【感想・ネタバレ】文学少女対数学少女のレビュー

あらすじ

高校2年生の“文学少女”陸秋槎は自作の推理小説をきっかけに、孤高の天才“数学少女”韓采蘆と出逢う。彼女は作者の陸さえ予想だにしない真相を導き出して……“犯人当て”をめぐる論理の探求「連続体仮説」、数学史上最大の難問を小説化してしまう「フェルマー最後の事件」のほか、ふたりが出逢う様々な謎とともに新たな作中作が提示されていく全4篇の連作集。華文青春本格ミステリの新たなる傑作! 解説:麻耶雄嵩

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 推理小説を数学を用いて読み解いたり、数学を推理小説に置き換えて説明したりしていて、一見関係無さそうな数学と推理小説の類似性を感じられて面白かったです。

 私は推理小説を全然読んでいないので〈後期クイーン的問題〉やヴァン・ダイン等は分からないのですが、今作を通じて推理小説の自由さや難解さを垣間見た気がします。
 特に4話の犯人当てで、解答が複数存在すると宣言し、参加した人達が皆、違う答えに行き着いた処が推理小説の可能性を感じました。
 また、1話で陸秋槎と韓釆蘆が無矛盾性と完全性を話していながら、4話では解答が唯一では無いとする事でフェア・プレイを保っていたのも印象的です。無矛盾性と完全性が無くても成り立つのは、推理小説だからであり、現実の事件では無いからこそ可能な手法だと感じました。



 陸秋槎と韓釆蘆が推理小説と数学の話をしながら段々と仲良くなっていくのを見るのが楽しく、ずっと見ていたいと思ってしまいました。大学進学を期にこの2人や陳姝琳の関係がどう変わっていってしまうのか、少し不安に感じつつも変わらず仲良くしてほしいと思っています。

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2022年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

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 Das Wesen die Detektivgeschichte liegt gerade in ihrer Freiheit.


 青春百合小説に擬態しているものの、その実体は数学×ミステリ論を元に後期クイーン的問題を中心としたミステリの不自由さに真っ向から挑んだ論文的作品。うわぁなんだこれ!
 不完全で不自由で自由なその論点は、確かに青春の証明不可能性と通じるところがあるのかもしれない。


 数学は基礎の基礎で逃げ出した自分にも、その仕組みは理解できるくらいにそれぞれの数学的要素が語られているのが凄い。数学愛もミステリ愛もなきゃできないなぁ。
 数学者というか数学愛好家というのも、そこらのミステリマニアと一緒で、数学というものの不完全さが愛おしくて数学とずぶずぶなんだろうなぁ、って。
 クラシカルなゲームを縛りプレイしてずっと楽しんでいる感じが、いちばん近いのかもしれないとか、失礼なことを思っている。

 真犯人が追い詰められると自白するのも、その精神からきてるのかもしれない。


 推理小説の本質はその自由にある、
 und Die Anziehungskraft die liegt gerade in ihrer Beschrankung.

 自縄自縛、ということばがよく似合う。だから好きなのかな? ☆3.8

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2021年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作中作での犯人当てをテーマにした本。
作中作での話のはずが現実でも事件が起こったりする。中国の小説で新鮮でした。面白かったです

数学の話も普通に面白かった

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SL 2022.2.2-2022.2.4
華文青春本格ミステリ

本格ミステリ
日本の作家へのオマージュ
百合要素
どれも知らないまま読んだけど、知らないままのほうが楽しめたかな。
キャラクタも作中作も面白かった。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 するする読めたし、面白かった。ただし、連作短編として読むならば、個人的な好みからは外れる作品だった。
 毎回作中作を題材に、様々な観点から推理方法を議論したり、解釈してみたりする様子は、読んでいて刺激を受けた。同じ題材で、こうも多様な謎解きができるんだなぁ、と思った。それのみならず、ミステリというジャンルに対して、どの話も違う角度から、かなり挑戦的な作品だったように思う。そこが非常に面白い点でもあったものの、結果として、斬新なアプローチを提示したにとどまっているように感じることがなくもない。つまり、きちんと「落ちた」と感じる話は少なく(=物語として不完全な感じがする)、あまつさえ犯人を提示しない話もある(=ミステリとして不完全な感じがする)。
 また、ガール・ミーツ・ガールものとしても、趣味には合わなかった。確かにお互いに大事に思っている描写はあるものの、それがほとんど発展することはない。連作短編には、それぞれ独立した話ではありつつも、一本の太いストーリーが、或いは主軸となる人物の関係性が進展していくことを期待して読む場合が多いが、本書はそうした期待には応えてくれなかった。ガール・ミーツ・ガールとしてではなく、また純粋な短編集として、推理小説を好む人が読むのなら、かなり楽しめた作品であったと思う。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「元年春之祭」が日本でもヒットした華文ミステリー作家 陸秋槎の短編集。
陸秋槎と同名の女子高生がワトスン役。同級生で数学の天才 韓采盧がホームズ役といったところか。
ただこの短編集の変なところは、各短編に作中作となる短編推理小説があり、その犯人探しと実際の作中人物の抱える問題の回答を推理するという事と、各短編が推理小説の抱える構造的な問題(解説で後期クイーン論として紹介されていたりしますが)をテーマにしたアンチ・ミステリーの形をとっている事、そしてそれらが数学の理論や歴史を絡めた内容になっていて、さらにそこにホームズ役とワトスン役が女子高生でちょっと百合要素も入っている、、、などなどの多くの設定、枠組みが重ね合わされている点。
個人的にはアンチ・ミステリーはミステリー好きには受けるかもしれないが、ミステリー初心者には「なにこれ?」となることが多いと思われ、小説の結末はアンチ・ミステリーらしい、つまりノーマルなミステリーとしては必ずしも犯人がわかって読者が爽快感を得られるというのとはほど遠いところにいるので、果たして受けるのだろうか?と心配になってしまう。
それでも重版されているというから受けているのでしょう。
まぁ個人的にはそれほど好きではないです。

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2021年01月24日

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