あらすじ
手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった……。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独擅場、人情の時代短編集!(解説・縄田一男)
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Posted by ブクログ
江戸の人情もの短編集。心意気的なものを中心に据える話が多かった印象。
人物の背景描写が多く最初少しくどく感じたが、それが後々の理解につながることもあったので、ああこういうノリなんだなと思った。
個人的には色々な人の想いが集まって、2度橋がかけられる「佃町の晴嵐」が好みだった。
見舞金で橋を架ける決断をした先生もそうだが、その話を聞いた人々が寄り集まって色々と手助けする辺りの流れがいい。
橋がかけられるまで名前を伏せていた人たちは、絶対にその場にいたはずで、さぞ意地悪い顔をしながら驚愕している先生を眺めていたんだろうな、などと思った。