あらすじ
年会費は2000万円、日本最強・最高の危機管理会社・日本リスクコントロール。
著名政治家、一流企業経営者、「芸能界のドン」と呼ばれる大物、さらには暴力団組長までが頼りにする「駆け込み寺」だ。
依頼は紹介者からの紹介があったときのみ、電話番号も公開せず、ホームページすらないが、依頼が途絶えることはない。
「あなたが本当に無実だったら助けてあげる。ただ、私の調べは捜査一課よりもきついかもしれないよ」
日本リスクコントロール代表の寺尾文孝社長は、警視庁機動隊員を経て秦野章元警視総監の秘書となり、警察・検察に圧倒的な人脈を築いた。
バブル期には、元暴力団組長に乗っ取られかけた大証一部上場企業・日本ドリーム観光の副社長として闇勢力の排除に尽力し、ダイエー・中内功社長に会社を売却した。
許永中、伊藤寿永光、高橋治則、後藤忠政、中江滋樹らと対峙し、自らも不動産会社を設立して大規模なリゾート開発も手掛けたが、バブル崩壊で頓挫。
その後は危機管理専業となり、数多くの依頼を処理してきた。
徹底した事前調査と情報収集によって「突破口」を見出し、政界・官界の中枢に張り巡らせた人脈をつなげることで、ひとつ一つ案件を処理していく。
その評判を聞きつけ、また新たな依頼主が現れる――。
波乱万丈、息をもつかせぬ圧巻の手記。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
・著者の寺尾は機動隊のエリートコースをやめて、不動産やレース生地のブローカ、その後に元警視総監の秦野先生の秘書になる。
・元警視総監の支持者からは、子供の就職の斡旋と、交通違反・交通事故の処理の依頼がきて、秘書が対応。警察に連絡して、罰則を軽くするなどの対応が実際に行われていた。
・山口組組長の葬儀に、元警視総監が参列するたども今となってはありえない話。
・恩師、秦野先生を通じて普段会えない人や、ふつうでは決して入れない場所に足を踏み入れることができた。
・毎日毎日、秦野先生に叱られていたが、叱られるとは自分の知らないことを教えてもらっているということ。
・秦野先生の口利きで銀行から多額の融資を得て、2棟のビルオーナーになりお金に困らない身分になる。
・ビルオーナーと秦野事務所秘書の肩書で人脈は広がっていった
・毎晩のように赤坂、銀座の夜の店に秦野先生と繰り出していた。高級ナイトクラブにはのちにデヴィ夫人と呼ばれるようになる根本七保子さんが在籍していた。
・料金も破格で 二時間でいまでいう十数万円くらい請求される日本一のナイトクラブ。
・酒癖が悪い元総理(宮澤喜一)、あれでよく総理大臣になれたもんだというくらいの酒癖の悪さ。
・政治家という人種の抱えるストレスは凄まじいものがあり、そのストレスが夜の銀座や赤坂で歪んだ形で発散される。
・以前女性議員が秘書を罵倒する音声が週刊誌に流出し世間を唖然とさせたが、秘書である身内にパワハラを働く議員も多いという。
・警察トップの権力の源泉
全国約24万人の警察官がいるが、わずか600名ほどのキャリア警察官がその24万人の上に君臨。そのなかのトップが警視庁長官、警視総監。警察組織には刑事、公安、交通などの各部から膨大なデータが集まる。首相はじめ各大臣、政党党首には警視庁のSPが24時間体制で張り付く。その政治家がどこへ行って誰と会って何を話しているか、そうした情報は全て警視庁に報告されている。
警察庁エリート官僚の権力の源泉は、その情報力にある。
・筆者が副社長に就任した日本ドリーム観光。警察あがりの社長がヤクザにみかじめ料を払っていたことが発覚し、取締役会で解任を決議。 社長の東大時代の同級生であった、安倍元首相の父、安倍晋太郎からなんとかならないか、との電話があったとのこと。
・様々なバブル紳士との付き合い
・鶴巻の事務所の壁の中央に肖像画。肖像の主はNECの顧問を長年務めた一柳博志(ひとつやなぎひろし)→日本の財政界に通じ、NECのドンである関本忠弘を裏で支えたフィクサー的人物。
・筆者の寺尾は下田の狼煙崎(多々戸浜と鍋田浜の近く)にリゾート開発を目指していた
・寺尾は秦野先生の第三の人生に、警察官僚、政治家、に続いて第3の権力であるマスコミを勧めた。日テレの人事局長に相談しながら、佐川急便をスポンサーにつけて秦野先生の番組がはじまる。佐川急便が不祥事をおこし、代わりのスポンサー探しでJR東日本をつけた。
・ミナミの帝王のモデルとなった金貸しの和田あきこの叔父も登場。
・寺尾はバブルがはじけて借金を背負い、破綻する。財産を失って振り返ると、学歴もなく大型運転免許証しかもっていないことを自覚。
・資格も学歴もない寺尾に残されたのは、機動隊時代から培ってきた人脈だけ。
・警察を退職した元警察官の、第二の人生の進路を斡旋する仕組みづくりをビジネスにすることを考える。
・新会社の会長に旧知の仲である元キャリア官僚を据えることで会社の信頼性を担保したが、難病にかかり亡くなってしまう。
・警察OBの斡旋事業は元キャリア官僚の信頼があっての事業であったため、新会社は寺尾が得意とする危機管理のコンサル一本に絞ることになる。日本リスクコントロールの設立
・世の中の人間関係は全てグーチョキパー。
威勢を奮っている人でも必ず頭が上がらない人がいる。依頼主がグーで対立するのがパーだとしたら、チョキの人物をみつけるといい。
・日本リスクコントロールは広告宣伝もホームページもない。全て口コミだが依頼が途切れることはない。
・芸能人では羽賀研二からの依頼があった。恐喝罪を無実であるとしていたが、本人が無罪であることが確証できないと動けない。
Posted by ブクログ
昭和!
警察に入り、たまたま出くわした有名事件(渋谷ライフル事件)で犯人にとびかかる大活躍をして警察系国会議員・秦野章に連れ回されるようになった。子飼いになって土地転がしのお世話を全部してもらって財産を得て(秦野先生の自由な財布係に抜擢されてカネを掴ませてもらったということ)、自力でもっと儲けようとしたら破滅、先生も議員引退して痴呆に。出直すべく人脈を利用したコンサルタント業に進出。人脈と口八丁での世渡り物語って感じ。
何処の世界もコネクション…。
最近、反響が大きい本との風聞で読む。
事の理非はさて置き「餅は餅屋」の諺どおり、警察関係者の内輪話は読んでいて飽きることが無い。又「どんな世界でも、こういう駆け込み寺的な存在は必要なんだなぁ…」と痛感、「起業」と云う意味でも勉強に成った。
未来永劫甦る事は無いあのバブル期の異常さも、当事者ならではのヒリヒリする熱さで再現されている。第三者の視点が無いので「ちょっとカッコ良すぎない?」と思われる箇所も有ったが、平和ボケと云われて久しい日本国民に「危機管理意識を持つことの重要性」を教えてくれる本書は、一読に価するものだと思う。
それにしても著者は勿論、著者と袂を別った故佐々淳行さんにせよ、恐ろしい程の「記録魔」振りには畏れ入る。自分のやってきた事にしても、ここまで詳細に記憶している筈が無いからだ。日記でも手帳でも何十年間、毎日コツコツ書き留めて置いていなければ絶対に無理。
でも、それは「元警察官あるある」では無くて、コレって正に「ザ・公務員」なんだよなぁと読後に苦笑した。判る方には判りますよね…w?
Posted by ブクログ
元警察官で、機動隊に入隊後下野、会社を興し、秦野章氏の
元でいろいろな難題に取り組んだ人の回顧録。
有名政治家、芸能人、事業家の名前がいっぱいでてくる。
東京アンダーグランウドと突破者をあわせたようなピカレスク風ノンフィクション。ありとあらゆる問題を八面六臂の活躍で解決しまくり、真実なのかと疑ってしまうが、ほぼ真実なんだろうと思う。
ヤクザや仕手筋とわたりあい、次々と問題を解決していく様は小説の様である。しかし、肝心のやりとりが細かい所が描写されておらず、こういう問題があったが、こういう姿勢で取り組んだら解決したという記述ばかりで、
まるで因数分解したら解はこうなりましたという様な話を聞かされている印象だった。なぜ因数分解に想到したのか、どうやって解いたのかが一番知りたい所なのに、そこは書けないのか、わからずじまい。
映画のあらすじを聞かされたような本でした。
それにしても、社会の上の方や裏の方ってそんなんなんですねっという感想でした。