あらすじ
優れたものを低コストで開発・製造すれば業績に結びつくという単純な図式はもう通じない。日本のものづくり能力が利益を生み出すために不可欠なMOT(技術経営)の考え方を、体系的に解説する決定版テキスト登場。
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Posted by ブクログ
マネジメント・テキスト
MO[技術経営] 入門
著:延岡 健太郎
出版社:日本経済新聞出版社
良書 1980年代から現代までの製造業の潮流を説明するテキストです
藤本先生の生産マネジメント入門Ⅰ・Ⅱとともに、製造業のマネジメントをどうやれば、もうかるかを考えた書です
20世紀後半、これまでの優れたものを、低コストで開発製造すればもうかる単純な経営では立ち行かなくなってきた
それは、すぐに真似をされて、しかも価格が低下してしまう状況、いいものをいくら安くつくっても、経営としてはもうからない状況が一般化してきたためである
この事態に対して、初めて解を提示したのが、マサチューセッツ工科大学(MIT)であった
その解を、技術経営:MOT(Management of Technology)という
MOTには二面があり、1つは、経営工学や、生産管理を中心とした、オペレーションズリサーチやプロジェクトマネジメントをベースとしたもの、もう1つは、新技術、イノベーションをベースとしてた、組織論、戦略論をあつかった、事業化を扱ったものである
本書の枠組みとしては、価値創造と、価値獲得という2つの面から、企業の付加価値の最大化をどうしていけばいいかを問う。つまり、どうやったら、儲かる経営ができるのかを問うのが、本書です
それには、2つの層があり
技術者のための経営学 技術商品価値の創造 研究開発マネジメント
製造業のための経営学 技術経営のわかる経営者の育成 経営戦略の立案・実行
というものである
本書の大半は、ディスクリート、つまり、組立型の製造業を対象としていて、プロセス型の製造業にはあまり紙面が割かれていないことに注意が必要です
■モジュラー型 vs インテグラル型
組立型の製造業について、2つの部品のアプローチがのべられています
①モジュラー型
部品を積み木のように組み合わせて製品を作っていく方法
簡素化、標準化、サブシステムの独立化を志向する
②インテグラル型
開発製造を行う段階で最適性を考えて、各部品の調整を行いながら製造する方法
高性能化、高品質化、高付加価値化を志向するが、コストは大きくなりがち
欧米・中国は、モジュラー型の対応を得意としていて、製品はまたたくまに、低価格化、コモディティ化をしていく
■コア技術の技術戦略
基幹技術・基幹製品をさまざまな用途や、様々な分野に適用していく戦略
テクノロジー・プラットフォームというコア技術をベースとして
各分野に事業部を用いて、展開していく方法をいう
プラットフォームについては、
業界プラットフォーム(業界に特化する)
技術プラットフォーム(技術に特化する)
の2つが述べられている
ここでは、マーケットイン、か、プロダクトアウト、かということが論じられている
■組織プロセスのマネジメント
関連部門の相互確認を勧めながら同時平行で開発を進めていくやり方をコンカレントエンジニアリングという
早期に関連部門の問題のすり合わせを行い、市場投入について期間短縮を行うやり方である
また、組込みソフトウエアをふくめて、現代でいく、ウォータフォールと、アジャイルといった概念もこの中で生まれた
製造業にとって、生産しやすい商品設計(DFM)について、部門横断的な問題解決を行う手法を、フロント・ローディングと称する
フロント・ローディングについては、部門相互の情報、3DCAD、試作(モックアップ)などの手法を包含する
■価値創造の多義性
単一の製品を多く作っても売れない時代 一義性から多義性へ
顧客の分析について、商流を含めて
B2C
B2C
などの概念が導入されている
現代ではさらに
B2B2C
D2C(製造小売) などの概念も導入されている
これらの内容については、顧客ニーズの拡がりによって商品開発戦略と顧客価値戦略を統合する動きである
マスカスタマイゼーションとよばれる
顧客の希望する商品を、希望するだけ提供するにはどうしたらいいのかという問いに対する答えである
■事業システムのデザイントマネジメント
企業がすべての業務を内包化する時代はおわり、優れたパートナーと業務を分業する時代になっている
商品ごとにアライアンスを設ける、水平分散、サプライ・チェーンごとに、アライアンスをもうける垂直分散
製造委託(EMS)
開発委託(デザインハウス)
開発・製造委託(ODM,OEM)
これらの問題は、 make-or-buy と呼ばれる
いわゆる、内製化するのか、それとも外注化するのか、を選択する意思決定である
もくじ
はじめに
序章 MOT(Management of Technology)とは
第1部 MOTにおける価値創造と価値獲得
第1章 MOTの役割と視点
第2章 組織能力の役割
第3章 製品アーキテクチャ
第2部 コア技術戦略とイノベーション
第4章 コア技術戦略
第5章 プラットフォーム戦略
第6章 イノベーションの理論と本質
第3部 組織構造とマネジメント
第7章 組織構造のデザイン
第8章 組織プロセスのマネジメント
第9章 プロジェクト知識のマネジメント
第4部 事業システムと顧客価値創造
第10章 顧客価値創造の事業システム
第11章 事業システムのデザインとマネジメント
第12章 企業間ネットワークとマネジメント
終章 付加価値創造のための組織能力構築に向けたMOTの実践
参考文献
索引
ISBN:9784532133214
判型:A5
ページ数:328ページ
定価:3000円(本体)
2006年09月22日1版1刷
2011年03月24日 9刷
Posted by ブクログ
4マスを使ったマトリクスで事象を説明することが多いので
概念として理解しやすく、事例も多いので
まさに入門の本としてうってつけ。
MOTの本であるが、エッセンスは製造業でなく三次産業でも
応用でき、個人的に下手なMBAの本よりも
ビジネスに活用できるものと思量。
Posted by ブクログ
MOT技術経営が果たすべき役割について、企業の実例を交えながら分かりやすい図を用いて書かれた良書。価値創造と価値獲得、顕在ニーズと潜在ニーズなど市場開発の考え方や、企業が成長していくためのコア技術戦略、プラットフォーム戦略など参考になるテーマが多かった。企業経営に携わる者はこれらの概念を理解しておく必要があると思う。
Posted by ブクログ
経営学に関しては全くの素人ですが、技術経営についてここまで分かりやすく体系的な説明をしてくれている本はなかなかないんじゃないかと思います。
参考書というよりは教科書に近く、分量も多いので一見とっつきづらいですが、説明に用いられる図表が分かりやすく、また具体事例が豊富なため意外なほど読みやすく、理解も深まります。
私の周りには「日本のメーカーはマーケティングが弱い、経営が弱い」と言う人も多いですが(実際をあまり知らない学生だからでしょうか?)、この本を見るとそうでもないように感じます。むしろ、トヨタやシャープ、キーエンス等、優れた経営戦略をとっている企業も多く、日本メーカーのポテンシャルを感じさせてくれました。
技術経営を勉強するという意味でも、日本の将来に希望を抱くという意味でも(笑)、エンジニアとして仕事に携わる人/携わっている人は読む価値ありの一冊だと思います。
Posted by ブクログ
これは大まかに知ってないとまずいなぁって内容満載。
ていうか修士論文はここからむちゃ引用してます。
MOT生必読。面白い。わかりやすい。ちょっと多い。
Posted by ブクログ
最近時々耳にするMOTのいい入門書なのだと思います。
シャープやトヨタの事例が何度か引き合いに出されて、技術や組織の戦略についての典型的な戦略が説明されています。アメリカと日本の企業の戦略の違いなどは、やや単純化しすぎな部分があるかもしれません。技術戦略に関する概念は一通り分かりやすく説明されているのではないでしょうか。驚きは少ないですが、手堅い感じの1冊です。
Posted by ブクログ
MOTの入門書.エンジニアの自分にはとても身近な話が多く,分かり易い.ここに書かれている事をベースに技術戦略や組織構築が行われていると実感した.
Posted by ブクログ
キーワードだけ
付加価値の創造と獲得
組織マネジメント
組織は戦略として
トヨタの生産、シャープの液晶、キーエンスの開発・営業体制
模倣では追いつけない
1〜Nのコア技術戦略(シャープ、3M)
すり合わせ(イノベーション)とモジュール、それぞれの社内と社外の関係(自動車・パソコン)
Posted by ブクログ
開始:20071112、終了:200711112
MOTの概念がよくまとまって説明されている良書だと思う。基本的にMOTとは、良いものを安く作るだけでは、儲からない事業環境の中、不確実性を前提とした上で、価値創造と価値獲得を実現するものである。要は価値創造しても価値獲得できなければ意味がない、ということである。つまり、いかに技術とビジネスモデルを結びつけるか、というところが鍵になる。MOTのキーワードは「コア技術」と「製品アーキテクチャ」である。また、コモディティ化の推進要因は、「モジュール化」「中間財の市場化」「顧客価値の頭打ち」である。コア技術戦略のポイントは、特定の技術分野に集中するが、そこからさまざまな商品を開発・導入することで、集中のリスクを分散させる。例として、3M、シャープの緊プロや液晶ビューカム、味の素のアミノ酸など。潜在ニーズに対して不確実性がある。イノベーションのSカーブのタイミングのよい意思決定を行うことが必要。組織としてはプロジェクトが重要。また、分業の体制として、軸(開発・設計、製造)がある。内部・外部(製造委託、EMS)、内部・内部(内製)、外部・内部(開発委託、デザインハウス)、外部・外部(開発製造委託、ODM、OEM)。いずれにしてもブレない経営がMOTの肝。今すぐに技術者の役に立つ立たないではなく、長期的に事業をどうみていくかの視点が養われる。
Posted by ブクログ
延岡先生のMOT研修を受けるために読んだが、分かりやすい内容で事業戦略を考えていくのに大変参考になった。企業のコアコンピタンスをいかに確立して付加価値を見出せるかの重要性を学んだ。ちなむに延岡先生の研修はとてもおもしろいものであった。