【感想・ネタバレ】隣のずこずこ(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

2、3回読んだけど何度読んでも面白い。終わりに向かって、村人それぞれがいろんなふうに壊れていくのが面白い。終わり方が、そんなにハッピーじゃないのもいい。

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2024年03月10日

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引き込まれる設定と巧みな文体に魅了されてぐんぐん読み進めてしまった。面白い。
権三郎狸の出現によって、破滅の運命から逃れようとする人、抗おうとする人、受け入れる人、ベクトルは違えど着実に変化していく村の人々と、それでもどこかに漂う日常の雰囲気の間にギャップがあり、それによって物語がより一層深みを増している。「全てを諦めきった人が醸し出す静かな絶望」という感じ。それを中学三年生の少女の目線から描ききった作者の発想力、観察力、表現力は素晴らしいと思う。新潮文庫の解説は森見登美彦氏だが、森見の作品が好きな人には特におすすめです。

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2023年02月12日

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物語の端々で、想像が膨らむ。
「この後って、」「この言葉って…」と読む人によって色んなお話が出来上がりそうです。
終わりに向けて、どんどん加速していくお話でした。

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2021年02月06日

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本作の読みどころは、日常では「悪」と見做される行為が、日常が崩壊したそばから仕切りを失って主人公の行為に雪崩れ込んでくるところにあると私は感じた。淡々としているところが、逆に凄まじい。だから、主人公と一緒に、自分の倫理観も麻痺していく。報復、暴行、火付、殺人。つくづく、「善行」なんてものは、極めて条件付きの世界でしか航行できないやわな船なんだと思わされる。
ファンタジーノベル大賞は、私の中ではまだ信頼できる賞モノのひとつ。酒見賢一氏しかり、森見登美彦氏しかり。今回もいい感じ。読み手に媚びてない作品は、よい。含みの多さも大いに歓迎できる。地名の消滅、自治体の消滅、死の遠さ、余命宣告を受けた後の生、などなど。掘り下げポイントがさらーっと詰め込まれている。しかも、そういうのを気にしなくても、登美彦氏が言うように十分、読み応えがある作品。
ただ、帯に「ディストピア・ファンタジー」ってあったけど、ディストピア?なのか??そこは何とも言えない。

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2020年12月31日

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ネタバレ

そうか、こういうの、ファンタジーか。
妖怪話だけど、海外から見ればファンタジーなんだな。
でも帯に書いてる「ディストピア・ファンタジー」は嘘だろ。どこがディストピアやねん。

そして、フシギ系ファンタジーではなく、どちらかと言うとかなりのホラーだった。
グロいとかびっくりとかそういうのではなく、淡々と静かに、存在について考えてしまう怖さ。和風ホラーですねぇ。

そして、色々な点が説明ない系でもあるが、これこそまさに昔話というか民話というか、とにかく良い。

本屋で衝動買いして、帰りのマクドで1時間ほどで一気に読み終わってしまった。

姉がいなくなるときも怖いが、主人公が姉を襲った相手を角材3本が折れるまでボコボコにするのが一番怖かったかもしれない。一番怖いのは人間なんですねぇ。

いや、それは言い過ぎか。やはり姉の存在を少しずつ忘れていってしまうという表現がじわじわと、怖かった。

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2020年12月21日

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気の強い斜に構えた女子中学生が主人公の1人称。世界の終わりが見えたとき街の人々はどうするか。どこか粘膜人間を思わせるストーリーだった。

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2023年09月16日

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皆が滅びを受け入れて「せめて死ぬ前に楽しもう」と緩やかに狂ってゆく様子が不気味だった。
昔話を聞いてしまうと受け入れるしかなくなるのは、希望なのか絶望なのか……。
たぬきは可愛かったです。

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2023年07月31日

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祖父から聞いていた、「権三郎狸」の話では、美しい女が巨大な狸を村につれてきて、村の人々を次々と丸呑みにし、誰もいなくなった村に火を放ち、何もかも焼き尽くすのだという。5月はじめの連休、はじめは友達の綾子からの電話にあわてて駆けつけた。権三郎狸が現れたという。信楽焼の狸の置物のような狸を連れた女性あかりによると、5月30日に村の人達を飲むことが決まっているという…。

おそらく新人の作家で、ネット感覚の言語感のため、非常にスピード感のある文章である。時々主語が飛んだり、てにをはが抜けたりするも、それほど読みにくいと感じない。

ほのぼのアニメの原作のような話かいなと読み始め、途中までは「あ、私達、飲まれるんだ」とのんびり進むかと思いきや、案の定、人々のいろいろな反応に振り回され始める作品である。アニメ化されるようなテーマではあるが、中盤に結構エゲツない物があったりもするので、ちょっとどうだろうか。

我々の世代において、第一印象というか、全体の印象は、筒井康隆『死に方』の長編リメイクという感がある。もちろんあちらとは違い、権三郎狸は期日になるまでのんびりと過ごしているが、何もなかったように振る舞う人、おかしくなる人、無駄だと言われて逃げ惑う人など、いろいろな反応がある部分は、筒井康隆の作風を思い起こさせる。

日常的な終末ファンタジーという、なかなか面白いテーマで、読みやすさもあるため、各世代におすすめの作品であろう。

ただ、男性作家で最初の書き出しから、はじめが男の子だと錯覚してしまったことと、宮崎アニメのような中途半端なタイトルに改題してしまったこと(原題は違ったらしい)で星一つマイナス。

解説が狸つながりで森見登美彦ですか。なるほどね。

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2023年03月30日

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まずはタイトルのインパクトで手に取ったんだけど、少し読んでみて、なるほどのほほんとした感じの少し不思議なSFだろうなーと。

読み進めてみたらもっとディープで破天荒な藤子不二雄テイストのファンタジーだったと。気持ちよく騙されたなー。

暗く陰鬱な雰囲気が漂いがちな閉塞的な村話だし、暴力的なシーンもあるのに何故かあっけらかんと明るい。ある種バッドエンドなのに微笑ましい。

受け入れ難い現実をまぁいっかと諦観で受け止める人たちを見てるから、読んでる方もまぁこんな終わり方でもいっか、ってなるのかしらん。

ボリューム感も程よくキレイな作品だった。

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2022年12月22日

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面白かった。
残り1ヶ月と分かってする行動は人それぞれだなと思った。私なら何をするかな。
信楽焼の狸について何も知ら無かったことに気づいた。

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2022年07月26日

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面白かった。賭け値なしに面白い!舞台と設定をこれでもかというくらいに綺麗に進行した作品。登場人物にはあまり魅力を感じなかったが、システムの消費がずば抜けて凄かった。終盤で一気に物語を加速させる様には鳥肌が立った。又、主人公の独白や情景描写も良かった。漠然と良かったとしか言えないが、あまり想像力のない僕も世界観に上手くのめり込めることが出来たのだからとても素晴らしかったのだろう。ただ、後半の加速分、少しだけ前半が退屈だった。登場人物を魅力的に思えればそうではないのかもしれないが。何にせよ、良い作品だった。

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2022年06月02日

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 いやあ凄いものを読んだなあと。活き活きと細部が描かれ、生活の匂いが行間から香り立ちそうなほど艶めかしいのに、ちょっと離れて全体を眺めようとすると、薄ぼんやりとした霞に包まれてしまう感じ。なんとも不思議な読後感。分かるけど分からない。分からないのに分かる。明晰夢な白昼夢を見ていた気分。
 うまく言葉で感想をまとめることが出来ないけど、この作品を長編としてまとめ上げた手腕の見事さに舌を巻く。くどくどと長ったらしい感じを微塵も感じさせず、読後感は短編を読んだ時のそれに近い。
 おそらく、これを映像化するのは大して難しくはないと思う。ラストだけCGでちょいちょいとやればいける。ただ、この作品の根幹とも言うべき空気感は、たぶん映像化できないと思う。まさに、小説という形態だから出来た表現。なんとも言えない居心地の悪さというか、仙台弁で言うところの「いづい」感じ。

 いやあ凄いもの読んだわ。

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2021年09月03日

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不思議なお話。まさにファンタジー!?
唐突に始まり、唐突に終わる。
何このエンディング!?
面白かったんだけど、話は全然終わらない。
この後、どうなるの?これから先どうなるの?

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2021年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あと一か月で村ごと死ぬことが決まった人々は・・・
というお話。
設定からしてものすごく暴力的ですが、どこかコミカル、ときどきファンタジック、全体を覆うホラーなカンジが面白かったです。


ズバっとネタバレしてるわけではないんですが、死ぬこととか生きることとかについて、人様におしらせするようなものでもない気がするけど、この本を読んで考えてしまったので書いてしまいます。
あ、でもやっぱネタバレしてますね。あはは。
なので、この先はうっかり読んでしまわれませんように、どうぞ。


信楽焼の狸にそっくりなバケモノと綺麗な女の人がやってきて、一か月後に村全体を丸呑みにするという。
その時点で村にいた人は全員対象になるという。
逃れることはできないという。
呑まれるときは痛くないし、かかわった人々の記憶からも消されるという。

このルールを知った時点で考えたことは「なにそれ、ステキ」でした。
そんな風に生きることをやめられるならラッキーだと。
痛くないし、悲しませることもなく、迷惑もかけない。

お話の中の人々はそんな風に考えているわけじゃないけど、多くが「あららー、マジかー」「来ちゃったかー」くらいの衝撃しか受けてない。まずそこに違和感。
あと一ヶ月で死ぬのだから学校も行かないし、もちろん宿題も提出しないし、蓄財もバーベキューで使ってしまうし、やってはいけないとわかっていることもやる。これには理解。

主人公も最初そんな感じなのですが、ある転機によって記憶を失いたくないと思い、生き延びようと決意する。
しかし、「覚えている」ために生き延びるって何なんでしょう。「ちゃんと覚えていればなかったことにならない」って何なんでしょう。
疎かにしていいこととは思っていないけど、それが生き延びる理由になるのか?わたしにとってはそんなの生きる理由になり得ない。
といってじゃぁオマエの生きる意味はなんなのだと問われれば「死なないからだ」と答えるしかない。
死なない以上生き続けるわけで、生きるのなら少しでも快適に生きたいから、仕事してお金も稼ぐし、愛想笑いもすれば、他人に親切にすることもあるし、自分の意見を通すためにケンカもするのだ。

まぁ、同調はできないが「そういうのもあるかな」と呑み込めたことと、全体的に飄々とした感じがツボだったので、面白かった。

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正体不明という怖さ。

中学2年生の女の子「住谷はじめ」の住む村には、権三郎狸の伝承がある。村に器量の良い娘がやってきて、村にたくさんお金をあげる代わりに自分をしばらく村に置いてくれと頼む。娘は農作業を手伝い、祭りのときには舞を舞い、村に馴染んだ頃、突然いなくなる。娘が去った後に、権三郎狸がやってきて、村人を丸呑みにし、村を焼き払って滅ぼすと言う、恐ろしい伝承である。

「はじめ」の村に、権三郎狸を連れた「あかり」と名乗る美人が訪れる。そして、村人たちに1ヵ月後に村が滅びるという不吉な予言を残す。「あかり」が村を訪れた5月1日時点に村にいた人間は全員、逃れる術はなく、村から逃げても時間稼ぎにしかならないと言う。この時の「あかり」の予言が訳が分からない上に理不尽すぎてかなり怖い。
権三郎狸と「あかり」は正体不明、目的も不明。ただ分かっているのは、1ヶ月後に村が滅びることだけ。
この事件を機に、村人たちの様子がおかしくなってくる。毎日高い肉を取り寄せては病的な様子で焼肉を食べ続ける家族、外国に逃げようとする家族、挙動がおかしくなる教師、畑泥棒する中学生、好きな娘を強姦してまで思いを遂げようとする者。

村人達が現実逃避する中、「はじめ」と友人の「恵美」だけは運命に逆らうべく権三郎狸に立ち向かおうとするのだが、その行動もどこか狂気じみている。権三郎狸と「あかり」の目的も正体も不明の中、淡々と物語が進められていくのがホラーである。
オチもゾッとするのだが、「わけのわからないもの」と言うのは、本当に怖いものだ。
他の方のブログで、「権三郎狸は過疎化の象徴では」と考察しておられたが、なるほどそういう見方もありそうだ。

最後まで謎だったのが、国外に逃亡した森田のその後。今後、どうやって権三郎狸は森田を追撃するのだろう。それから、狸に呑まれた者の存在は皆から忘れ去られるルールらしいのだが、「はじめ」の祖父はなぜ忘れ去られずにいたのだろうか。「はじめ」の祖父が住んでいたのは「矢木原」と「栄枝」のどちらか? また、権三郎狸は14歳以下の者を1人だけ村から連れ出すことも出来るらしいのだが、この辺りは本当にモヤモヤするので、説明があれば嬉しかった。

伝承では、村から女の子を1人連れて行ったそうだが、その子が「あかり」だったのだろうか。

色々想像が尽きず、正体不明の怖さが最後までつきまとう良作だった。

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2021年05月31日

Posted by ブクログ

女子中学生が主人公で文体は軽い印象だが、舞台は陸の孤島というべき山村、独自の民話にまつわる事件と、じんわり怖さが増してくる。解説の森見登美彦による読み解きも面白い。

札幌弘栄堂書店にて手書きポップ付きで平積みされていた。出版社の販促ではなく、書店オリジナルのプッシュは読書心をくすぐる。書店員が実際に読んで惚れ込んでおススメしているのがわかるから。結果、大正解。

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2021年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あっさりと読めるが、記憶に残る作品。祖父から聞かされた昔話が導入で示されるが、それがリアルです。

「あとひと月で死ぬ」そう予告された村人が死を受け入れている様子が、リアリティに欠けると思いますが、村外出身の人達の取り乱す描写が、主人公が抱いた感想に通じるこの村の異質性、そして村と外の世界が違うということを表現しているような気がしました。
特にあちこちに信楽焼のたぬき置物が隣町には置いてある描写。「逃げられない」というのは、この信楽焼たぬきの置物が監視しているから?何故これを置くんだという主人公の指摘に、はっとした。もしかしたら、他の世界には、私たちが伝承で恐れている化け物、妖がマスコットのような置物として定着しているようなそんな少しの恐怖と妄想が湧きます笑
見せ場という最大の盛り上がりは微妙でした…。

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2021年03月03日

Posted by ブクログ

理不尽かつ不可避に村を消滅させる存在と、それによって運命を狂わされていく人々のお話。そもそもが理不尽なので、救いも解決もない。緩やかな極限におかれた中で、どう受け入れ、どう立ち向かうのかそんなお話でした。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

とても面白かった。そして、じわっと背筋が凍る。さらっと読んでも面白いのだが、そこかしこにイニュエンドゥな示唆に富んでいて、色々と思考をほじくられまくる。読み手の好きな深度で読める感じか。設定が絶妙。本文中に語られない部分がまた、読みながら自動でいくつものパターンを想像していってしまう。のんびりとしたアポカリプトノベル、大変ビジュアル的でバイオレンスシーンもあるのに、何故か若年層にもレコマンドしてしまいそうな一冊。刺さる言葉も多い。

>「自治会長のとこにも、真岡先生のとこにも芳須先生のとこにも行ったけど、でも言うことは一緒。そういうもんやから諦めなさいって。昔からこの村に伝わってることやからよそもんの君にはわからんやろうしまあ大変やろうけど、この村はそうなるもんやと決まってたんや、やって」
マインドコントロールの怖さというか、ある意味洗脳のような感じで、思考停止の恐ろしさをつくづくと考える。

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2020年12月17日

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話の面白さなのか、文章のせいか相当に引き込まれます。この先どうなるんだ?と。
ただ、内容と結末は結構エグいかな。
小説を深読みする人には、楽しめるんでしょう。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初から最後の方までマジであっという間でこんなに私衝撃があって内容忘れられないのはこの本くらいかもしれないくらい。
ただ終わり方があっけなくてえ、、、こういう結末???まーじ???ってなってめっちゃよかった!!とはいえなかったかな、、、世界観が頭の中でどんどん作り出されていく感じはすごく好きだった。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1ヶ月後に隕石が落ちて地球滅亡でもなく、病気で余命1ヶ月でもなく、狸に呑み込まれ村が焼かれるまで1ヶ月。言い伝えがあるにしても素直に受け入れすぎなのが奇妙。呪いのせいでもなく、そこが選ばれる理由もわからないのに…。主人公の場合は姉を忘れないために積極的に動くが、単なるパニックものでないところが面白い。映像化できそうだけど、リアルに信楽焼の狸出てきたら怖いからアニメが良い。

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2021年07月12日

Posted by ブクログ

狸だし、森見さんが推してるし…と帯で購入。
最初は面白かったけどオチは…という気持ち。

狸に町が飲み込まれるという割に町の人が「そうなんだ」と諦めるのが早い辺りがナントモ。今どきの世相なんだろうか?と思ったり。そして、納得した後でそれもどうなの?と思ったり。理不尽な事を理不尽なままに受け入れて、受け入れられない人間が行動すると深みにはまる。なんだろう。軽い小説なんだけれども考えてみると結構テーマが重いなぁ。

信楽焼の狸が火を吐くってスゲーぐらいの感覚で読んだ方が良いのかもしれない。うん。

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2020年12月24日

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