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「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」二足歩行の巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む〈権三郎狸〉の伝説は、古くからこの地に語り継がれている。あれはただの昔話ではなかったのか。中学3年生の住谷はじめは、戸惑いながらも抗おうとするが――。恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!(解説・森見登美彦)
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Posted by ブクログ
2、3回読んだけど何度読んでも面白い。終わりに向かって、村人それぞれがいろんなふうに壊れていくのが面白い。終わり方が、そんなにハッピーじゃないのもいい。
森見登美彦さんが審査員の、日本ファンタジーノベル大賞受賞、そしてたぬきのお話、とくれば、完全に『有頂天家族』的ワールドを想像してしまうというもの。 社内ベスト本に応募した推薦文より。 とある田舎町に信楽焼たぬきがやってきた。 ほんわかファンタジー小説かと思いきや、バイオレンス炸裂! 人を丸呑みって...続きを読む…この狸、ちょっとエグくない!? ホラー的展開がおもしろすぎて一気読みしました!
引き込まれる設定と巧みな文体に魅了されてぐんぐん読み進めてしまった。面白い。 権三郎狸の出現によって、破滅の運命から逃れようとする人、抗おうとする人、受け入れる人、ベクトルは違えど着実に変化していく村の人々と、それでもどこかに漂う日常の雰囲気の間にギャップがあり、それによって物語がより一層深みを増し...続きを読むている。「全てを諦めきった人が醸し出す静かな絶望」という感じ。それを中学三年生の少女の目線から描ききった作者の発想力、観察力、表現力は素晴らしいと思う。新潮文庫の解説は森見登美彦氏だが、森見の作品が好きな人には特におすすめです。
物語の端々で、想像が膨らむ。 「この後って、」「この言葉って…」と読む人によって色んなお話が出来上がりそうです。 終わりに向けて、どんどん加速していくお話でした。
本作の読みどころは、日常では「悪」と見做される行為が、日常が崩壊したそばから仕切りを失って主人公の行為に雪崩れ込んでくるところにあると私は感じた。淡々としているところが、逆に凄まじい。だから、主人公と一緒に、自分の倫理観も麻痺していく。報復、暴行、火付、殺人。つくづく、「善行」なんてものは、極めて条...続きを読む件付きの世界でしか航行できないやわな船なんだと思わされる。 ファンタジーノベル大賞は、私の中ではまだ信頼できる賞モノのひとつ。酒見賢一氏しかり、森見登美彦氏しかり。今回もいい感じ。読み手に媚びてない作品は、よい。含みの多さも大いに歓迎できる。地名の消滅、自治体の消滅、死の遠さ、余命宣告を受けた後の生、などなど。掘り下げポイントがさらーっと詰め込まれている。しかも、そういうのを気にしなくても、登美彦氏が言うように十分、読み応えがある作品。 ただ、帯に「ディストピア・ファンタジー」ってあったけど、ディストピア?なのか??そこは何とも言えない。
気の強い斜に構えた女子中学生が主人公の1人称。世界の終わりが見えたとき街の人々はどうするか。どこか粘膜人間を思わせるストーリーだった。
皆が滅びを受け入れて「せめて死ぬ前に楽しもう」と緩やかに狂ってゆく様子が不気味だった。 昔話を聞いてしまうと受け入れるしかなくなるのは、希望なのか絶望なのか……。 たぬきは可愛かったです。
祖父から聞いていた、「権三郎狸」の話では、美しい女が巨大な狸を村につれてきて、村の人々を次々と丸呑みにし、誰もいなくなった村に火を放ち、何もかも焼き尽くすのだという。5月はじめの連休、はじめは友達の綾子からの電話にあわてて駆けつけた。権三郎狸が現れたという。信楽焼の狸の置物のような狸を連れた女性あか...続きを読むりによると、5月30日に村の人達を飲むことが決まっているという…。 おそらく新人の作家で、ネット感覚の言語感のため、非常にスピード感のある文章である。時々主語が飛んだり、てにをはが抜けたりするも、それほど読みにくいと感じない。 ほのぼのアニメの原作のような話かいなと読み始め、途中までは「あ、私達、飲まれるんだ」とのんびり進むかと思いきや、案の定、人々のいろいろな反応に振り回され始める作品である。アニメ化されるようなテーマではあるが、中盤に結構エゲツない物があったりもするので、ちょっとどうだろうか。 我々の世代において、第一印象というか、全体の印象は、筒井康隆『死に方』の長編リメイクという感がある。もちろんあちらとは違い、権三郎狸は期日になるまでのんびりと過ごしているが、何もなかったように振る舞う人、おかしくなる人、無駄だと言われて逃げ惑う人など、いろいろな反応がある部分は、筒井康隆の作風を思い起こさせる。 日常的な終末ファンタジーという、なかなか面白いテーマで、読みやすさもあるため、各世代におすすめの作品であろう。 ただ、男性作家で最初の書き出しから、はじめが男の子だと錯覚してしまったことと、宮崎アニメのような中途半端なタイトルに改題してしまったこと(原題は違ったらしい)で星一つマイナス。 解説が狸つながりで森見登美彦ですか。なるほどね。
まずはタイトルのインパクトで手に取ったんだけど、少し読んでみて、なるほどのほほんとした感じの少し不思議なSFだろうなーと。 読み進めてみたらもっとディープで破天荒な藤子不二雄テイストのファンタジーだったと。気持ちよく騙されたなー。 暗く陰鬱な雰囲気が漂いがちな閉塞的な村話だし、暴力的なシーンもあ...続きを読むるのに何故かあっけらかんと明るい。ある種バッドエンドなのに微笑ましい。 受け入れ難い現実をまぁいっかと諦観で受け止める人たちを見てるから、読んでる方もまぁこんな終わり方でもいっか、ってなるのかしらん。 ボリューム感も程よくキレイな作品だった。
面白かった。 残り1ヶ月と分かってする行動は人それぞれだなと思った。私なら何をするかな。 信楽焼の狸について何も知ら無かったことに気づいた。
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