あらすじ
「朝日新聞」名物・名文記者の文章技巧25発を紹介。つかみ(冒頭)の三行、起承転結、常套句が害悪な理由、一人称、文体、リズム、といった技術を網羅するが、方法論にはとどまらない。なぜそうするのかを、自己や他者の心のありようにフォーカスしながら考える。
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Posted by ブクログ
朝日新聞名物記者による1冊。
「文章を書く」ことの難しさ、奥深さを素人ながらに学んだ。
ここまでストイックとは言わずとも、営業として時折見返しつつ会得していきたい。
以下、メモ。
天才の二つの要件
→第一に、努力を続けられる人
→第二に、努力を発見する人(人が努力しないことを努力する)
一流ほど、「自分が1番下手」として全てから謙虚に学ぼうとする
読書のいろは
→目指せ1000冊(手元には100冊台)
→全ての本を立て、背表紙が見える状態で保存せよ
→本棚のラインナップが、自分だけの関心事/知識のポートフォリオとなる(電子だとそれができない)(常に読んでは捨ててアップデートし続けよ)
→学びを抜書きし、常にストックせよ(抜書きはあなたではないあなたへの、召喚状である)
読者はあなたに興味がない、あなたが書こうとするテーマはどうでもいい
→三行以内にのけぞらせなければ、後を読んではもらえない
文章が上手くなる3つのコツ
→一文を短くする
→形容詞を対象語はなるべく近づける(◎野生動物の違法な売買×違法な野生動物の売買)
→一文に、主語と述語は1つずつ
→など、色んな、様々なを排除する
→擬音語、擬態語、流行語を弾く
共感させる文章は「エピソード」で語らせる
→押し売りの感情や演出は響かない
→五感で世界を切り取り正確に書け
落とせるラブレターの書き方(三手)
→初発の熱量が全て
→仕事を頼む人は、常に世界一忙しい人だと思え
→自分はあなたを知っている(依頼対象が忘れているような過去の仕事も含めて書く)
→自分はこういうものである(肩書、過去の仕事、現在の課題意識)
→したがって、自分にはあなたが必要だ(あなたと仕事をしたい、と直接書くな)(あなたにも自分にも有用だ)
Posted by ブクログ
さすがに文章書く人が書いている本のだけあって、非常に読みやすい。内容の好き嫌いはあれど、読みやすさは皆同意見のはず。(そうじゃない人は論理性にかける)
ただ、どうしても記事を書く、ということに主眼があるのでそっくりそのままビジネス文書作成に役立つかというとそうではない。
散弾になぞらえて、25発のポイントがある。
第1発
・書き出しは三行。体言止めはご法度。
・読者はあなたに興味がない
第2発
・わかり易い文章とは、①短く②形容語と被形容語はなるべく近づける③一つの文章に主語と述語はひとつずつ。
第3発
・固有名詞と数詞を減らす。相手に考えさせない文章を。
・など、いろんな、さまざまを使わない。
第4発
・常套句、決まり文句をなくす。
第5発
・オノマトペ(擬音語、擬態語)をなくす。
・流行語をなくす。
第6発
・型破りは良いが、形なしはダメ。だから型を学ぶべき。
・ライターの型は起承転結
・起は第1発。
・承は起の説明。
・転をかけるライターが生き残る。転をかけるのは考えているから。
・転の5パターン。過去に遡る、東西に広げる、世論の逆張り、世論の順張り、話の筋を変えてユーモアを誘う。
・結は転を考え抜いた結果、自然と書けるもの。
第7発
・響く文章はエピソードで語る。
・見て、正確に書く。このように書かないといけない、と思って書くのではなく、見て正確に書きたいことを書く。
第8発
・ライターになるための企画の作り方(第14発)に先立つ準備。
・おもしろがる。自分が分からない、興味がないのは感性が鈍ってるから。無理してでも面白がる。
・質問力を鍛える。質問を考え抜くのは当たり前で、予想してなかった回答があったときにどんどん攻める。
第9発
・うまい文書を書ける人はメールもうまい。メールの三手詰め。
・一手目「自分はあなたを知っている」仕事を具体的に上げて感銘を受けていることを短く的確に表す。お世辞ではなく。
・二手目「自分はこういう者である」いまどういう問題意識をもっているのか、自己紹介す?
・三手目「したがってあなたが必要だ」
第10発
・一人称、読者を設定する。作家は誰かに向けて書いては迫力に欠ける。
第11発
・語彙、文体、企画、ナラティブの4つを道具として持っておく。(次発以降)
第12発 語彙
・本を読み、辞書を引く。辞書は考え方を変えるために引く。その言葉の意味をどんどん追いかけていくと、何かひらめくものがあるかも…
・好きな作家の作品は全部読む。音楽だって同じ。そして憑依したように真似る
第13発 文体
・スタイルは生き方。スタイルを確立させる。
・スタイルの練習4つ。主語を変える、主題を変える、主義を変える、主体を変える
第14発 企画
・わたしにか書けないものは感情。
・読者の半歩先を書く。
第15発 ナラティブ
・ナラティブとは話術、語り。
・つかみがあり、状況やあらすじを簡単に説明して、聞き手を惹きつける謎をもたせ!予想を裏切る方向へ話が伸びて、オチがつく
第16発 スピード感
・読ませるための3感
・ダブりを省略する
・二文に分けられるものは分ける。しかし単調になるので、効果的に短文と長文を織り交ぜる
第17発 リズム感
・話し言葉と書き言葉を区別する
・話し言葉に間を作る3つの方法。句読点、カッコ、改行
・躍動している文章には感知されないリズムが埋め込まれている。(全てが単純な七五調ではない)
第18発 グルーヴ感
・形容詞を書かず、事実を書く
・うそをつくな。うそをつくなら大きい嘘をつけ
・音楽のように乗れるかが大事
第19発 意見や助言
・自分が1番下手だと認識する
・注文は一旦聞く。聞いて、聞かない。それ以上のものを出す
第20発 時間管理・執筆環境
・文章を書きたい人は決まった時間に書く
第21発以降は、ライターを目指す人用なので割愛
Posted by ブクログ
『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』読書メモ(近藤康太郎/CCCメディアハウス)
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【核心思想】
・書く行為=「無意識の思考パターンを可視化し、存在を刻むプロセス」(終章)
・「三行で撃つ」本質:書き出し3行で「読者の扁桃体を刺激し、前頭葉を覚醒させる」(例「午後3時17分、豆腐屋の木戸の軋みが800m先の花火と同期した」)
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【実践技術】
■ 4大要素(第4章)
1. 語彙:常套句排除(「感動」→「左膝の疼き」)
2. 文体:主語転換(「私」→「2023年の街角」)
3. 企画:半歩先発想(AI失業→「AIに奪われない37℃の体温」)
4. ナラティブ:古典の現代化(『徒然草』をSNS炎上で再解釈)
■ 時間管理(第6章)
・25分×4セット執筆:ポモドーロ応用
・週1フィールドワーク(例:漁港の「錆びた柵の鉄臭」計測→比喩化)
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【AI時代戦略】
1. 身体性言語化:米作りの「泥温27℃」を企業批判に転用
2. 矛盾の商品化:「平等なAI」と「差別的データ」併記
3. 禁止事項(第2章):
×「思います」→「3秒間の沈黙+五感データ」
× 起承転結→「起→転→承→転」再構築
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【事実確認済み】
・五感描写:猟師経験に基づく記述(第3章)
・ナラティブ無限化:第4章「ストーリー(骨格)vsナラティブ(皮膚)」
・「書く=存在証明」:終章「シナプス再構築」理論
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【残課題】
1. 「売れる文章」の定量化:PV数より「読者行動変容率」具体的手法不明
2. AI差別化の具体性:身体性以外(倫理判断・文脈創造)の体系化不足
3. 数学的厳密性vs芸術性の統合:第5章「認知的不協和デザイン」要検証
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【実践計画】
月:方言辞典で語彙収集/水:過去記事の主語分析/土:工場振動「0.3Hzの憂鬱」体感