【感想・ネタバレ】隣のずこずこ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」二足歩行の巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む〈権三郎狸〉の伝説は、古くからこの地に語り継がれている。あれはただの昔話ではなかったのか。中学3年生の住谷はじめは、戸惑いながらも抗おうとするが――。恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!(解説・森見登美彦)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あらすじの「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」という、軽い言い方と、言ってることの差に心惹かれた。
田舎の村に突如現れた村を焼き、村人を呑み込むという伝説の権三郎狸。
一ヶ月というタイムリミットの中で村人にどのような変化が起こるのかということがリアルに描かれていて、表紙やタイトルからは想像できないほど生々しいお話だった。
権三郎狸についてや、その他気になる場面が完全に解決されずに終わるのも、タイムリミットを感じさせる、余白、余韻としてとても好きだった。

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そうか、こういうの、ファンタジーか。
妖怪話だけど、海外から見ればファンタジーなんだな。
でも帯に書いてる「ディストピア・ファンタジー」は嘘だろ。どこがディストピアやねん。

そして、フシギ系ファンタジーではなく、どちらかと言うとかなりのホラーだった。
グロいとかびっくりとかそういうのではなく、淡々と静かに、存在について考えてしまう怖さ。和風ホラーですねぇ。

そして、色々な点が説明ない系でもあるが、これこそまさに昔話というか民話というか、とにかく良い。

本屋で衝動買いして、帰りのマクドで1時間ほどで一気に読み終わってしまった。

姉がいなくなるときも怖いが、主人公が姉を襲った相手を角材3本が折れるまでボコボコにするのが一番怖かったかもしれない。一番怖いのは人間なんですねぇ。

いや、それは言い過ぎか。やはり姉の存在を少しずつ忘れていってしまうという表現がじわじわと、怖かった。

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2020年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「私たち丸呑みにされちゃうらしいよ」「そっか、じゃあ宿題やっても意味ないか」とズレた倫理観のままふわふわと話が進んでいくかと思うと、起承転結の転のところで急に「なんで大人しく受けいれてるんだ私は、変えられないと思うものでも変えてしまえばいいんだ!」と思い、「じゃあ殺すか」と極端な破壊行動に飛びつくあたり情緒が安定してなさすぎる。
かと思うと、結局やる気になったからといってなにが変わることもなく、逆に諦めとか受け入れとかそういう負の方向の劇的な変化もなく、すっと幕が引かれていく。
読み終わっても権三郎狸という不気味な存在があまり不気味に感じられないという不気味さがあっていいなと思う。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あと一か月で村ごと死ぬことが決まった人々は・・・
というお話。
設定からしてものすごく暴力的ですが、どこかコミカル、ときどきファンタジック、全体を覆うホラーなカンジが面白かったです。


ズバっとネタバレしてるわけではないんですが、死ぬこととか生きることとかについて、人様におしらせするようなものでもない気がするけど、この本を読んで考えてしまったので書いてしまいます。
あ、でもやっぱネタバレしてますね。あはは。
なので、この先はうっかり読んでしまわれませんように、どうぞ。


信楽焼の狸にそっくりなバケモノと綺麗な女の人がやってきて、一か月後に村全体を丸呑みにするという。
その時点で村にいた人は全員対象になるという。
逃れることはできないという。
呑まれるときは痛くないし、かかわった人々の記憶からも消されるという。

このルールを知った時点で考えたことは「なにそれ、ステキ」でした。
そんな風に生きることをやめられるならラッキーだと。
痛くないし、悲しませることもなく、迷惑もかけない。

お話の中の人々はそんな風に考えているわけじゃないけど、多くが「あららー、マジかー」「来ちゃったかー」くらいの衝撃しか受けてない。まずそこに違和感。
あと一ヶ月で死ぬのだから学校も行かないし、もちろん宿題も提出しないし、蓄財もバーベキューで使ってしまうし、やってはいけないとわかっていることもやる。これには理解。

主人公も最初そんな感じなのですが、ある転機によって記憶を失いたくないと思い、生き延びようと決意する。
しかし、「覚えている」ために生き延びるって何なんでしょう。「ちゃんと覚えていればなかったことにならない」って何なんでしょう。
疎かにしていいこととは思っていないけど、それが生き延びる理由になるのか?わたしにとってはそんなの生きる理由になり得ない。
といってじゃぁオマエの生きる意味はなんなのだと問われれば「死なないからだ」と答えるしかない。
死なない以上生き続けるわけで、生きるのなら少しでも快適に生きたいから、仕事してお金も稼ぐし、愛想笑いもすれば、他人に親切にすることもあるし、自分の意見を通すためにケンカもするのだ。

まぁ、同調はできないが「そういうのもあるかな」と呑み込めたことと、全体的に飄々とした感じがツボだったので、面白かった。

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。

「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのような置物として定着しているようなそんな少しの恐怖と妄想が湧きます笑
見せ場という最大の盛り上がりは微妙でした…。

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2021年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初から最後の方までマジであっという間でこんなに私衝撃があって内容忘れられないのはこの本くらいかもしれないくらい。
ただ終わり方があっけなくてえ、、、こういう結末???まーじ???ってなってめっちゃよかった!!とはいえなかったかな、、、世界観が頭の中でどんどん作り出されていく感じはすごく好きだった。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1ヶ月後に隕石が落ちて地球滅亡でもなく、病気で余命1ヶ月でもなく、狸に呑み込まれ村が焼かれるまで1ヶ月。言い伝えがあるにしても素直に受け入れすぎなのが奇妙。呪いのせいでもなく、そこが選ばれる理由もわからないのに…。主人公の場合は姉を忘れないために積極的に動くが、単なるパニックものでないところが面白い。映像化できそうだけど、リアルに信楽焼の狸出てきたら怖いからアニメが良い。

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2021年07月12日

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