【感想・ネタバレ】書きたい人のためのミステリ入門(新潮新書)のレビュー

あらすじ

読むと書くとは表裏一体。書き手の視点を知れば、ミステリは飛躍的に面白くなる。長年、新人賞の下読みを担当し、伊坂幸太郎氏、道尾秀介氏、米澤穂信氏らと伴走してきた編集長が、ミステリの〈お約束〉を徹底的に解説。フェアな書き方、アンフェアな書き方とは? 望ましい伏線の張り方は? 複雑な話だから長編向き? 「人間が書けている」とは? なぜ新人賞のハウツーを信じてはいけない? 読むほどにミステリの基礎体力が身につく入門書。

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Posted by ブクログ

書く人にとって全員読んで欲しいミステリの基礎学習本。

ミステリを描きたいって思っていてもミステリってどんな構成なの?叙述トリックって?推理ってどう書くの?
そんな作品の構成が他作の紹介もあり、読めばミステリの変遷や形式がわかるありがたい入門書。自分が描きたいミステリがわかるヒントになります。
また作家ではなく編集者、新人賞の審査員が解説しているので文学賞の裏側や求められること、佳作に入らない人の作品に関する特徴なども語られており、応募する前に手を止めて読んでみることもお勧めします。
画期的なことはあまりなく基本を抑えた内容になりますが、そうでこそ必要になる知識だと思います。

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2024年10月20日

Posted by ブクログ

読者目線で者なく、書く側(作り手側)の視点からのミステリ入門でなかなか面白い。しかも実際の書き手が書いているのではなく、いろいろな作家の卵の原稿を読んでいることの強みを持つ「編集者」という第三者的立場からの視点でもあるため、独りよがりにならずにすんでいる。巻末にある「本書で紹介した作品一覧」は半分以上既読だけれど、未読既読本関係なく一通り読んでみたいと思った。

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2023年05月06日

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作家ではなく編集者の書いたミステリ入門。
小説を楽しむ立場から客観的に見たら、という内容。自身が作家でないぶん、余計な思い入れや主観が少ない。また、読書家らしく大量のミステリを読破しているため、面白い本の共通点など参考になる点が多い。
ミステリ小説を書こうと思っている人は読んでおくと良いと思った。

<アンダーライン>
★★★★★
謎、伏線、論理的解決

★★★★「幻想味」に関しては、ミステリーのセンスからはずれない限り、ともでもないものであればあるほどよい。

★★★★★
ダブルミーニングな伏線が望ましい

★★★★★
「世界が反転する」という表を読んだことがあるかもしれないが、まさしくそれで、見えている事象は変わらないが、それらの持つ意味が変化することにより、世界がひっくり返るのである。

★★★★(伏線は)はっきり因果関係が示されない限り、どれだけ「バレバレ」に思えてもまず見破られることはない。

★★★★★
クイーンもクリスティーも、解決の論理性に差はない。クイーンが論理的だと言われる理由は、十の可能性の中から、九つを潰したあとに、真相を示すからだ。他のあらゆる可能性を潰して、唯一の真相に到達したように見えるからだ

★★★★★
特殊な動機ほど、多くを説明してはいけない。

★★★★★
連城三紀彦の中には「一方通行だと思い込んでいる矢印を、逆に向けてみる」という発想があったのではないか

★★★★★
凄い絵画を表現するのに、その絵に「インパクトがあった」と書くのは、「インパクトのある絵」と記された色紙を額に入れて壁に飾るようなもの

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2022年06月27日

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書かないことで状況を説明することの大切さがよくわかった。
是非、この本に出てくるミステリー小説を1冊づつ読んでみたい。




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2021年07月12日

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書籍を出版する側の人から、ミステリとはどんな構造になっているのかを解析し、ミステリ作家という職業への採用活動をしているような本。
本書は、ブックガイドとしても活用できる。ミステリにもいろんなジャンルがあり、各ジャンルの解説と、そのジャンルの代表的な作品が紹介されている。ミステリ好きなら、ご存知の作品が多いかもしれないが、私は知らない作品のほうが多かった。
読みたい本が増えていく。自宅の空間が本で圧迫され、財布の中身が無くなる怪奇現象?が加速しそうでとても怖い。笑

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2021年06月09日

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ネタバレ一切なしの初心者向けミステリガイドブックとして極めて優秀、かつ、タイトル通り「書く人(または編集者)」にとっても非常に役立つ一冊。
また、ミステリの作法(謎を提示して伏線を張り最後にカタルシスとともに回収する)というのは、一般的なエンタメ作品にも共通する「読者・視聴者を喜ばせる構成」なので、他ジャンルの書き手でも是非一読あれ。

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2021年03月27日

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マダミスを作りたくて買った本。

謎の作り方について丁寧な解説で、「俺にも面白い謎が作れるのかもしれない!」と前向きな気分に。
「書く」というモチベーションを維持するために、「話す」をしてはいけないという忠告はわかりやすく実行しやすいアクションだと膝を打ちました。

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2025年05月01日

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往年の名作ミステリを交えながらミステリ新人賞の選考者の視点から書かれた文章。
ミステリのざっくりとしたルールから始まり、他のエンタメに通ずるような話も多い。
・食わず嫌いをせずなんでも読む
・改稿に一番時間をかけろ
・読者を意識し、第三者に読んでもらう
・とにかく書く

などなど、なんとなくわかっているけど行動にできていないことが明文化された一冊。
良い勉強になりました。

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2024年09月12日

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ホントに書きたい人の為の本だった笑 ライトなミステリファンとして知っておくべきことが知れてよかった。

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2024年04月28日

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小説家や海外のライティングスクールの講師が書いた創作本はいろいろありますが、編集者が書いたミステリ入門&創作本は珍しいかも。
内容としては創作の話はもちろんなのですが、前半部ではミステリの種類やトリックなど、様々な先行作品の紹介もされていて、ガイドブックとしても面白い一冊でした。

編集者の書いた創作本ということでいうと、小説のタイトルと作者名に関する話が、この本ならではだと感じました。
凝りすぎた作者名では検索してもらえないし、タイトルだけで物語の雰囲気やジャンルが分からない作品だと敬遠されてしまう。それが新人作家ならなおさらということで、「タイトルに気を配る」「作者名は複雑にし過ぎない」などといった話は新鮮で、編集者ってこういうところも考えているんだと感じます。

ミステリを概観してみると、推理小説の時代から、社会派ミステリに潮流が変わり、そこから新本格が勃興し、日常の謎、そしてファンタジー、SF、ホラー要素も取り込んだ昨今はやりの特殊設定ミステリなど、改めてミステリは広がり続けているのだと感じます。

そうした拡張するミステリの楽しみを、単に「読む」以外の視点から考えられる一冊です。

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2021年09月20日

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書きたいわけじゃないけど笑 ミステリのプロットに興味があったので
まずはここで紹介されてる作品読んでいこー!

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2021年09月01日

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あまり縁がない分野だが読んでみた。ミステリーの定義を知るとともに、殺人が起きなくてもいいことを初めて知った。

改めて、ミステリーといわれる本を読んだと実感できたのは大きな収穫。

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2021年04月30日

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タイトルに「書きたい人のための」とあるから、関係ない、と手にしないのはもったいない。ミステリ全般について、コンパクトにまとめられた見事な入門書である。

そもそもミステリというのは、妙に約束事が多いジャンルである。フェアかアンフェアか、等という議論が沸き起こるのもこのジャンルならではのもの。ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則なんてものもある。逆に言えば、そのような縛りがあってこそ、ミステリの様式美が完成する。

おまけにコアなミステリ好きは、トリックの本歌取りに妙に詳しく、「ああ、このトリックは〜の〜みたいだね」なんて話で盛り上がったりする。本格、変格、広義のミステリ、雪山の山荘、クローズド・サークル、日常の謎、物理トリックに叙述トリック…独特の用語も目白押しだ。

もちろん、別に約束事を知らなくてもミステリは十分楽しめるが、知っておくとより楽しめる。ミステリの約束事は、書き手にも読み手にも、有益な情報なのだ。しかも、それを長年ミステリの新人賞を担当してきたベテラン編集者が教えてくれるのだから、これほどお得な話はない。私は小説畑の担当ではないが、編集者としても興味深く読めた。伏線に関する解説などは、なるほどと何度もうなずいた。
すべてのミステリファンにオススメの一冊。

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2021年03月28日

購入済み

ミステリーの読み方、書き方、

読む側の心境から、書く側の視点、編集者の視点などが、書かれていて面白かった。
 ミステリーのお決まりから、編集者だからこそ、言えることなど。
あと、この作者の読んでる本の数が凄そう、さすが編集者。(最後の方の引用ミステリー作品の数がすごかった。マイナーな者から少しマニアックなものまで。全部読んでみたいけど、全部読んでたら、大変なことになりそう。)
 (本来私は、ホラーやミステリーは怖い&難しいので苦手ですが、こういった視点で見ると、怖さや苦手意識が薄れるので助かります。)
 

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2021年03月02日

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ミステリを書きたい/書きたくないに関わらず、ミステリ作品のブックガイドとしてとてもよくまとまっています。
これからミステリを読んでいきたいという人はもちろん、ミステリを幅広く読んでいきたいという人も新たなミステリジャンルを開拓するきっかけになるかと思いますので、書きたい人のみならず、読みたい人にもオススメできます。

小説の書き方講座としては、ゴリゴリのハウツー本という訳ではありませんので、ミステリをかなり読み慣れていたり、ある程度書いていたりする人にとってはそれほど目新しいことはないかもしれません。
ですが、ミステリというジャンルの特有性について書かれていますので、ミステリを書きたいと思ったら、まず一読したほうが良いかもしれません。

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2021年02月17日

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前半は著者おすすめの本が多く出てくる、名前は知っているが未読の本ばかりだった。自宅に積読で置いてあるものが何冊かあるので優先的に読みたい。
後半になって本格的に賞の取り方講座が始まる。自分は作家になりたいから買ったわけではないが、学べることは多くあったと思う。

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2021年01月21日

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タイトルと、目次の内容から面白そうに思い購入。
正直書く側では無いが、ミステリが面白くなるポイントが散りばめられていて、読むのが好きな側という立場から見ていても納得感のあるところが多かった。
実例として作品もかなり提示されており(巻末にまとめられているのありがたい)、それらも読みたくなった。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新人賞の下読みを担当してきた現編集長職の著者が、特にミステリ作家を志す人に向けて基本を解説した本。

謎をつくり伏線を張り回収し解決する、というような「ミステリを書く」という行為を順を追って解説するばかりではありません。キャラクター(人間)の書き方、世界観についてなど、エンタテイメントや純文学など小説一般に通ずる「基本」についてにもプロの編集者の視点で話をしてくれています。素人が気づいていないような重要なポイントをあまさず目に触れさせてくれる内容で、「ミステリを書く行為って、そういうところにまで気を使い心を配るものなんだ」といくつもの驚きがもたらされること必至です。プロの書き手を志す人ばかりでなく、読み専門の人にとっても、ミステリをより深く理解するきっかけになるに違いない内容でした。

本書はそんな、書き手にとっても読み手にとっても「ミステリ入門」となるダブルミーニングの作りですが、加えて、数多の名作が挙げられていることで、まず読んでおく方が良いミステリ(作品)入門にもなっている。実はトリプルミーニングな作りなのです。叙述トリックについてはこれこれしかじかの作品たち、密室モノならばこれらの作品たち……、などとネタバレはまったくさせずに参考文献になる作品を紹介してくれています。なので、素直にそれらの作品を読んでいけば、たぶんミステリ知識の下地はけっこうな程度のみっしりしたものとなりそうです。

「フーダニット(Who done it)」=「誰が犯人か」、「ハウダニット(How done it)」=「どうやったらそんなことができるのか」、「ホワイダニット(Why done it)」=「なぜそんなことをしたか(動機)」などのポイントがあって、力点をどこにおくかで作品が変わってきます。そういう整理の仕方って、億劫で足が一歩でなかったところに存在していた感が僕にはあり、ちゃんと執筆に取り組もうとするならば、こういった認識の仕方は力になるなあと思いました。たとえミステリではないエンタテイメント作品を書くとしても大いに参考になるところです。

そして、「視点」。「視点」のずれが新人賞では問題になる、と本当かどうかはさておき僕もどこかで読んでことがあります。「三人称・神の視点」は新人賞ではマイナス点だというものまでどこぞのネット記事で読みました。本書ではそんな「視点」についての解説もありました。「視点」がブレるのは難点だ、と新人賞の選考で評価されるのだそうです。要は、読み手が混乱するような「視点」ではダメです、ということ。「三人称一視点」なら「三人称一視点」でずっと構築していくのがわかりやすい作品になるということでしょう。この「視点」については、次からの小説読みのときに意識して読んでいこうと思っています。あとは、これまで読んだモノの中からブレてなさの強い作品を再読して感覚を掴みたいとも考えています。学べ学べ、なのでした。

最後のほうでは、新人賞についてのアドバイス的な章があります。僕は「わぁっ!」と目を丸くしましたが、なんと、傾向と対策はしなくていい、と。独創性をみる、と。原稿に正解は無いし、新人賞は当落はあるけれどそれは合否ではないので、正解を仮定してそこに寄せていくようなことはしないほうがいい、というのでした。「普通におもしろい作品」は要りません、とも書かれています。枠を破ったりしてもいいし、自分ならではのカラーのある作品で挑むのもいい。というか、そうしてきなさい、みたいなことを言っている。「推敲」「改稿」「第三者の目」も大切で、おろそかにしてはいけません、ともあります。そして、「なぜ小説を書くのか」を忘れないこと、が大事なのでした。このあたりは肝に銘じたいところなので、こうやってレビュー記事に残すことにしたのです。あ、それと、まずはいっぱい読んでいっぱい書くのが基本だそうですよ。

僕はまた今年、短編で挑んでいくつもりなのですが、短編はシャープなネタとカタルシスで一気に勝負するほうがいいみたいです。競馬でいえばスプリント戦。僕が応募するのは50~100枚の規定なのでマイル戦くらいかもしれない。……だとか、競馬でたとえてイメージして考えるなよ、という感じですけども、そういう「切れ味」をこれまで以上に意識して書いてみたいです。うーむ、なんだか楽しみになってきました。

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

書店でふと見かけても入手したと思うけど、直接のきっかけは新聞書評から。ミステリ界隈の読書ガイドとか、作家の手になる書き方入門とかは、それなりの数を読んできたから、本作で書かれている内容も、それほど目新しい感じはしない。あと、今のところ自分で書いてみようという気持ちもあまりないので、そういう意味での価値も高くはない。でも、個人的に苦手としている、本作でいうところの”人間が書けていない”作品について、また違った読み方で楽しむすべがあるのかも、と思えた点は発見だった。参考作品として挙げられていたもののうち、読みたくなったのは下記。

片眼の猿、人形はなぜ、クロノス・ジョウンター
宵待草夜情:これは読み終えた後、本書の幕間を読み直す必要あり。ネタバレの注意書きあり、読み飛ばしたから。
【映画】プレステージ、鑑定士と顔のない依頼人

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2020年12月29日

Posted by ブクログ

☆2.5 どこが入門?
 ミステリー読んだことがないひとのためのおすすめ本紹介本。途中の「ときめきメモリアル」と黒澤明のつながりの話がおもしろかった。要するにリアリティの話であるが、この方はよくわかってらっしゃる。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ミステリーのお約束ごとはもちろんのこと、リアリティや世界観を作る意味などは、他のジャンルのエンタメにも通じるものがあると思った。

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2024年08月03日

Posted by ブクログ

主に本格ミステリにおける基礎教養を学べる本だけど、編集者の方が書かれているだけあって、書くにあたってのハウトゥーより心構えにウエイトが置かれている。
具体的な発想法やプロットの立て方などにはほぼ触れられていない。超初心者向け。


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2024年03月27日

Posted by ブクログ

京大のミステリ研に所属し、長らく新人賞の下読みをしてきた筆者がミステリの「お約束」をまとめた一冊。たしか、綾辻先生が紹介されていて手に取ったんだったかな。
タイトルには「書きたい人のための」とありますが、読み専門の私としてもミステリガイドとして楽しむことができました。おかげで付箋がまたいっぱい……。

本筋とは関係ないかもしれませんが、最も心に残ったのは「食わず嫌いしないで、何でも読む」というアドバイス。
私にとっての読書は娯楽であり趣味ですから、好きなジャンルの、お気に入りの作家だけ読むというのでも問題はないのでしょう。
でも、読書に限らずどのジャンルだって、知らないよりは知っている方が楽しめます。また、たとえ読んでつまらないと感じたとしても、その本が「合わなかった」ということは得られるわけです。
大好きなミステリーというジャンルをもっと楽しむために、興味がないからと手に取らなかった本にも目を向けてみようと思いました。
また、作者がこれだけ手を尽くして書き上げ出版された作品のですから……読む側としてもっと楽しめるようになりたいなとも感じましたね。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

# 感想
私は小説を書きません。ただ本は読むので、もっとミステリ小説の意図がわかるようになりたいと思って、本書を読みました。

本を読み終わった後になんかおもしろかったなとか、なんかおもしろくなかったなとか思うのですが、どういう理由なのかは表現できないと感じていました。この本で少しでも足しになるといいなと思ったのですが、その一つが幻想味と論理性(P.25)かなと感じました。この本を読んで読後の表現力が上がるわけではないかなとは思いますが、一方で考える一つの要素は得られたかなと感じました。

ここで紹介されていた本を読みながら、この本の説明を活かして感想が書けたらなと思います。

# 抜粋
- 「『幻想味』に関しては、ミステリーのセンスから外れない限り、とんでもないものであればあるほどよい。日常的常識のレベルから、理解不能のものであればあるほど望ましい」とあり、解決の「論理性」に関しては、「『論理性』は、徹底した客観性、万人性、日常性のあるものが望ましい。『本格ミステリー』とは、この両者に生じる格差、もしくはそこに現れる『段差の美』に酔うための小説である」とある。(P.25)
- かまいたちの夜(P.60)
- タッチの差でも、探偵の解説より先に「そうだったのか!」と気付いたことは、長く印象に残る。わずかな差がだが、「気付き」の快感を侮ってはいけない。
これをもって、「真相に気付いた」という人もいるだろうが、そんなものは気にする必要がない。むしろ、「だって分かるように書いてるから」と胸を張ればいい。この、「一瞬早く気付かせる」を意図的にやるのがどれだけ大変かは、実際にやってみればすぐに分かるはずだ。(P.101-102)
- 後輩の編集者が、本のリードやタイトル案に四苦八苦してページをめくっている姿を見ると、「原稿の中に答えはないよ。本屋で棚でも眺めて来れば」と言うことにしているし、自分でもそうしている。(P.167)
- と同時に、腑に落ちたのだ。世界に入り込んでいればいるほど、ちょっとした綻びから、世界は容易に崩壊するのだ、と。(P.176)
- 成功する秘訣は、失敗の回数を増やすこと(P.179)
- そしてもう一つよくされる質問が、「デビューするのために、もっとも大事なことは何ですか」というものだ。
(中略)
複数の作家が、同じような質問を受けた場面を目にしたことがあるが、異口同音に答えていたのは、「まず、一つの作品を最後まで書き上げること」だった。(P.185-186)
- 「読むと書くとは表裏一体」。沢山読み、読みっぱなしにしないで、どうして面白いのか、自分なりに考える習慣を付けることだ。(P.190)

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2023年05月27日

Posted by ブクログ

 ミステリの編集者によるミステリの書き方講座。
 編集者だから、文章の書き方の踏み込みが浅いのは少し残念。
 例えば「美人」「すごい絵」という書き方ではなく、文章でどんなふうだから美人なのか、どうすごいのかを書き、美人だなあ、と読者に思わせること、というのはその通りだなあ、と思い、具体的にどんな文章ならそう思わされるかな?と思いながら読み進めたら、文章の例がなくちょっとがっかりした。
 また、ミステリにおいてネタバレは最大の禁忌ということはわかるが、ネタバレがないように十分に配慮されていたので、例の具体性が弱い。正直書き方の講座なのだから、ネタバレがあることは注意喚起した上で、具体的にどのように書かれていたか教えてほしかった。
 だが、伏線の書き方は具体例があって、興味深かった。愚弟例があるからこそ、「伏線はバレない」むしろ、印象に残るように伏線は書くことというのが記憶によく残った。

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2023年01月11日

Posted by ブクログ

ミステリを書くつもりはないが、おもしろそうなので読んでみた。作家さんがどんなことに気を付けて作品を産み出しているのか、考えるきっかけになった。プロのみなさん、いつも楽しませてくれてありがとう。

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2021年10月21日

Posted by ブクログ

書きたいわけではないのですが
「ミステリ入門」のほうにひかれて
買ってみました〜。

うん、コンパクトによくわかった!
章題が「そうそう」な、ところも。
 意外な犯人は、「意外」じゃない
 「ふうん」な伏線じゃ驚けない
そんな読者にむけて書く人は大変です。

例として挙げられているものが
ブックリストとしても使えるので
手元に置いて使うことにします。
まだまだ未読の本があって楽しみ。

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

ミステリを書くつもりはないが、「書き手目線を知ればミステリはもっと面白くなる」の謳い文句に、つい購入(笑)。
「シャープなネタとカタルシスを求めるなら、一気読みできる短編を。骨太なストーリーラインや物語のうねりで謎をゆっくりと楽しむなら長編を」
書き手に対しての提案を、読み手用に書き換えたが、頷ける言葉か。
何よりも、古今東西のミステリの名作が多数紹介されており、既読もあれば未読もあり。あれもこれもと読みたくなってしまう。
本書で紹介された作品が、巻末に出版社名とともに掲載されているのは、これから読もうと思う読者にはとても便利だ。

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2021年01月14日

Posted by ブクログ

 日頃書くのはもっぱらビジネス文書ばかりだが、「文章の書き方」的な本は参考になる部分も多くて、ジャンルを問わず読むようにしている。

 本書はミステリを書きたい人のための一冊。具体的なノウハウに加えて、心構えやら、視点やら、デビューまでの道のりやら、関連するあれこれが詰まった一冊だ。

 実のところ、個人的にはミステリを書きたいどころか、小説全部でも年間10冊程度しか読んでいない。これからもミステリや小説を書くことはないに違いない。

 しかし、〈幾何の証明問題で、補助線を引くと一瞬で答えが分かるようなのがあるだろう。そういう補助線が、小説にも必要〉〈書いているうちにどんどん分量が増えていくことは往々にして起こり、そうなる理由の一つに、説明のし過ぎがある〉といったノウハウは、長い文章を書く際に、知っておいて損はない技術だろう。

 〈ミステリを書くのであれば、読書は本当に必要〉というだけに、本書には多数の良質なミステリが紹介されている。ブックガイドとしても読む価値あり。

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2021年01月06日

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