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  • 夜歩く
    5.0
    カーの処女作。「私にとって単調で退屈ということは許されざる罪悪」というカーは、本書に対する自信のほどをのぞかせて、こう言う。「神経質な読者に悪夢をもたらし、パズルの玄人(くろうと)に頭痛をおこさせれば、私は満足だ」本書『夜歩く』は成功を収め、カーは職業作家として立つ。彼は別の機会に書いた。「私の野心は今もなお真に傑出した推理小説を書くことであるが、いまだに達成したとは正直、思わない。作家がこう述べるとき、その本音はほかのすべての推理小説がつまらないものに見えるような傑作をものしたいということである。無論、それは不可能だ。しかし、いつまでも試みつづけることはできる」
  • 白い修道院の殺人
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    ディクスン・カーの、ヘンリー・メリヴェール卿を探偵役とするシリーズ第三作。この作品も一種の「密室の殺人」を扱っているのだが、本書に取り上げられた「密室」はちょっと毛色が変わっている。一面に雪の降り積もった銀世界、そこにぽつんと立てられている「白い修道院」という名の離れ家で殺人は起こる。だが、犯人の足跡は全くない。あるのは死体を発見した者の足跡だけ。この人物は犯人ではあり得ないのだ。大自然が構成した密室の謎を、H・Mはいかにして解決するのか? 江戸川乱歩が密室を越えた不可能興味と絶賛した作品。
  • 大時計
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    雑誌編集長ジョージは、彼の会社の社長ジャノスの愛人ポーリンと深い仲になっていた。ある夜、彼女をアパートへ送ったジョージは、そこでジャノスの姿を見かけた。翌朝、ポーリンの死体が発見される。犯人はジャノスにまちがいなかった。だが、何者かに目撃された事に気づいたジャノスは、部下を動員して、ひそかに目撃者探しを開始した。彼がその指揮者に指名したのは、こともあろうにジョージだった! 調査の方向をそらそうという努力もむなしく、ジョージはしだいに追いつめられる……息づまる筆致と意表をつく構成で描く傑作サスペンス!
  • 曲がった蝶番
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    色あせたケント州の大地を眺めながら、ペイジは思った。変事が続きすぎる。去年は近所で強盗殺人事件があり、いまは宿屋に探偵が泊まっているという。しかも、村の旧家ファーンリ家の当主に、偽者ではないかという疑惑が起こった。25年前のタイタニック号沈没時に入れ替わったと主張する男が出現したのだ! どちらが本物か、その判定もつかぬうちに殺人が…スコットランドヤード顧問のフェル博士が登場する。

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  • スイート・ホーム殺人事件
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    女手一つで3人の子どもを育てる忙しい流行推理小説作家のマリアン・カーステアズ。そんなある日、子供達はお隣りの奥さんの射殺事件に遭遇する。もしもママが事件の謎を解いて犯人を見つけたら本も売れるに違いない。…こうして3人組の活躍がはじまる。警察の巡査部長もなんのその、事件の核心へと近づきながら、その一方では独身で孤独なビル・スミス警部とママをくっつけようとさえ画策する。本格推理とユーモアとが渾然となって仕上がったライスの傑作。

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  • 死が二人をわかつまで
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    「きみの婚約者レスリーは過去に3人の男をつぎつぎと毒殺したのだ」劇作家マーカムにこの恐るべき話を詳しく打ち明けた有名な病理学者は、その翌朝、青酸を注射され、密室のなかで死んでいた。はたして、これも同様な方法による毒殺なのか? レスリーは疑われて当然だった。平和な村に渦まく黒いうわさ…複雑怪奇な謎にいどむフェル博士。密室の謎は解けるのか? カー中期を代表する傑作。

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  • 皇帝の嗅ぎ煙草入れ
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    江戸川乱歩はこの作品について、「物理的に絶対なし得ないような不可能を、不思議な技巧によってなしとげている」と評して激賞した。カーは、謎解きの妙味を骨の髄まで心得ている作家、謎はとうてい解決不可能だと読者に信じこませれば、それだけあざやかに解決したときの感銘は深い。それを十分承知しているのである。

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  • 青銅ランプの呪い
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    若い女性探検家がエジプトの「王家の谷」の墳墓で見つけた青銅のランプ。胴の部分に「死者の書」の一場面が彫りこまれたこのランプには、持ち主が消えるという不思議な「呪い」がとりざたされていた。そして彼女は……エラリー・クイーンとの対談のなかで「ミステリーの発端は人間消失の謎にまさるものはない」との結論に達したカーによって書かれた不可能の謎をめぐる大作。

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  • 帽子蒐集狂事件
    5.0
    「不可解な謎とその合理的な解決」を信条としたディクスン・カーの本格ミステリーの代表作のひとつ。舞台は陰惨な伝説にみちみちたロンドン塔、その中の、そのむかし反逆者が夜、テムズ川から船に乗せられてこの塔に収容されるときに使われた逆賊門(トレイターズ・ゲート)で、殺人は起こる。濃霧につつまれたなか、昼なお暗いその構内に、シルクハット!をかぶり、中世の鉄矢で背中を射られた死体が発見されるのだ。

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  • ハートの4
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    映画脚本を書いてほしいという依頼を受けて、勇躍ハリウッドに乗り込んだエラリー・クイーン。だが、そこで目にしたのは、スクリーンの名優、新進の男女優、プロデューサー、マネジャー、脚本家、宣伝部長ら、多種多様な人間が立ち働くなかで起きた連続殺人事件であった。クイーンの異色作。

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  • フレンチ警部最大の事件
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    ロンドンのダイヤモンド商社の老支配人が殺され、総額3万3000ポンドにのぼるダイヤモンドが金庫から消えた。金庫の鍵は銀行の保管する一つと、社長がつねに身につけている一つの二つしかなく、合鍵をつくれる可能性はないといってよかった。フレンチ警部は決め手に欠ける状況証拠ばかりのなかで苦戦をしいられる。だが、ついに手がかりの糸口を得たとき、警部は執拗にくいさがっていった。

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  • 大あたり殺人事件
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    シカゴの酔いどれ弁護士マローン、もと新聞記者ジェーク・ジャスタス、その妻で殺人的な運転の腕前を誇るヘレン・ジャスタス、この3人組の探偵トリオが、こんがらがった「殺人事件」解明に縦横な活躍を見せるユーモア本格ミステリの代表作。クレイグ・ライスは、アガサ・クリスティの独創性、ダシール・ハメットのスピード感、ドロシー・セイヤーズのウィットを複合して独特の語り口で結合させたと評される、アメリカを代表する女性ミステリー作家だ。

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  • アラビアンナイトの殺人(上)
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    ある夏の夜、ロンドンのウェイド博物館を巡回中の警官が、怪人物を見かけたが、その人物は忽然と消えてしまった。しかも博物館の中には殺人事件が発生していた。それはとんでもない大事件の発端であったが、未解決のままだった。奇書アラビアンナイトの構成にならって、この事件を体験したロンドン警視庁のお歴々三人は、三者三様の観察力と捜査法を駆使して事件を物語る。そして、その話の聞き手はギデオン・フェル博士である。ユーモアと怪奇を一体にしたカーの独特な持ち味が、アラベスク模様のようにけんらんと展開する代表的巨編。フェル博士がみごとな安楽椅子探偵ぶりを発揮する異色作。

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