【感想・ネタバレ】ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月03日

リーダーとはどうあるべきか、というのを体験談から知ることができる。リーダー論の本は色々出ていていくつか学んだこともあるが、とても共感できた一冊。
自分もリーダー的立場になる時…が来るかはわからないけど笑
日々の意識にプラスしてみようと思えるヒントがたくさんあった。

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Posted by ブクログ 2023年10月28日

経営者としての考え方、人としての在り方は本当に学びになった


【3章】
・立て直しにあたり、まずは置かれている現状を知ることから始める
・行き着いたのは、プレ3とは何か?自分たちはどういう会社なのか?
・経営者はEQ(心の知能指数)が高い人であれ、知ったかぶりではなく、本気で部下にサポートしたいと...続きを読む思える人、票を投じてもらえる人でないといけない
・苦難に立ち向かうとき、まず成功した状態をイメージする、その上で成功した状態を実現するために必要なことを逆算で考える

【4章】
・肩書きで仕事をするな
・Kandoの想いをぶらさない
・実際に会って想いを伝えないと伝わらない
・豊田社長がレーサーとしてハンドルを取り車を大好きであるようなインボルブ感は周囲の捉え方を変える

【5章】
・異見を言い合える環境、雰囲気づくりが大事
・リーダーは聞き役に回る
・期限を切る
・最後は自分の口で方向性を示す(責任を持つ)

【6章】
・量より質を目指す中でROE10%を掲げたが、あくまで指標であり目的ではない、目的はKandoである(目的と指標をぶらさない)
・ターンアラウンドは黒字化だけでなく、次世代の芽を育てることも必要
・新規事業プログラムは社長自らが関与せることで重要性を社内に示した(指示だけで終わり関与しないと長続きしない、特に大きい組織では大事)

【エピローグ】
・平井さんは3度のオートパイロット状態でそれぞれ環境を変えている
・平井さんは新たなビジネスとして、支援が必要な子供達向けのビジネスを考えており、書籍の印税もそこに寄付される、この利他の精神が本当に素晴らしい

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Posted by ブクログ 2023年06月09日

平井さんの今までの人生、生き様。仕事に対する姿勢が描かれていた。心熱くなった。
項目が細かく区切られていてサクサク読めた。

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Posted by ブクログ 2023年06月02日

ソニーみたいな大きな会社の舵取りをしている方の考え方や取り組んできた施策に対する苦労を学べる。
ビジネスを行う上で大切なリーダーのスタンスに触れることができる。

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Posted by ブクログ 2023年05月16日

とても読みやすい一冊。
どのようにして苦境に陥っていたSONYが復活していったかが簡潔に描かれている。
平井さんの生い立ちから生まれた人柄が、多くの人を変えていき社長として活躍するまでになったのだとよく分かった

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Posted by ブクログ 2023年05月14日


私はリーダーに必要な資質に「方向性を決めること。そして決めたことに責任を取ること」があると考えている。
これはソニーの社長になってからも常に腹の中で持ち続けた信念である。まさにこの時、丸山さんに教えられたことだ。

「異見を言ってくれるプロ」を探し出して自分の周囲に置くことは、リーダーとして不可欠...続きを読むな素養ではないかと思う。
そのためには自分自身が周囲から「この人はちゃんと異見に耳を傾けてくれる」と思われるような信頼関係を築く必要がある。
それと同時にリーダーが責任を取る覚悟があることを言葉に表して、また行動で示す必要がある。
そうでなければ「異見」は集まらない。

私は「座右の銘は何か」と聞かれれば「 Where there is will, there is a way」と答える。
「意志あるところに道が開ける」というのが、私の信念だ。

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Posted by ブクログ 2023年01月27日

ソニーを再生した平井一夫さんの社長になるまでのソニーでの経歴、経験と社長時代、そして引退後について書かれた本。組織のリーダーとして参考になる考え方、行動が多く、非常に感銘を受けた。異見を大切にする。異見を得るために、EQを高くする必要がある。など。

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Posted by ブクログ 2023年01月17日

まだリーダーの立場ではない人にとっても、リーダーがどうあるべきかの学びになる。
また、人生何が起こるかわからないけど一つ一つの出来事に意味があるんだなと思わされるし、目の前のことをきちんと頑張ろうという気にもなる。

何か大きなプロジェクトのリーダーに抜擢されることがあればもう一度読み直したい。
...続きを読むずはメンバー一人ひとりの意見に耳を傾けるのが大事。

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Posted by ブクログ 2022年12月31日

YouTube大学を見てから読みました。
非常にわかりやすく、丁寧な文体で書かれており、ソニー再建にかかるドラマがとてもわかりやすく表現されていました。
一方で筆者の人柄や性格がよく表されており、意図して普通と表現していたと思いますが、いかに実行する、実現するかが難しいことか、、、すごい人だと思いま...続きを読むした。

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Posted by ブクログ 2022年07月17日

心が熱くなる、感動の一冊!
今年一番心に刺さった本

僕は恥ずかしながら正直に言って、そこまでソニーの事を知らない。
テレビ、ミュージック、生命保険といったグループがある大企業といったイメージだった。

先日、ニュースで出井さんという方の訃報を目にした。
ニュースでとりあげられるくらいの人物が率いて...続きを読むいたソニーが、どんな会社なのか興味があり、本書を手にとった。

著書の平井さんが書かれたこの本は、エレクトロニクス絶世期から凋落したソニーを、なぜ復活できたのか、とうドキュメンタリーだ。
本物の経営をしていた人だから、言葉に説得力がある、重みが違う。
厳しい事を告げる、判断するときの空気まで伝わってくるようだった。

僕は経営者ではないが、世の中のリーダーにとっても役立つ事はかなりあるはず(実際、読み終わった本には、ボールペンの線と付箋がベタベタだ)

○リーダーに必要な能力は、IQだけではない。心の指数EQが高いことも必須条件
○辛いことは、部下に押し付けず必ずリーダー自らが行う
○自分で考え決断し、責任をとる
○異見を言える人のグループをつくる

読んで心が熱くなる一冊だった。

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Posted by ブクログ 2022年06月24日

最高傑作! 三度の企業再生を実践し、成功させた経営者はいない。
アンチ権威主義 本質を洞察し シンプルな結論 決断と実行そして責任を取る
この30年日本の停滞が言われて久しいが、結局「経営者の問題」。
コンプラ・ガバナンスと言っているうちに、本質からどんどん乖離してしまった。

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購入済み

面白いです

2021年09月22日

ソニー復活をどう成し遂げたのかが分かります。決して自分を大きく見せることなく、思いを記されていて、大変勉強になりました。

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購入済み

平井一夫氏の人間力形成物語

2021年08月01日

ソニーのどん底でCEOを引き受けた著者の半生が描かれている。ソニーをいかに立て直したか、どのような苦労をしたか、マスコミが騒いでいた裏で実は何があったのか、といったソニーのターンアラウンドの物語としてももちろん面白い。ただ、著者が日本と海外を家庭の事情で幼少期に何度も引っ越して、子供ながらに苦労をし...続きを読むつつも適応していく様、多様性を受け入れつつ日本人として日本に根をはりたいと希望する様、周囲の都合や期待でアメリカ暮らしになり傍流からソニートップになる様が本書の肝だと思う。人としてのオープンさ、帰国子女でありつつ日本を大事にするところ、辛い経営判断もやり抜くところなど、著者の人間力が培われたのはそうしたバックグラウンドにあるのだろうだから。

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

ビジネス本というよりも人としてどう人と接するか。どう正直にやっていけるか。人をいかに大切にできるか。当たり前に聞こえるけど、経営危機の会社を何度も再建する中でそれを実行してきた人は、人としてなんて強く、まっすぐだろうと思わさせられた。

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Posted by ブクログ 2023年10月01日

EQが大切、で有名な平井一夫さんの著書。付箋貼りまくり、メモしまくりの1行1行が勉強になる一冊でした。

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Posted by ブクログ 2023年07月27日

ざっくり読んだのでなんとなくの流れを把握した程度。てっきりカメラ事業で良い感じになったのかと思っていたけどそればかりではないことがわかった。ソニーがどう立ち直ったのかはもちろん、リーダーとしてどうあるべきかという部分が勉強になった。

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

リーダーとしての考え方、覚悟を実体験に基づき平易な文書で記された良い本。異見を求めるや厳しいことは自ら率先など、是非心がけていきたい。

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Posted by ブクログ 2023年05月29日

生の声と思うのでリアリティがあっていい
具体的な組織の再生方法はようわからんが
作中出てくるオートパイロット、この状態
ただの実務者でも目指せる。
日頃の自分に落とし込みしないといけない

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Posted by ブクログ 2023年03月27日

ソニーを再生させた若手社長の手腕を知った。経営能力というより、人を動かすリーダーシップ力と海外で育った経験による如何に生き抜くかの根底にある底力が重要であった。

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Posted by ブクログ 2022年09月11日

5000億円を超える赤字の中、CEOに就任し、わずか数年で過去最高益を達成する見事なターンアラウンドを実現した平井一夫さん。本書ではさらに、ソニーコンピュータエンタテインメントアメリカの建て直し、Playstation3で大きな損失をたたき出したソニーコンピューターエンターテイメントの建て直しという...続きを読む合計3つのターンアラウンドでの平井さんの自伝的な内容が含まれています。
 いずれのターンアラウンドでも論理的で精緻な戦術や戦略といった話ではなく、①ひたすら人の話を聴き、②人を鼓舞するようなゴールを示、③トップ自ら解雇通告や事業撤退、コストカットなど人が嫌がる仕事をやり遂げる、3つのことを愚直にやり続けた結果だったことが本書で明かされています。幼少期、青春期の米国=日本の行き来する生活で、異邦人として扱われた経験もその姿勢に活かされているように思いました。
 外を見れば先行き不透明な市場環境、内を見れば組織内でのセクショナリズムや一体感の喪失が進んでいるような時代では、平井さんのようなEQの高いリーダーがますます求められると思います。素敵なリーダーだと思いました。

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Posted by ブクログ 2022年08月15日

「ソニータイマー」なんて囁かれていた時期から、直近でいち消費者として「LSPX(単焦点プロジェクター)かっこいいな」「PredictionOneいけてるな」と思うようになるまで、ソニーの経営数値はあまり追わずともソニーが変化した印象があったのだが、その変遷の時代の社長であった平井さんの著書。
彼の中...続きを読むにある(特に非常時の)リーダーとしての資質はどこに根源があったのか、とても理解できる。節々からEQを大事にされていることが伝わる。

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Posted by ブクログ 2022年07月07日

平井氏は日本の大企業の元社長とは思えない爽やかな印象。異見を大事にすること、現場のエンジニア一人一人と話をすること、相手が話しやすいように気を使うこと等参考になった。
オンとオフを明確にし、趣味には没頭する、自分の人生を生きるというロールモデルでもあるように思う。

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Posted by ブクログ 2022年06月18日

日立を変えた異端児の物語(69歳の再登板)に続いて、SONYを変えた異端児の物語(子会社採用、そして帰国子女の抜擢等)であります。前任社長が英国人という事もあり、英語が母語(バイリンガル)の平井さんにはチャンスがあった、という事かも知れませんが、危機に際しては、異端児が求められる、というのは、日立で...続きを読むあれ、SONYであれ、変革への定石なのでしょうか。先日、亡くなった出井さん(危機に直面した社長)が変えようとして、変えられなかったSONYの文化(ジリアンテットのよればサイロ文化の塊の会社等)をどう変えたのかは、読んでいても、良く判らない。危機を抜けたSONYが、本当に変わったのか、平井退任後の道筋を気にしつつ、読んだ次第です。

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Posted by ブクログ 2022年05月27日

私はソニーに関心を持たなくなって久しいが、復調しつつあるソニーがどういう経緯を辿っているのか、ちょっと興味があった。
平井氏は入社はCBSソニーで、エレクトロニクスが本業のソニーでは完全に傍流の方でした。しかし本業が振るわない中、プレイステーションが大当たりし「ちょっと手伝って」となる。それがただの...続きを読む手伝いに終わらず米子会社の立て直しに始まり、プレステとともに歩んでソニー社長になる。この本で何度か言及されているが、一貫してIQよりEQを重視するやり方で、人を動かしてきたのだろう。
この方のソニーでの経緯が描かれているため、ソニーの他の事業分野についてはわからないことばかりだが、社内昇格でこのような方がトップに就くという点では、会社は健全だと言ってもいいと思うが、かつての輝いていたソニーを考えると、まだ再生は道半ばだと思う。現時点でも、会社全体が時流に乗りきれていない感が否めない。
第一線を退いた後は、子供の貧困や教育格差の解消に注力されるとのこと。私はむしろ、平井氏が今後その分野でどのように活動されるのかに興味がある。

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Posted by ブクログ 2022年04月11日

とても参考になります。平井さんの人柄の出た口調で読みやすく、社長として、リーダーとして、一人間として今後の社会人生活の参考になります。
知ったか振るのではなく、分からないことは分からないと伝え、相手から教わる姿勢。社員と同じ立場に立って異見を聞く。リーダーとして、方向性と最終責任を持ちつつ、部下が仕...続きを読む事をしやすい環境作るなど、当たり前の事ですが、このソニーという巨大企業で実践し、結果を残すことは並大抵ではないでしょう。社長と聞くと、上り詰めて悠々自適なイメージがありますが、改めて会社で一番苦労している方という印象に変わりました。
今、ソニーが復活しているのは平井さんの立て直し所以なのでしょうか。とても参考にしたい歩み方です。
ただ、現在のソニーの業績が平井さんによる改革の所以なのかどうかが最後まではっきりしませんでした。そこは自分で調べるということでしょうか。

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Posted by ブクログ 2024年04月13日

異なる意見=異見を聞くということを大切にして、マネジメントをおこなってきたことが詳説されている。

現場に出向いて、率直な意見を聞く。
そのためには、あらゆる手を尽くす。
トップとして一度決めたら、絶対にハシゴを外さない。
などなど、心理的安全性を保つ系のリーダー。
クライシスに強いというのはとても...続きを読む信頼できる、ですよね。

社長になるまでの流れは、本当にこんなことあるんだ…!という感じで面白かった。作り話だったらウソつけ!となるけど、リアルでこんなことが起きちゃうのだから不思議だ。



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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月26日

知ったかぶりをしない、異なる意見を求める、量より質 本書で特に心に残った言葉。

昔から分からない事を相手に素直に言えないクセがあったけど分からない事は素直に話して学んでいく事の大切さを教わった。

自分の考えに固執していると気付いた時点で人に異見を求めて軌道修正するクセをつけようと思った。

昔は...続きを読む通用したやり方が今は通用しなくなった時は軌道修正をしていく勇気と決断力を持とうと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月26日

「ソニー再生」という本は、ソニーの社長を務めた平井一夫さんが、3度も危機の中で組織を再生させた物語が記されています。この本には平井さんのリーダーシップの秘訣が詰ま っています。

平井さんは危機に立ち向かうリーダーにはEQ (心の知能指数)の高さが求められるとし、異なる意見である「異見」 を言いやす...続きを読むい雰囲気を作ることを大切にしました。
ソニーの社長として危機に立ち向かった際には、「KANDO」というソニーという組織が向かっていく方向を示し、社員に臨場感をもって こと言葉を浸透させたとのことです。
この本を読み、リーダーがビジョンを示し、社員が共感することの大切さを感じました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年09月25日

タイトルまんま、ソニー再生を行ったリーダーの軌跡本。(あと現在の社会貢献事業の紹介もしたかったらしい)

良かった点
サブタイトル「異端のリーダーシップ」とあったのでどんだけ激烈なのかと思いきや、それが自分にできるかどうかは置いておいて、よい意味で改革は真っ当というか普通。先延ばししない、後出しじゃ...続きを読むんけんしないという行動ができる所はカッコイイ大人だなあと思った。

よくなかった点
辛かったこともちょこっと書いてあるけどまぁまぁさらっと流されていて、話として物足りない感はあった。(まあ存命の関係者も多そうだし、まだまだ話しにくいこともあるよなーというのは分からなくもない)。あとSCE、SAP等々、社内略語が多くて途中で何だっけ??となりがちなのでアホ読者向けに略語まとめがあればよかったかも。

総評
明朗な人で生い立ち通り、日本のというよりアメリカぽいリーダーだなあと思った。あと会社が大きくなっても、というか会社が大きくなるからこそ、皆を束ねる動機付けというか方向性って重要なんだなあと思った。(ただしKANDOはモノづくりには向いてても金融部門は難しそうだなーと思ったり)。
リーダーになる予定はないんで実生活に生かすとしたら、先延ばししない、かなぁ。せめてひとつづつでも面倒くさい色々を前に進めていけたら、少しはスッキリできるかもしれないなーと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月13日

新卒で日産にいくか、CBSソニーに行くか悩んでいた筆者に対して、父親が「いいか。自動車メーカーに行ったらおまえが課長くらいになるころにはもう、アフリカでジープを売るしかなくなっているぞ」という表現をしたのがめちゃめちゃ面白い
つまり、クルマは1人で何台も持たないが、ソフトは無限の可能性がある、という...続きを読むこと
先見の明があるし、表現がユーモアに満ちてる

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Posted by ブクログ 2022年08月01日

ロバート・アイガーのディズニーCEO本も、企業復活の話だったし、少し前のIBMの巨像も躍るも企業復活。
この手の話は、老舗企業が持つジレンマに対して、どう対応していったのか?が赤裸々に書かれているが、本書も同様の展開。このソニー再生は、平井さんの個人的な生い立ちや思考が書かれていて、上記の本より著者...続きを読む本人の深い思考のパターンみたいなものにフォーカスが当たっていた印象。アメリカ本は、ビジネスが中心に据えられて展開されるので分量も倍くらいあるが、この本は平井さん個人に光が当てられているし、日本企業が持つ人依存の良い面と、大規模なリストラとそれに応じたOBたちのお叱言など、日本人の振る舞いなんかも書かれているので、これは英訳して海外でも出版して欲しい。

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Posted by ブクログ 2022年06月18日

 思えば、この時から40年以上も後にソニーのかじ取りを託されるまで、私は「異」なる場所を転々と動き続けてきた。常に「異なるもの」の見方や考え方に触れ、それを経営に取り入れようとしてきた。それを私は「異見」と呼んだ。
 異見をどう発見するか、どうやって経営戦略に昇華させて実行させるかは、私の経営哲学の...続きを読む根幹をなす思考法の一つだ。
 重要なのは、異見というものは、こちらが待っていれば勝手に舞い込んでくるものではないということだ。リーダーの立場にいる者が能動的に動いて発見しなければならない。よく経営者はコミュニケーション能力が高くなければならないと言われる。それだけではなく、私は知能指数を示す「IQ」ではなく「EQ」、すなわち心の知能指数が高くなければならないと考えている。「この人なら考え方が違っても自分の意見を聞いてくれるはずだ」と思ってもらえなければ、本心からの「異見」を得ることはできないからだ。
 特に社長のような肩書を持ってしまうと、なかなか異見を言ってもらえなくなるものだ。そんな信念があったから「EQが高い人間であれ」と自らに言い聞かせてきた。

 実際に、次世代プレイステーション 4の計画はまだプレイステーション 3のコストダウンにもがき続けていた2008年に始まったのだが、私は最初からCellのような独自アーキテクチャの半導体は開発しないと決めていた。自社で夢の半導体に積極的に投資するのではなく、資金はソフトウェアやユーザーエクスペリエンスにつながる部分に重点的に回そうと決めていたのである。それはプレイステーション 4の立ち上げの時に強く主張した。

 今でもこの時の危機対応はソニーにとって大きな教訓になっていると思う。思わぬ危機に直面した場合、多くのケースですぐに100%事態が把握できているということはないだろう。
 そういう時に会社としてできることは、不完全でもいいから現時点で分かっていることを誠実に伝えることだと思う。もちろん不完全であることを包み隠さず。さらに重要なのは、「次はいつまでに」と期限を区切って情報をアップデートしていくことだ。その都度、説明する。最初から完全な情報とはいかない代わりに、回数を重ねて丁寧にアップデートできた情報を説明していく姿勢を明確にするのだ。

 豊田さんと言えばもうひとつすごいなと思うのが、レーサーのライセンスを取得して「豊田章男社長」ではなく「モリゾウ」という名でレーシングカーのハンドルを握ってコースを走り、実際のレースにも出場されているということだ。日本の自動車メーカーのトップで、いや世界の自動車メーカーのトップでここまでやる人が他にいるのだろうか。
 この「インボルブ感」が大事なのだ。「モリゾウ」がヘルメットをかぶってつなぎのレーシング服でハンドルを握っている。もう、その姿だけで社員たちへの強烈なメッセージとなる。「この人は本当にクルマが好きなんだな」と、口に出してそう言われなくても十分に伝わるというものだ。これには素直にすごいなと思わされた。私の言葉に置き換えれば「臨場感が一体感を生む」ということになる。そしてもうひとつ、大きな効用がある。
「リーダーは自社の商品やサービスの一番のファンであれ」
これも私がよく口にする言葉だ。
 豊田さんはそれを誰が見ても一瞬で理解できる方法で伝えているのだと思う。もちろんパフォーマンスではなく本当に心底、クルマがお好きなのだろう。そうでなければ、あそこまで命懸けのことはできない。

 研究開発というものは思い通りに進むことばかりではないので、進捗がない時もある。それでもいい。大事なのはこちらの期待を伝えること。そして、エンジニアたちのがんばりに対して「ちゃんと見ているぞ」と示すことなのだ。その人間関係を構築できるか。その積み重ねだ。だから年に一度の定期訪問のような儀礼的なものではダメなのだ。

 大切にしてきたそ 異見とは読んで字のごとく、異なる意見のことだ。どんなに優秀な人でも、あるビジ ネスのすべてを知り尽くすことなど不可能だ。たとえ何かの分野に精通している人でも、 思いもしなかった新しい発想が、他の人の発言をヒントに浮かんでくるということは 往々にしてあるのではないだろうか。

「異見を言ってくれるプロ」を探し出して自分の周囲に置くことは、リーダーとして不可欠ではないかと思う。そのためには自分自身が周囲から「この人はちゃんと異見に耳を傾けてくれる」と思われるような信頼関係を築く必要がある。それと同時にリーダーが責任を取る覚悟があることを言葉に表して、また行動で示す必要がある。そうでなければ「異見」は集まらない。

ソニーにとって商品は、ステージに上がるアーティストと同じように

ならないものなのだ。

吉田さんには見をぶつけてくれたことに感謝しつつ、それでもこれはやるから! と言って押し切った。重要なのは「責任は私が取る」と明言することだ。 吉田さんが素晴らしいと思うのは、互いに異見をぶつけ合った。 一度やると決め てしまえばなく実行に移してしまうことは食い違ってこそ止する。「解」 を見つけたなら、先送りなどせずにすぐに実行あるのみである。

 ものごとを決めていく過程で互いに異見をぶつけ合うこと、そしてそれができる雰囲気を作ることは私にとってはマネジメントチームを運営する上での大原則となる。その前提になる心がけが三つある。
 第一に、リーダーはまずは聞き役にすること。私は会議ではなるべく発言しないようにしていた。特に冒頭はなるべく発言しない。最初は「この人はエレクトロニクことが分からないから話さないのかな」と思われたようだが、そんなことはお構いなしだ。私は分からないことがあれば正直に分からないと言う。それより冒頭で発言を控えるのは、リーダーの立場にある人間が話し始めると、その場にいる人たちがどうしても聞き役に回ってしまうからだ。リーダーが発言しないと、時にはシーンとして妙な空気になるが「間」を恐れず、まずは異見が言いやすい雰囲気を作ることが先決だ。そのためにはリーダーは黙ることも必要なのだ。
 第二に、区切ること。私は結論の出ない会議というものが嫌いなのだが、一度の会議で結論が出ないこともある。そんな場合は「いつまでに何をアップデートする」とその場でしっかり決めてしまうことだ。
 第三に、これがリーダーの役割になるのだが、最後はリーダー自身の口で方向性を決めること。そして、一度決めたらぶれないこと。「私が責任を持つ」とストレートに伝えることだ。

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