とはまた違う見え方をしていたのだろうし、マヤマの観察力に助けられながら登場人物の心の内を汲み取ることはただの読書という行為にとどまらない経験になったと思う。

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2024年02月26日

Posted by ブクログ

思ったよりクラシックの描写が多く驚いたが、非常にじっくりと読み進めることができた。
バッハの作品はどれも美しくて、他の音楽とは別次元のものに感じた。
ドイツの歴史に関してはベルリンの壁崩壊は知ってはいるが、具体的なところまでは知らなかったので非常に新しい知見を得た。なにより、朝井リョウさんの解説が本当にしっくりきた。
ドイツ…行きたいなあ…。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ


音の表現力が凄すぎた

歴史やクラシックに疎いので前半はなかなか読み進められなかった
後半からミステリーの要素もあり裏切りもあり文章がすごい構成だった

DDRの廃れた世界の雰囲気と様々な音楽の彩りある世界の対比が美しかった

相変わらず朝井リョウの解説はわかりやすい
「私は小説を読む歓びのの一つに、世界を見つめる視点が増えることがあると思う。対岸の火事と思っていた光景を、自分が立っている場所と地続きの場所で起きている事象なのだと気づけるようになる。」という言葉もすごく好きで、ああ、だから自分は小説が好きなんだなあと実感

満足感のある素敵な小説でした

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

「正義」ってなんだろう?
良かれと思った事が他人には良くないかもしれない。
結局は、自己の承認欲求を満たす利己的行為なのではないか。


 始まり
場面は、留学性がドイツに到着してまもない。空港からホームステイまでの車
 ドイツは綺麗で西欧建物の開放的で繊細なアートな建物をイメージしていた
しかし、主人公の表現でイメージは崩れる
場面は暗い、廃れた、なんだかイメージとは違う、冷たいネガティブな始まり。
 ついてまもなく、ホームシックかな?
この場面に現実的で沁みやすいリアルを感じ、感情が浮んだ。
長期連休終わり間際の、楽しかった想いで写真を見返しながら
楽しかった昨日に戻りたくなる。現実から逃げたくなる。「あの」感じ


人目惚れや人との繋がりに飢える主人公の甘酸っぱい、人間味の感情が、繊細かつリアルに綴られてる。
自分が好きな物、大事にしている事を語られる人は特別な存在だ。
ましてや、外見も美しく好みだとより一層特別な恋心が芽生えると思う。

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2023年08月01日

Posted by ブクログ

米ソ冷戦中に子ども時代を送った身としては、東ドイツのベルリンの壁がハンマーやつるはしで壊されている映像はにわかには信じられなかった。これが、ソ連の崩壊につながっていくんだと思うと感慨深いものがあるし、この作品が今そこで起こっている錯覚を覚えるくらい、リアリティがあった。

須賀さんの作品は青少年向けの野球小説しか読んだことがなかったので、こんなに重厚な歴史小説+音楽小説を書く方だとは・・・認識不足でごめんなさい。

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2023年06月19日

Posted by ブクログ


あっという間に読み終わってしまった。
梅田のジュンク堂の会計カウンター付近の一番目立つ所に長い事平積みされてたのも頷ける。
(買ったのはずっと後で、天満の古本市だったと思う)

序盤は硬過ぎて物語に入り込めるだろうかと不安だったが、杞憂だった。
水慣れしたころには怒濤に次ぐ怒涛の展開に寝食忘れて貪るように繰った。

ベルリンの壁崩壊直前、
自分のピアノの音を見つけに東ドイツに留学した主人公が、友人、国、さまざまな出会いや経験を経ていく。

社会情勢、文化的差異、クラシック、ヒューマニズム、政治活動、
膨大な知識と地肩で精緻極まる物語を紡ぐ氏の、歴史音楽青春ストーリー。

解説の朝井リョウの文章が、ほぼ言いたい事言ってくれてた。

我の見えない"水のような"人間描写、風景描写、経験した事が無いものをまるで経験してきたかのように表現できる筆力、人を書ききるとは、描いてないところもその人ならそう行動するだろうと容易に想像できるほどのディティールで創り上げることなのだと実感する。

音楽に対する
「唯我独尊vs精密機械」=
自由と規律というイズムの対立は、
さながら民主主義と共産主義、
東と西の対立の揶揄でもあるだろう。

とするだけではなく、
オセロのように白黒ひっくり返っていく人面、好感度上げ下げ、
縦横無尽に駆け巡る思惑、旋律、ドラマ。

これを主人公のピアニスト人生の起点、
エピソード0、つまりは革命前夜。
とするならこれほどの物語はない。

ニューシネプロットでも面白かったかもしれないが、そうなるとラストのあれのキレが落ちるか。

たらればの妄想話が詮無いことだとわかっていても、ピアノオルガンソナタを弾く主人公を想像せずにはいられない。そこが憎い演出。

そして穿った見方をすれば、
主人公さえいなければ、この舞台は平行線を辿ったまま、筒がない日常の一コマで終わっていたかもしれない。ということ。

サッカーでは、目に見える結果でないところで働き、試合を円滑に動かす選手の事を"水を運ぶ人"と言ったりするが、そう言う意味でも、主人公は"水のような"主人公なのかもしれない。

逆に言えば、それこそが主人公性であり、必然的ドラマの晶出でもあると言える。

ヴェンツェルへの待遇を見るに、
気難し屋への讃歌と捉えられなくもない。

優しい人は厳しい。
厳しい人は優しい。

砂糖を蜂蜜で固めた菓子より、
西瓜に塩をかけて食べるほうが甘い。

みたいなことです。

なんにせよ推せる本です。

随所に織り込められる楽曲をBGMにして没入感を増しながら読むのオススメです。

プレイリストとかググったら出てきそうな。

久々に会心の読書体験だった。

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2023年06月14日

Posted by ブクログ

冷戦下の東ドイツの鬱屈した退廃的な世界が、これでもかと書き連ねられていた。面白いかと言われれば、正直首を傾げるだろう内容だったが、歴史エンターテイメントとして一定の価値はあると思った。それだけ歴史的背景と考察によって作り込まれた世界観が圧巻だった。

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2024年04月15日

Posted by ブクログ

読書好きの友人の勧めで読んだ
読んでいると冷戦時代の東ドイツの鬱屈とした感じ?がよく伝わった、読んでいて灰色の重たい雲がずっと頭上にあるような感じで、それだけに最後がとても爽快感があってよかった
音楽やこの時代の東側諸国のことなどにやや興味があったので面白かったが、家族に勧めたところ序盤で読み疲れてやめてしまっていた

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

一つ前に読んだ本が重厚な歴史小説だったせいか、物足りない感じがしました。音楽の描写や洞察は素晴らしいし、面白い主題だなと思ったのですが、、、なんとなく散漫で、複数あるテーマがバラけてしまってポカン…でした。少し新しい知識がついたなと言う意味では読む意味はあったかと。若い人向けかも。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

音楽や歴史の聞き馴染みのない言葉たちに、序盤は読むのに時間がかかってしまったが、
終盤で色んなことが明かされて、どんどん面白くなっていった。
現代の日本では全く想像がつかないような、自由がない生活を当たり前にしている人がいたんだな、、

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2024年03月21日

Posted by ブクログ

★3.5。
なかなか面白くて長旅とかに良さそうに思います。すらすらと読めますし。
しかしあれから30年超、ドイツ国内でも差が存在すると聞きますし、実際、どこかうらぶれてる感じがドレスデンにもライプツィヒにも、もっというとベルリンの東側にもなくはなく、現在生活をする現地の人たちはどう思ってるんだろう。。。
そういった現在の状況への言及(直接的ではなく、上手な間接的ほのめかし)の弱いところがこの小説には欲しい。
そういう小説ではない、ということはないと思う。そこに生きた人たちの想いを下敷きにしているのだから。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

はじめて読んだ須賀しのぶ。
今夏、これもはじめて皆川博子を読み、そこから、佐藤亜紀、深緑野分も読んだので、架空西洋史ドラマをかく女流作家の系譜を抑えたことになった。偶然だけど。
皆川ー佐藤ー須賀ー深緑というこの四作家、どれも初めて読んだ作家だったけど、空気が近いのですんなり楽しめた。
中では、皆川、佐藤が好みかな。

まあそんなことはいいのですが、革命前夜はベルリンの壁崩壊前夜に東ドイツに音楽留学した日本人マヤマを主人公にした物語。
東西冷戦のさなか、音楽の街ドレスデンではなにが行われていたのか。
美しい音楽のもとで、精神をぶつけ合い、せめぎ合う学生たち。
しかし実際に水面下で繰り広げられるのはスパイ合戦そのままの世界。
背筋が冷たくなる。

迫力あるこの時代の空気感が主役。
黒幕はすぐわかるし、それほどどんでん返しはない。
強いて言うなら、朝井リョウの解説にあった作者のアンテナの話にびっくりした。

音楽ネタが随所にある。描写がきれい。
バッハ、ラインベルガー、メンデルスゾーン、好き好き〜と嬉しくなった。
フィデリオってそんな重要な話だったのか。
ベートーヴェンらしい真面目なオペラという印象だった。

追記。
ハンガリーのヴェンツェル、という名前を見て、マヴァール年代記を思い出す私は若くない、と思った。

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ読むの時間かかった。読んで良かったと思う、けどヨーロッパ史をあまりにも知らなくてこんな事があったんだって認識する程度の理解しかできなかった。人間って難しい

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

ベルリンの壁崩壊直前の東独を舞台に、当時のイデオロギー、社会や人々の大きなうねりを日本人留学生ピアニストの目を通して語る作品。

この作家さんの筆力は、本書の解説あるいは他のレビューにある通り。素晴らしいと思う。とりわけ音楽を語る部分は、小説でしか、文章でしか、それこそ音それ自体ででも(少なくとも音痴の私には)理解できない機微を表現しており、そこには感嘆しかない。それを味わうだけでも一読の価値はある。必ずしも本書が究極というわけではないのだけれども、「文章でしか奏でられない音がある」ということに気がつかせてくれたという意味では私はこの本は星5つだと感じている。

ただ残念ながら、すべてを語るフィルタとなる主人公。
彼の成長も併せて表現しているのだと思うのだけれども、成長した後をとってしても「浅いなあ」という印象を拭えなかった。
筆者も意図として、その国の当事者として必死に生きる人々に対して、若干ぬくぬくと平和に生きているお気楽な日本人という構図を作ったのだと思うのだけれども、結局そこを最後まで脱せなかったという不完全燃焼というか、一抹のイライラ感というか。そうかー、君の一番のモチベーションは恋心かー、みたいな。

私がもう枯れたおっさんだからなのかもしれないが、この部分、もったいないかもなあと感じた部分。
でも世界史の教科書では小難しく書かれていた当時の東側の事情を、臨場感溢れる感じで楽しめる、とてもいい小説だと思う。

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の信じている人が、密告者だったら?
生きるために自分を信じてくれる人を、裏切らないといけなかったら?

蜜蜂と遠雷みたいな音楽を通じた群像劇かな?と思っていたけど、ベルリンの壁崩壊までの東ドイツでの人々の生活を知ることがメイン。舞台が音楽の都、そして音大だからか、キャラクター設定がいいと思う。周りをかき乱すぶっ飛んだ天才タイプ、合理的な秀才、寡黙な留学生、どこか影のある美人オルガニスト…アニメ化とかしたらウケそうだな〜とエンタメ脳で読んだ。あと途中である裏切りは、全然予想してなかった!

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2023年04月15日

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