寺下滝郎作品一覧

  • 新しい封建制がやってくる―グローバル中流階級への警告
    3.7
    格差の拡大は確かに問題ではあるが、それを「封建制」と言うのは大げさだと思うかもしれない。しかし、本書を読めば、そのような認識が甘かったことに気付くであろう。ーー中野剛志氏「日本版解説」 あなたは「新しい貴族階級」か。 「新しい奴隷階級」か。 私たちはどう生き残るのか。 階級や格差の固定化、社会的地位上昇機会の喪失がもたらす「新しいかたちの貴族制」を徹底分析。 アメリカを代表する都市問題研究者によるシリコンバレー発「地獄の黙示録」。 <「新しい封建制」社会はこうなる!> 【第一身分】 コンサルタント、弁護士、官僚、医師、大学教員、ジャーナリスト、アーティストなど。 高度な知識を有し、支配体制に〈正当性〉を与える「有識者」(現代の聖職者)。 【第二身分】 GAFAなどの巨大テック富裕層が率いる「新しい貴族階級」。 >>>>>>>>>>>>>> 超えられない壁 >>>>>>>>>>>>> 【第三身分】 それ以外の人びと。中小企業の経営者、熟練労働者、民間の専門技術者など。 21世紀の「デジタル農奴」「新しい奴隷階級」。
  • 新しい階級闘争―大都市エリートから民主主義を守る
    3.5
    フィナンシャル・タイムズ、タイムズなど欧米メディアで絶賛!イブニング・スタンダード紙のブックオブザイヤー受賞。「資本家」対「労働者」から「大都市エリート」対「土着の国民」へ。左右ではなく「上下」対立の時代を読み解くバイブル!ポピュリズムは病原ではなく症状だ。民主主義を滅ぼす病原は新自由主義にある 【欧米メディア&識者が絶賛】 ◎これまでで最も優れたポピュリズム分析の書(「イブニング・スタンダード」紙) ◎力作だ。欧米の政治が簡潔ながらも繊細に分析されている。ポピュリズムは、大学を出ていない労働者たちから経済的交渉力、政治的影響力、文化的威厳を奪ってきたテクノクラート新自由主義に対する反動だとリンドは主張する(デイヴィッド・グッドハート、『The Road to Somewhere』著者) 【中野剛志氏】 ポピュリズムの原因は、新自由主義的な政策によって労働者階級を抑圧し、政治・経済・文化のいずれの領域においても労働者階級を疎外してきたエスタブリッシュメントの側にある。ポピュリズムは確かに健全ではないが、それは、エスタブリッシュメントの新自由主義的な支配という疾患に現れた症状に過ぎないのである。私は、リンドの思想に全面的に賛成である(巻頭解説より) 【施光恒氏】 本書は、戦後実現した「民主的多元主義」の安定した政治が、1970年代に始まった新自由主義に基づく「上からの革命」の影響を受けた結果、機能不全に陥り、米国の国民統合が現在までにいかに脅かされ、分断が進んだか、またどのように分断の解消を図っていくべきかについて考察したものである。民主的多元主義の再生を可能ならしめるために、現行の新自由主義に基づくグローバル化推進路線の転換が必要だと本書は論じる。新自由主義的な改革に明け暮れてきた欧米諸国や日本に新しい視点を与え、自由民主主義の意味や条件を考えさせる貴重な一冊だ(監訳者解説より)
  • 秩序崩壊 21世紀という困難な時代
    3.5
    トランプのエネルギー支配外交を予言! 西洋近代は「文明の死」に向かうのか。 「エネルギー、グローバル金融、民主主義」3つの歴史を軸に、長期的な地政学的物語でそのゆくえを鮮やかに描く。 『フィナンシャル・タイムズ』ブックオブザイヤー。 誤解を恐れずに、トンプソンの歴史的分析をさらに約言するならば、2016年のブレグジットやトランプの大統領選勝利、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の原因は、1960年代から70年代にかけて、エネルギーを巡って生じた世界の政治経済構造の亀裂に求めることができるということである。――中野剛志「日本版解説」より 【本書のポイント】 ◎大混乱の起源は「1956年のスエズ危機」 ・スエズ危機とは:エジプトのナセル大統領がスエズ運河を国有化し、イスラエル船舶の通行を禁止。英仏イスラエルの3か国はエジプトに軍事行動を開始したが、アメリカがイギリスに圧力をかけ停止。英国の国力低下が白日の下に ・この件で、西欧諸国は「ソ連産」原油に頼ることに。NATOの結束に亀裂が生じる ・2022年のウクライナ戦争で、ロシア産のガス・原油に依存するドイツなど欧州諸国が、対露制裁を求めるアメリカとの間でディレンマに→1956年のスエズ危機と同じ構造が続いている ◎グリーンエネルギー重視が招く中国依存、雇用喪失、貧困と分断 ・化石燃料にとって代わるどころか、むしろ、その投入に頼る結果に ・電気自動車などの生産は、先進国ではなく、化石燃料に依存するアジアで行われる ・ゆえに、化石燃料が生み出してきた地政経済学的力学は、当面残存 ・レアアースという希少資源を産出する中国への依存度を高め、新たな地政学的問題を生む ・グリーンエネルギーへの投資は、一部の企業や投資家たちを儲けさせる一方で、国内の雇用をあまり創出しない→エネルギーのコスト高を招いて労働者階級を苦しめ、社会を分断 【本書の内容】 21世紀は、地政学(エネルギー)、経済(グローバル金融)、政治(民主主義)、それぞれの面で強烈な衝撃が世界を襲った。その結果、各国の中央銀行は25兆ドルを超える新たなマネーを創出し、地政学的競争の新時代が到来し、中東は不安定化し、欧州連合(EU)は加盟国間の軋轢が激化し、アメリカでは古くからの政治的断層が露呈した。 本書は、この現在の政治的瞬間を緻密に描いた歴史書である。地政学の歴史、世界経済の歴史、西側民主主義諸国の歴史という3つの歴史を織り交ぜて語り、パンデミック直前の数年間が政治的に無秩序な状態にあったなかで、それぞれの混乱が一つの大きな物語を紡ぎだしてきた様子を説明している。また、その混乱の多くが、化石燃料エネルギーによって引き起こされた問題に端を発していることを示し、グリーン・トランジション(環境に配慮した持続可能な社会への移行)が進むにつれ、エネルギーが必然的に生み出した長期的な課題がなかなか解決できない事情を明らかにしている。

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