あらすじ
破壊された村にやってきた主人公とその管理下のロボット「雪怪」が小型機械車と出会った顛末を描く「戦車の中」ほか、AIをめぐる物語6篇と2篇のエッセイを収録。劉慈欣『三体』に続き、中国にヒューゴー賞をもたらした「折りたたみ北京」著者による短篇集
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Posted by ブクログ
全知全能に近づいたAIは、それを生み出した人と連なるものなのか、人とは分かたれてしまった存在なのか。
人である自分としては、連なるものであってしてほしいと考えるものの、存在したリアルな人間の情報でつくられた存在ならば果たしてどう考えればよいのか…、と悩まされたのが「不死病院」でした。そのAI/生身の人間の境目の付けかたへの逡巡の描かれ方とともに、物語としての展開を一番楽しめたのがこの作品でした。
ほかでは、ショートショートに近い作品ながら、初々しいピュアな子どもと全知に近いAIのやりとりがほほえましい「乾坤と亜力」が好きです。
人が生み出しながらも「個人」では到達できない彼岸へと到達したAIは、至らない人という種族の個を、取るに足らないと取るか、理解したいと接するか、ただ何も思考しないのか。その個体差はきっと千差万別で、根源たるヒトとそんなに変わらない愚かしさすら備えた個性を持つものもいるのかもしれないな、と思ったりしました。一周回って、隣り合う存在になってくれているのかも、と。
Posted by ブクログ
人工知能が生活の様々なところで、見受けられるようになりつつある今、まさに今読んでおくのが良い作品。『スーパー人工知能まであとどのくらい』『人工知能の時代にいかに学ぶか』は、本書を見る上でも、別の創作物を読む上でも、役に立つ。
短編もそれぞれ面白かった。
『あなたはどこに』の、AIだけじゃ足りない感じが本書の指向性をよく示せている。
『不死医院』は、世にも奇妙な物語にありそうで、オチもそんな感じ。
『チェンクンとヤーリー』も短いながら良。
Posted by ブクログ
前半に、著者の人工知能に関するエッセイX2、そのあとでSF短編が続くという珍しい構成になっているのだが、これが正解。こういう見識がある人が書くと、こういう物語ができるのだなぁとより深く味わえた。