国内文学 - 白水社作品一覧

  • 荷風のリヨン : 『ふらんす物語』を歩く
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    本書は資料的な裏付けに基づき、著者自身が一年かけて、実際にリヨンの町を歩きまわり、『ふらんす物語』と同じ百年前の、荷風が散策した当時の町を捜し求め、検証した記録である。

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  • 禅と浪漫の哲学者・前田利鎌:大正時代にみる愛と宗教
    -
    1巻2,772円 (税込)
    荘子をひもとく、新宗教と自由恋愛の時代! 夏目漱石の「最後の弟子」が愛したのは、平塚らいてうの姉だった──。自由を欣求した前田利鎌の遺稿をもとに、近代日本の思潮をさぐる評伝。 東工大教授になってまもなく32歳で夭折した前田利鎌は、東京帝大哲学科卒。スピノザやニーチェなど西洋哲学、荘子や禅などの仏教哲学を幅広く研究した宗教哲学者だった。 〈利鎌は漱石の門に最年少で入り、学び、書き、淪落の恋を識り、座禅に我を忘れ、生に身を焦がし、燃え盛りながら死んでいった。/孝子とらいてうも同様だ。大正の爛熟したデカダンスの徒花というなかれ。3人は旧弊な社会風紀や硬直した倫理、常識に抗った。自らに由って立つ近代人の肖像、自由と解放、照応と合一、天才と超人、各々がそれらを希求した〉(諏訪哲史「推薦者の言」より)。 らいてふの姉・孝子、漱石ら知識人─日本のフェミニズムと近代文学のはじまりとが画されたところで懊悩した人々を、貴重な資料をもとに書き上げたノンフィクション。
  • 漱石の『猫』とニーチェ : 稀代の哲学者に震撼した近代日本の知性たち
    4.0
    1巻2,640円 (税込)
    ニーチェ思想が近代日本の知識人に与えた衝撃を鮮やかに描く労作。「近代」に直面した樗牛、漱石、新渡戸、安倍能成、朔太郎、芥川らの苦悩と自己救済の格闘の様が浮き彫りにされる。

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  • 父 水上勉
    3.5
    1巻2,530円 (税込)
    日本の近代文学史上、稀代の私小説作家として知られ、数々のベストセラーを生み出した水上勉の生涯を、実子である無言館館主が書き下ろす、注目の力作。戦前、小説家になることを志し、福井から上京した水上は、食うや食わずの状態で転職を重ねながら、やがてある女性と同棲、彼女は一子を設ける。いろいろな事情で父母は幼な子を他家に養子に出すことになるのだが、その子が著者だったことは、これまで水上の『冬の光景』などに詳しい。一方戦後三十余年を経て、著者は「父」と奇跡の再会を果たす。二十年もかけて実父を捜し歩いた記録はNHKの連続テレビドラマで放映されたこともあり、感動的な物語としてよく知られるところとなっている。早い話、父母から捨てられた形ではあったが、その後著者は「父」を許すどころか、敬意をもって接することとなる。本書は〈わたしは父親の真実を知りたいという欲求におそわれる。その「人」に惹かれる。何とかして、その「人」を知りたいと思う〉という著者の強い意欲がもたらしたもので、丹念な資料収集や作品の精読はもとより、何よりも「父」との対話を通じて、評伝を超えた評伝としての姿を見せている。
  • 藤沢周平伝
    4.0
    1巻2,640円 (税込)
    元山形新聞記者が『ひさし伝』(新潮社)に続き、「東京に住んでいながら顔はいつも山形のほうを向いています」と藤沢周平自身が語る、その山形にスポットを当て、69年の人生を辿った独自の伝記。 市井に生きる人々に注がれるやさしいまなざし、忘れられかけている日本の原風景の再現、端正で清冽な詩情あふれる文章などの魅力で、今なお人気の高い作家の人生が、これまでと一風異なる視点から浮かび上がってくる。 山形新聞での井上ひさしとの対談、東京の冬と比較した寄稿など、単行本未収録の作品も紹介されており、丹念な調査から、藤沢周平の「自慢はしない」「普通が一番」という人生哲学が描かれていく。 旧制中学に通いながら文選工として働き、山形師範学校卒業後中学校へ赴任するも、肺結核に罹り東京で療養。退院後は業界新聞を転々としながら小説家への志を抱き続け、ようやく生活が安定するも妻が癌で他界、昭和46年、44歳でようやく「溟い海」でオール讀物新人賞、同48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞し、人気作家になる様子や、『たそがれ清兵衛』『蝉しぐれ』といった名作の背景も詳細に明かされていく。藤沢ファンは必携の一冊だろう。
  • 吉田満 戦艦大和学徒兵の五十六年
    -
    1巻2,376円 (税込)
    死者の身代わりの世代 吉田満『戦艦大和ノ最期』が刊行されて半世紀以上が経過した。同書は、吉川英治の勧めで僅か「一日を以て」書き上げられ、小林秀雄に見出されて『創文』創刊号に掲載されるも、占領軍によって発禁処分となった衝撃の初出から今日まで、絶えることなく読み継がれてきた戦争文学の不朽の名作である。 狭義の文芸の世界にとどまらず、組織人にとりわけ愛読されたのは著者の来歴が大きい。 吉田満は1923年生まれ。府立四中、東京高校、東京帝大法学部とエリートコースを歩むが、太平洋戦争末期、学徒出陣に伴い海軍に入隊。少尉として戦艦大和に乗り込み、大和を旗艦とする第二艦隊の沖縄特攻作戦、「天一号作戦」に参加し、奇跡の生還を果たす。この記録が『戦艦大和ノ最期』である。 戦後は日本銀行に入行。ニューヨーク事務所や人事課長といった要職に就き、考査役、政策委員会庶務部長、局長を経て、監事にまで登り詰めるが、この監事在職中に56歳で急逝した。 戦後、鶴見俊輔、江藤淳、加藤典洋らによって論じられてきた吉田。本書は「キリスト者」吉田に力点を置きながら新事実によって新たな吉田像を模索する試みである。戦中派の死生観の内奥へ。

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