【感想・ネタバレ】仮想儀礼(下)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

社会から糾弾され、マスコミと権力の攻撃のターゲットにされた「聖泉真法会」に、信者の家族が奪還のために押しかける。行き場を失い追い詰められた信者たちがとった極端な手段。教祖・慧海のコントロールも超えて暴走する教団の行方は──。人間の心に巣くう孤独感、閉塞感、虚無感、罪悪感、あらゆる負の感情を呑み込んで、極限まで膨れ上がる現代のモンスター、「宗教」の虚実。(解説・長部日出雄)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

p.58
多くのものを受容し、肥え太ってきた組織は、不純なものを排除し、先鋭化しようとする内側からの欲求に、常に対峙しなければならない。
p.91
「去っていかないでください、うちを」
p.222
「自分の人生が自分のもので、いかようにも切り開けるなどというのは、何一つ持たずに生まれてきた者の戯言だ

面白かったです。後半の展開がちょっとありきたりかなーと思ってしまいましたが、一気に読んでしまいました。
SNSが発達して、リーマンショックやら東日本大震災やら人種差別やらコロナやらオリンピックやらがある現代だとどんなストーリーになるのか?そんな小説があったら読んでみたいです。

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2021年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すげえ力技の小説。
勿論、力だけではなく上手い小説でもあるんだけど、読み終わった後の疲労感が「オモロかった」より「読み遂げたぁ」という感想になるあたりが、力でガツんとホームラン打たれた感がするのである。

新興宗教をテーマにしている小説。宗教観については個人的な見解も色々だろうし、そこをなんやかやというつもりはない。宗教とか救済とかその手の事についてどう書いてあるか気になる人は、この作品を読んで自身の感想をもてばよいと思う。

「絶対信じる」と言うた側はそこで思考停止する言い訳をしてるのであって、またそれを受け入れた側が思考停止を認めた段階で相手を人間として扱っていないことになる。

マスコミが言うていることが正しいのではないということ、大新聞がNHKが報道したんだから正しいというのは、「絶対」を信じる思考停止に似た心境なんだろう。この小説は「絶対」に信じる存在の危うさ、信じられることの危険性を一つのテーマにしてるのかなと思った。

某知り合いが「Mバーガーはミミズの肉使ってる」と大勢の場で言うた事があって「そんな噂バラまくなよ。ここにかって関係者おるかも知れんねんで」と言い返したら「だってテレビで言うてたからホンマやろ」と…。この知り合いを稚拙と笑うのは簡単だけど、その手のギミックに引っかかってるは俺含めて結構多いのではないか?

弱ってる時は寄る辺を欲するものである。それはもう絶対必要なんだけど、回復したら自分で立てるようにしとかないと、思考も筋肉も使わないと衰えるもんなんだということである。

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2013年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は鏡リュウジ (占星術研究家)さんが推薦していた本なのですが、下巻を読むと「なるほどなぁ」と納得します。


一つの歯車が狂い出すと、やがて全ての機能が狂い出していく・・。
なのにその動きは停止することなく、最初に動かした者も手には負えない。
それは読者にも想像できそうにない、あらぬ方向へ暴走し始めていく・・。

虚業、ゲーム本から作り上げられた宗教ビジネスが、似非教祖の手の及ばないところにまで変貌し、制御不可能になって怖れをなした教祖自身がその中にズブズブと飲み込まれてゆく・・逃げることも許されず。

とても怖いですし、異質なものが一旦社会で採り上げられてしまうと、もう社会(マスコミ)・市民運動・政治的圧力などと言う外部からの攻撃を受け、しかも内部からも醜く崩れていく・・。


その中で、教祖桐生と矢口の奇妙な連帯感とお互いを自身の半身のように必要とし、頼り、嫌悪し、愛する(?)・・心の変化。

知的でプライドの高い桐生よりも、笑みを絶やさず、愚かで素直ですぐ騙されやすい矢口の方が、最後には本当に仏の境地に至ったのではないかと思えるぐらい崇高に見えました。


信者の心の闇も一筋縄ではいかなくて、彼らの「生き辛さ」に半ば嫌悪感を持つ桐生と、骨身を削ろうとする矢口。

救われたと思ったら、次にはもっとどす黒い闇がまたたちこめて来る。

ホント、怖いです・・これ。

桐生にも矢口にも、本当の悪党になるほどの勇気もなく(?)
良心が時折顔を出してしまうのが、人間らしいというか、こんな結果になった原因なのかもと・・。
甘くないんですよね、宗教をビジネスにしようなんて。

(「千石イエス」になりたくない)と思う桐生は、それよりも過酷な運命を辿ることになりました。

ラストでは、嵐が去った後のような不思議な感覚を得ます。

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2012年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軽薄な優男として描かれる矢口の、一貫して自分を差し出す死に様に仏性が見出される最後は胸にくるものがあった。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

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サービス業として「宗教」という商売を始める...という発想に深く興味をそそられてワクワクしなたら読み進めた。「心身のケアをサービスとして売る」ある意味正当な職業だ。それが宗教という枠に入った場合、世間との兼ね合いはどうなるのか。まともな職業でいられるわけがない。そういう事を念頭に置いて、どの様に、この物語は進んでいくか、ワクワクしながら読めた。

上巻を読んだとき、そのうちに来るであろう崩壊が読めた。よくあるマスコミの餌食にされてボロボロになるというパターンを想定した。けれども、この小説はそこから先があった。それが異常に面白かった。

エセ宗教から本物の信仰を見出した信者達。深い信仰を持った信者とエセ教祖様の立場の逆転。どんどん落ちていきつつも、エセ教祖が最後の最後で信者たちを守る姿に、教祖なのか、父性愛なのか分からないが、導こうとする人の信念を感じることができた。

かなり面白い小説でした。

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2013年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻は社会に振り回され、失業者となった2人の男がビジネスとして始めた宗教、それが上手く行きとんとん拍子に大きくなっていく様子が喜劇として描かれています。
しかし下巻ではこの宗教があっという間に崩壊していく様子が、並のホラーでは太刀打ち出来ないような情景で展開され、物語は悲劇で終わります。
でも最後には本当の宗教って何だろう?という答えが少しだけ見えたような気持ちになる長編でした。

しかし読み終えるのにこんなにパワーを使った長編小説は久しぶり。。。

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2012年05月29日

Posted by ブクログ

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失業男がビジネスのために始めたエセ宗教。一時は多くの企業などとも関係を持ち、大成功するが、下巻では、エセ宗教に飲み込まれた信者と共に、転落の一途を辿る教団の姿が描かれる。
しかし、何かを信仰するパワーって凄いな。改めて、宗教が怖くなる作品。

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2012年10月08日

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