【感想・ネタバレ】ふたりぐらし(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

元映写技師の夫・信好は、看護師の妻・紗弓と二人暮らし。映画脚本家の夢を追い続けて定職はなく、ほぼ妻の稼ぎで食べている。当の妻は、余裕のない生活で子供を望むこと、義母との距離、実母との確執など、家族の形に悩む日々だ。幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、夫婦とは、結婚とは、一体何だろう。夫婦が夫婦になっていく“家族のはじまり”を、夫と妻交互の視点で描く連作短編集。(解説・友近)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

特別な事情を抱えているわけでもない、どこにでもいる夫婦の話。だからといって心に響かないわけではなくて、夫婦であってもお互いに遠慮して言えないことがあって、それが足かせになるけど、相手が好きであることに変わりはない、そんな状態が当たり前、というか、そんな状態でもいいんだ、と思わされる。
解説で友近さんも書いているが、特に、娘が母を嫌うのは一人の女性として当然であるという視点は新しかった。

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2022年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

紗弓の、言いたいことをすべて口にすると却って傷ついてしまう癖は子供のころから直っていない。思いはできるだけ仕舞っておきたい。信好といるとそれができた。そしてまさにこの、過剰な言葉を欲しない生活の静かな幸福感が、母に上手く説明できないのだった。

「わたし、お母さんのことたぶん嫌いなの」
言ってしまうと、涙がこぼれ落ちた。

いつからか佇まいの良いひとだと思うようになった。気遣いの方向を間違わない男として、信好はまだ紗弓の父の足下にも及ばない。

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2022年04月19日

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