あらすじ
日本人にとって性は人間の根源の力であり神聖なものであった。性の歴史には裸の日本人を理解する最上のヒントがある。面白さ抜群の画期的な日本史――古代日本人は、「性」を人間と自然の繁栄の根源の力としてとらえ、その神秘的で不思議な力に霊性を感じ、それを生活の根本とする意識をもっていた。そして、世界に冠たる恋愛小説『源氏物語』を生みだすほどの、性の先進国となった……。秀れた日本人の知的蓄積を該博な知識で綴った、画期的な部門別日本史。渾身のライフワ-ク。<全5巻>
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Posted by ブクログ
日本人が性についてどのように考えてきたのかを、さまざまな史実を交えつつ紹介しています。
『古事記』などの日本神話の中では、性は大地の豊饒性を象徴するものとして語られています。このことから、日本人の伝統的な性意識が信仰に裏づけられており、性は神聖なものと考えられていたと著者は語ります。しかし、中世から江戸時代までの封建制のもとで、伝統的な性意識が歪曲されてきたとされています。
古代の性意識の大らかさを賞賛する一方、爛熟した江戸時代の性意識を批判する著者の立場には、必ずしも納得はできませんでしたが、さまざまな史実が紹介されていて、おもしろく読むことができました。