【感想・ネタバレ】神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた――。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

テレビドラマを機に原作も読んでみた。

ドラマは「続・かえるくん東京を救う」というオリジナルの物語で幕を閉じたので、寧ろ原作はどうなっているのか気になった。


原作の最後の短編
「蜂蜜パイ」
めちゃくちゃ良い話じゃないか。
ドラマで出てきた箱も登場するし、これをドラマの最終話にしなかったのはなぜなんだろう?

なぞ。

ただ、岡田将生くんが演じた小村は原作より好きでした。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱり引き込まれる。
どの短編も読みやすかったけど
かえるくん、東京を救うが特に好き。
これは以前子ども向け?の村上春樹の単行本にあり記憶していた。
宗教と地震は地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災から来てるのかと他の人の感想を読んでなるほどと思った。2世の視点が1Q84にも少し通じるものがある。蜂蜜パイの結末がハッピーエンドでよかった。

0
2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

NHKでやっていたドラマは見逃しましたが笑…面白かった!6つの短編からなる物語で、阪神淡路大震災という共通テーマはあるものの、直接的には繋がっていない。

特に好きだったのは、「アイロンのある風景」「タイランド」「かえるくん、東京を救う」かな

UFOが釧路に降りる:妻が実家に帰り離婚。釧路に小箱を運ぶ男の話
アイロンのある風景:火を囲う人々
神の子どもたちはみな踊る:新興宗教の信者2世だった主人公が生物学的父親を追って、一人踊る
タイランド:タイの休暇で水泳をしながら夢の予言をされる
かえるくん、東京を救う:かえるくん!
蜂蜜パイ:春樹〜だけど、あまり好きじゃなかったな笑。大学時代からの三角関係が自分に落ち着く話

「アイロンのある風景」
…順子は焚き火のにおいに包まれて目を閉じていた。肩にまわされた三宅さんの手は大人の男にしては小さく、妙にごつごつとしていた。私はこの人と一緒に生きることはできないだろうと順子は思った。私がこの人の心の中に入っていくことはできそうにないから。でも一緒に死ぬことならできるかもしれない。(p.77)

「神の子どもたちはみな踊る」
…体がいくつもの図形を描いた。そこにはパターンがあり、ヴァリエーションがあり、即興性があった。リズムの裏側にリズムがあり、リズムの間に見えないリズムがあった。彼は要所要所で、それらの複雑な絡み合いを見渡すことができた。様々な動物がだまし絵のように森の中にひそんでいた。中には見たこともないような恐ろしげな獣も混じっていた。彼はやがてその森を通り抜けていくことになるだろう。でも恐怖はなかった。だってそれは僕自身のな中にある森なのだ。僕自身をかたちづくっている森なのだ。彼自身が抱えている獣なのだ。(p.109)

「タイランド」
…「あなたは美しい方です、ドクター。聡明で、お強い。でもいつも心をひきずっておられるように見える。これからあなたはゆるやかに死に向かう準備をなさらなくてはなりません。これから先、生きることだけに多くの力を割いてしまうと、うまく死ぬることができなくなります。少しずつシフトを変えていかなくてはなりません。生きるここと死ぬことは、ある意味では等価なのです、ドクター」(p.142)

「かえるくん、東京を救う」
…みみずくんのような存在も、ある意味では、世界にとってあってかまわないものなのだろうと考えています。世界とは大きな外套のようなものであり、そこには様々なかたちのポケットが必要とされているからです。…(p.161)

…かえるくんは立ち上がり、にっこりと微笑み、するめみたいに平べったくなって、閉じたドアの隙間からするすると出ていった。片桐はひとりで部屋の中に取り残された。テーブルの上に湯飲みが二つ残っていたが、それいあいにかえるくんが部屋に存在したことを示すものはなかった(p.167)

…ひどい人生です。ただ寝て起きて飯を食って糞をしているだけです。何のために生きているのか、その理由もよくわからない。そんな人間がどうして東京を救わなくてはならないのでしょう?」
「片桐さん」とかえるくんは神妙な声で言った。「あなたのような人にしか東京は救えないのです。そしてあなたのような人のために僕は東京を救おうとしているのです」(p.171)

「でもそのかわり、かえるくんは損われ、失われてしまった。あるいはもともとの混濁の中に戻っていった。もう帰ってはこない」(p.186)

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2025年05月17日

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