あらすじ
堂場瞬一の最高傑作だ――角川春樹
20周年を飾る、記念碑的作品、誕生。
自ら命を絶った警察署長。圧力をかけられ辞めた、元警察官僚の女性覆面作家。そして現れた、巨大なる黒幕。新鋭とベテラン、ふたりの新聞記者の矜持は最悪の殺人事件の真相を暴けるのか。
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Posted by ブクログ
沈黙の終わり、下巻を一気に読み切りました。もう本当にね、めちゃめちゃ面白かった!
まずはとにかく、きっちりと記事が世に出て良かった!あの最後のオンライン会議で、熱くなる古山と、実にあっさりと引いた松島。いったいこの先どんなどんでん返しをしてくれることかとワクワクしました。そうか、そういう展開でしたか…地位、権力を失って手のひら返しをする奴らの醜悪ささえもすっきり気持ちよくおさまる見事な展開でした。
それから松島が膵臓がんの手術を無事に終わって良かったなぁ、と(同世代だから余計に!)思った。佐野との間柄は親密ではないけれど疎遠でなく、喧嘩別れではない終わり方も嬉しいような気がします。
「なあ、俺たちには共通点があるよな」
「ずっと現場に居続けたこと」松島は即座に答えた。
「そういうことだ。新聞記者にとって大事なのは、それだけじゃないか?」
この会話が終章で交わされたところはとても沁みました。
「でもな、俺たちはずっと、クソみたいな仕事しかしてこなかった。権力の監視がマスコミの仕事なんて言いながら、実際には権力に取り込まれていた。俺だってそうだ。長く警察庁の担当をしていたのに、サツの不祥事を抜いたことは一度もない。むしろ、週刊誌に抜かれた。あの連中の取材力は、今や新聞より上かもしれない。ただ、奴らは正義感や義務感からやっているわけじゃない。問題は金だ。でかい見出しで週刊誌が売れるかどうかだけがポイントなんだ。どんなにいいネタでも、そういう姿勢である限り、俺は週刊誌の報道は認めない。俺たち新聞記者だからこそ、できることがある-青臭いだろうが、まだ信じているんだ。それを、内輪から潰されたんじゃかなわない。お前は黙って引っ込んでろ」(下巻221ページ)
この物語の中での松島の一番の長台詞だったのではないかと思うのですが(多分)、この言葉の中に、堂場瞬一さんの新聞記者としての強烈な想いがこもっていると感じました。この熱い想いは、この言葉を聞いているわけではないけれど、きっと古山に受け継がれていくのだろうと思っています。
その古山といえば、本郷響といい関係になるなんて!…読み進んでいく中で、本郷響が古山に自身のバックグラウンドを明かしていく場面で、「もしかしたらこの2人はいい間柄になるのかな?なったらいいな」とちらりと思ったのですが、終章で本当にそうなっていたので、なんだかとても嬉しいような気がしました。ベタな展開?いやいや、そうじゃないでしょう。この展開は僕にとっては二重丸でした(安直な、わかりやすい恋愛ものが好きなのかもしれませんけれど。)
一気に読み切ってしまってなんだか勿体無いような気持ちにすらなる、とても読み応えのある物語でした。
Posted by ブクログ
新聞社の政治部と社会部、警察、政治家の関係がよくわかる内容。
熱い若手新聞記者と退職間際のロートル記者の心の動きはすごく伝わった。
容疑者自殺で記事が潰れてからの、政権交代、記事掲載までの流れが少し呆気なかったが、とりあえず、ハッピーエンドで何より。
Posted by ブクログ
上巻でかなり引っ張られ、どういう理由で『殺人』を有耶無耶に隠してしまうんだと思ったけど…
よくあるあるパターン(権力者が圧力かけてにぎり潰す)ではあったけど、グイグイ引き込まれた
ただ、最後はちょっとなぁモヤモヤの残る感じやん?
確かに圧力かけてたけど、いちばん悪いの犯人やん!
そのオチほど被害者家族が悲しむことないで?