あらすじ
ある女子大生が被害者となった毒物混入事件を核に、事件に関係した当時高校生の3人の若者が抱えつづけた深い孤独を描く。中国の歴史の闇を背景に、犯罪ミステリーの要素も交えた傑作。
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Posted by ブクログ
一人の女の子の死(服毒自殺?他殺?)が、それに関わった三人の少年少女のその後の人生をまさに毒のように蝕む様子を書いた小説。三人とも自分を罰するように家庭を築くことに失敗し、他人との深いかかわりを避けて都市の中で漂流して孤独に暮らしている。
天安門事件あたりの北京の暮らしの様子が生き生きと描かれているのは面白い。
最後に明かされる死の真相は奇をてらわず順当にという感じだけど、よく泊陽は如玉をぶん殴らないで我慢できたね!泊陽のやれやれ系スカしたおっさんっぷりははっきり言って嫌いなんだけど、白々しく犯行について弁解して「で?殴れば満足するならそうすれば(笑)」という態度の如玉の不快度はそれをはるかに上回ったため読後感があんまりよくなかった。
彼女ははっきりした罰を受けるべき!と言いたいわけではないのだが、ラストにその不快感以上に感じられるものが私にはなかった。
私は思考の枠組みは言語によってある程度規定されているというのを信じている。中国人の作者が英語で書いたものを日本語で読むという複雑さのせいか、(私には)若干読みづらいというか、頭に入ってきにくい。昔読んだ「ワイルド・スワン」なんかも同じように苦労した覚えがある。
そういうこともあって物語のひだの部分を全然読み取れていないのではないかという気がする。登場人物の冷笑的態度と孤独の感傷を超えて見るべきものが何なのか分からなかった。