あらすじ
「サステナビリティ経営」を戦略の核にしない企業は、今後生き残れない!
いま世界で、本格的にサステナビリティを軸にした経営改革(サステナビリティ・トランスフォーメーション=SX)に取り組む企業が増えています。
SX先進企業は、CO2(二酸化炭素)排出ゼロ(ゼロエミッション宣言)を目標に打ち出し、企業内だけでなく、取引先を含めたサプライチェーン全体で、ビジネスの根幹から環境や社会に配慮するために、事業ポートフォリオ・ビジネスモデルの根本的見直しや、事業自体の再創造に取り組んでいます。
こうしたグローバルな巨大企業の方針変更は、当然、サプライチェーンに属する数多くの取引先にも影響が及び、対応できない企業は脱落していきます。つまり、自社が望もうが望むまいがサステナビリティ経営に向き合う必要があるのです。
サステナビリティ経営のムーブメントは、日本にも押し寄せています。ところが、日本企業の危機意識は残念ながら希薄で、「利益につながる事業の本丸」とまでは本気で考えていないところが大半です。
本書『SXの時代』は、読者の方々を、こうした「ムダなサステナビリティ・SDGs合戦」から解放すべく、著者であるPwC Japanグループの敏腕コンサルタントが、読者のみなさんを「本当のサステナビリティ経営」へといざないます。サステナビリティ経営の基本から、利益を出すための要諦、KPIを設定したマネジメント方法まで、数多くの事例とともにわかりやすく解説しました。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
【環境・社会は経営の根幹】
2021年4月に出版されたこの本では、近年ビジネス界でも盛んに話されるようになったサスティナビリティ・トランスフォーメーション(SX)について、重要となっている背景、それの意味する具体的な変革、手法、事例を論じている、とても分かりやすい内容となっている。
個人的にSXについて学ぼうと手に取った初めての本であり、他との比較は現時点ではできないけれど、筆者らは民間コンサルタント会社PwC社員であり、彼らのチームの使うSXコンサル事業のアプローチなども紹介されている。
海外の有名SX先進企業が多く事例として出され、SXのプロセスをカテゴリー化するなど、実際ににどのような改革がなされているかの主なものを知ることで、SXに対する理解を深めることができる。
特に興味深かったのが、社会・環境の持続可能性に関わる要素をプレ財務要素として定量化することで、それらがどのように経営に影響を与えているかを会計上に反映して評価する手法。これにより、市場価値(経済価値)で測られる民間企業の健全性に社会・環境サスティナビリティの観点を組み入れ、サスティナブルな企業の財務や投資を促すものである。
現実にはSXの実践において様々な課題等が生まれているかと思うので、その辺りについてもさらに理解を深め、現在どのような形でSXが企業の間で実践されているのか、先進諸国とSX後進国とされている日本国内ではどのような段階の違いがあるのかなどをさらに学びつつ考えていきたいと思った。