【感想・ネタバレ】クローゼット(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

十八世紀のコルセットやレース、バレンシアガのコートにディオールのドレスまで、約一万点が眠る服飾美術館。ここの洋服補修士の纏子は、幼い頃の事件で男性恐怖症を抱えている。一方、デパート店員の芳も、男だけど女性服が好きというだけで傷ついた過去があった。デパートでの展示を機に出会った纏子と芳。でも二人を繫ぐ糸は遠い記憶の中にもあって……。洋服と、心の傷みに寄り添う物語。(対談・筒井直子、解説・谷崎由依)

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Posted by ブクログ

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そこで終わるのか!ってなるけどそこで終わるのが正解な感じ。とにかく言葉が綺麗だし、専門用語が出ると知識を得た気になる。ブルーピリオドのなんでも持ってるやつが美術に来るなよみたいな高木が良かった。読んでる途中で芳はなんでも似合うだろうからいいなあと思ったので……図星というか……

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きなものと真摯に向き合い、好きを極めている人達が描かれた作品だった。表現がとても美しく、好きなことにのめり込んでいる登場人物達がどこか羨ましいと感じた。
男性の体を持ちながら女性の服を身につけたい芳と男性が怖くて息苦しさを感じる纏子。どちらも性別という違いに囚われ、悩み、苦しみながら自分と向き合っていた。
私がのめり込める好きなもの何か?私が今悩んでいる自分の性のあり方はどこにあるのか?自分と向き合う時間をくれた。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

洋服補修士の仕事内容が、ただ直すだけではなく当時の姿を再現することにあるというのが興味深かった。服の歴史や美術品としての説明がところどころに出てきて、千早茜さんらしい五感に訴えてくるような表現力のおかげでこの美術館が本当にあって行けたらいいのに、と思った。
晶さんの台詞の多くに納得感があって、特に「あなたの身体に触れていいのはあなたが選んだものだけ」という台詞がとても好き。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

服飾美術館に勤める補修士の纏子と、そこにアルバイト(ボランティア)に来るようになった芳の話。二人に接点はないように見えたが、幼いころに芳は纏子に助けてもらったことがあり……という内容。
纏子の男性恐怖症のトラウマが芳とのやりとりで少しずつほぐれていくのはよかったなと思う。そこに服が絡まってくるのもよかった。ただ、最後に倉庫に閉じ込められるのと、そこから自分を加害した男が判明するところの流れが性急なようにも感じた。
既読している千早茜の二作の方が面白かったかな。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まるで読む美術館。洋服を通して、その時代と、生きた人々の価値観を知るのが面白い。好きな服を着ればいい、と言っても服と他人の視線は切り離せないものだと思う。

「気に入った服を長く着続けたかったらどうする?人との関係だって同じさ」印象的な言葉だった。

ガラスの靴は物理的に不可能だという話が興味深かったけれど、冒頭に戻ってみれば「クローゼットから一歩でると、現実の自分がいて、ガラスの靴は粉々になった」とあって、繋がりに気付いた。童話のなかのお姫様に憧れても、理想と現実は違う。けれど、理想に近付くために人は努力する。綺麗なドレスを着るために、身体の形を変える。そうやってお洒落をする人は、童話のなかのお姫様よりも気高く美しいと思う。服に染みついた人の姿が、愛おしいと思った。

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2025年04月21日

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