【感想・ネタバレ】世界はゴ冗談(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

〈まったく信頼出来ない語り手〉による衝撃の超認知症小説「ペニスに命中」。太陽の黒点の異常、電子システムの異常、「お風呂が沸きました」等電子音声の異常、異常の連続を描く表題作。午後四時半を征伐に向かった男が国家プロジェクトに巻き込まれる「奔馬菌」。前人未踏のパラフィクションに挑む「メタパラの七・五人」。錯乱なのか預言なのか。天才筒井の進化が止まらない。衝撃の傑作10編。(解説・佐々木敦)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「筒井調」満載の短編集。メタ・パラフィクションもあって、堪能した。

ひとつ不思議なのが、エッセイの「ウクライナ幻想」が「付録」として掲載されていること。著者がその昔、旧ソ連を訪れたときの思い出を、イリヤ・ムロウメツの物語とともに書いている。

ただ、その中身はと言うと、「今はただ、不幸な戦いの中にあるウクライナの首都、あの伝統の町キエフに戦禍が及ばぬことを(後略・文中ママ)」とか、「日本贔屓のお嬢さんを持つプーチンに、自国民の大多数と欧米諸国との板挟み状態に立つ苦境を乗り越えて平和への道を探ってほしい(略)」などと書かれてあってザワザワさせられ、思わず奥付を何度も確かめた(文庫発行日は令和3年6月1日)。

「もしかして、内容を自動的に最新にする技術が使われてるのか?」などという妄想も抱いてしまったり……(紙の文庫です!)。

実は、単行本の発行が2015年。

つまり、ここに書かれているウクライナとロシアの争いは、2014年から始まったウクライナ紛争を受けてのもの。しかし、偶然とは言え、こんなところでまた、「筒井康隆の先見性」について考えてしまった。

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2022年05月13日

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