【感想・ネタバレ】オルラ/オリーヴ園~モーパッサン傑作選~のレビュー

あらすじ

部屋の中に目に見えない何かがいる……。妄想と狂気に呑み込まれていく男の日記「オルラ」。若き日の苦い思い出を浄化し、穏やかに過ごす老司祭のもとに、ある日、みすぼらしい身なりの若者が訪ねて来る。人生を揺さぶる直視し難い過去との対峙を描く「オリーヴ園」など、病魔に冒され、寡作になりつつある後期の作品のなかから8篇をセレクト。素材・テーマともに厳選されたからこそ顕出したモーパッサンの真髄がここにある。

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Posted by ブクログ

モーパッサン傑作選の三冊目であーる

うん、ほんとに傑作ぞろいでしかもめちゃくちゃバラエティ
光文社仕事できすぎやしないか?
いや違うな訳者であり選者でもある太田浩一さんか偉いんだな
訳文もめちゃくちゃに読みやすいし
あ、でもやっぱりそんな太田浩一さんを選んだ光文社が凄いんだな

と言うわけで光文社の手先としての仕事を存分に果たしたところで、モーパッサンであーる
あのヒゲのおっさんであーる

ほんとにねどの短編も面白かったのよ
んでやっぱりモーパッサン頭おかしいわと思ったね
で、モーパッサンはほんとに精神疾患を患い自殺未遂とかもしてるんで、軽々しく扱えないんだけども
やっぱりなんていうかこういう脆さというか危うさを抱えた人だからこそ、人間の卑しさとか愚かしさみたいなところに焦点をあてた物語が書けたのかななんて思っちゃうよね

さぁ次は『女の一生』を再読するかな?
それともフランスが産んだもうひとりの自然主義の巨匠エミール・ゾラでも行ってみる?
あるいはガラッと変えてロマン主義の文豪アレクサンドル・デュマもいいかな?

フランス文学、面白いわ〜

追記)今、宮部みゆきさんの『火車』を読み始めたのだが、冒頭で『椿姫』が出てきました
凄い偶然Σ(゚Д゚)
というわけで次のフランス文学はアレクサンドル・デュマ(息子のほう)に決定や!

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2024年10月24日

Posted by ブクログ

・翻訳がすばらしい。とても読みやすい&わかりやすい。
・「オリーヴ園」がとくによかった。

・ハイライト:
いまだって、わたしの横でやきもちをやいていらっしゃるのではありませんか。それはわたしを自分のものにしたいからではなく――そうならば、こちらも拒んだりはしなかった――わたしをぶざまな姿にしたいからなのです。

まあ、この劇場を見てみたまえ。ここには、われわれが創りだした人間世界がある。永遠の運命をつかさどる神が知りもせず、予想もしなかったものだ。われわれの精神だけが理解しうる世界だ。この、しゃれた、官能的で知的な娯楽は、不満と不安をもつ小動物である人間だけのために、人間だけによって発明されたのさ。

世紀にもわたって蓄積されてきた、あらゆる人間の複雑きわまりない願望が生みだした、風変わりで不可解な存在なのだ。われわれの願望は、神のさだめた当初の目的から逸脱し、おぼろげに見えはしても捉えることのできない、神秘的な美をめざしてさまよってきた。だからこそ、もっぱらわれわれの夢想のために開花する女たちがいるのだろう。観念的なぜいたく品である詩情、媚態、美的魅力といった、文明からあたえられたそうしたものをことごとく身につけた女性たちがいるのだろう。女性というこの生身の彫像は、われわれの官能的な情熱からだけではなく、われわれの精神的な欲望から生まれたものでもある。

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2024年08月13日

購入済み

不思議な魅力と力を持つ作品集です。

百年以上前の作家の作品であり、今は、古書店の世界名作全集か、ここBookLiveのような電子書籍でしかあまり購入できないと思います。
当たり前の日常、当時の時代の香り、生活習慣、文化、文明が繊細に描かれ、独特な深い風情があります。

そしてさらに精神疾患で苦しんだ作者の特異な思想があります。
その精神が見事に圧縮されています。肉体と魂の隙間の、緊迫した薄氷の響きに、見事に耳を澄ませた孤高の人と呼べるでしょう。

#泣ける #切ない #深い

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2023年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大学のフランス文学講義の予習のため。

部屋の中にいる見えない何ものかが本をめくるイメージが不気味に想像できた。
自然の描写と、炎の描写が豊かで美しいと感じた。



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2021年04月21日

Posted by ブクログ

作者のことは好きで何冊読んだが記憶してないが、どの作品もらしさが出ていて良かった。変に登場人物を作ったり、その説明がなくて読みやすいんだよな。やっぱり西洋人のコミュニケーション能力は成熟していて、自分の考えを見極めて生きている気がする。

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

 大学時代、フランス語の授業で初めて読んだ作品が、モーパッサンの『オルラ』であった。辞書を引いて、一語一語確認しながら読み進めていったが、ル・オルラと怪しいモノの名前が判明したところで、ゾッ〜とした記憶が残っている。

 モーパッサン晩期の中、短編になるが、コメディ調のもの、悲劇的なもの、ホッコリさせられるもの等々、バリエーションに富んだ編集で、読み応えがある。

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2020年10月18日

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