あらすじ
卑弥呼、推古、持統……、古代の女性統治者/女帝はどのような存在だったのか。かつては「中つぎ」に過ぎないと考えられていたが、この四半世紀に研究が大きく進み、皇位継承は女系と男系の双方を含む「双系」的なものだったことがわかった。七世紀まで、天皇には女系の要素も組み込まれていたのだ。古代王権史の流れを一望し、日本人の女帝像、ひいては男系の万世一系という天皇像を完全に書き換える、第一人者による決定版。
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Posted by ブクログ
<目次>
序章 古代双系社会の中で女帝を考える
第1部 選ばれる王たち
第1章 卑弥呼から倭五王へ
第2章 世襲王権の成立
第2部 王権の自律化を目指して
第3章 推古~王族長老女性の即位
第4章 皇極=斉明~「皇祖」観の形成
第5章 持統~律令国家の君主へ
第3部 父系社会への傾斜
第6章 元明・元正~天皇と太上天皇の”共治”
第7章 孝謙=称徳~古代最後の女帝
終章 国母と摂関の時代へ向けて
<内容>
古代の女性天皇に関する歴史書。歴史学会では、「女性天皇」はありなのだと思うが、この本は意外と現在の政治的要素を排除して、淡々と記する。「父系」の伝統は明治以降なのは、学界では自明の事実で、それを「伝統」と呼ぶのはおかしい。「伝統」と呼ぶなら、この古代の「双系」(or「女系」)の方が伝統であり、中国の諸制度をまねながら、「父系」だけは取り上げなかったところが「伝統」なのだろう。