【感想・ネタバレ】マネジメントの文明史 ピラミッド建設からGAFAまでのレビュー

あらすじ

本書は古代エジプトの「第I部:会社以前」から「第II部:大航海時代と会社の誕生」「第III部:英国――産業革命の成立・発展・衰退」「第IV部:ドイツ――大企業と重工業の誕生」「第V部:米国――マネジメントと経営者の創出」そして現代の「第VI部:個人によるイノベーションと非営利組織の時代」という順番で進んでいきます。

第I部では古代エジプトのピラミッド建設から説き起こし、アテネやスパルタといった都市国家群、ハンザ同盟、十字軍を経てルネサンス期の商業都市ヴェネツィアに到着します。

第II部はなぜか2012年のロンドン五輪のエピソードから始まります。コロンブス、マゼラン、東インド会社を経て会社の誕生の軌跡を追い、辺鄙な英国がインドに植民地を築いた謎を解き明かします。

第III部の舞台は英国。なぜこの地で産業革命が成立したのか、成功したはずなのにドイツやアメリカと違って後世に生き残った会社はなぜないのかを解説します。英国は金融に向かっていったのですが、それは植民地と大きく関係しています。 第IV部では、そんなイギリスを凌駕し大企業と重工業を生み出したドイツに迫ります。同族企業が多く、本社は分散し、多くの巨大科学工業の発祥は染料工場であるなど意外な素顔が明らかになります。

第V部の舞台は米国です。主役はフォード、デュポン、GMなど今でも有名な企業です。意外なことに米国企業はイノベーションに強い訳ではなく、共通性部品、事業部制、フランチャイズ制などの知恵で大きくなっていったことが明らかになります。第VI部は現代です。米国大企業の黄昏と非営利組織の時代の到来を描きます。

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Posted by ブクログ

1494年に教皇が仲裁する形でスペインとポルトガルがトルデシリアス条約を結ぶ。南北アメリカ大陸はスペイン、アフリカとアジア大洋州はポルトガルが植民地化する権利を得ていた。しかしカトリックの教皇が決めたことなので、プロテスタント国の英国やオランダはこの条約を無視した。

随分勝手な事だ。異教徒や非文明国の人権は認めず、人間扱いもしない歴史。法律が未整備で善悪の判断もつかぬ国では、何が正義かも分からない。ただただ文明国の論理に従い、搾取されていく構図だ。力任せの軍による力学は、昔も今も変わらない。

更には、エネルギー資源や利権、特許。ネットワーク外部性のような、先行者利得を巡る歴史。リバースイノベーションのようなイノベーションのジレンマ。先進国向け製品にはオーバースペックと言う問題。

同時に読んでいる『西洋の自死』のせいか、栄枯盛衰、帝国主義が少子化に悩みながら移民を受け入れ、逆侵食される構図の皮肉が際立つ。勉強にもなるし、マネジメントの哀れ、構造的反転現象の予感を感じる本だった。

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2023年06月21日

Posted by ブクログ

本書での「マネジメント」は、管理職的な意味合いではなく、経営層的な「経営」に近い意味でのマネジメントを指しているので、まずはご留意を。

内容としては教養的な読み物として楽しめました。
また、コラム的な部分も面白い話が多かったです。

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2023年02月17日

Posted by ブクログ

歴史を解説し、ビジネスと結びつけた視点は参考になった。
後半から英国ドイツアメリカの経営手法について記すが、経営学の教科書を噛み砕いて説明したに過ぎず、無難にまとめた印象。
最後に非営利組織の経営、オープンイノベーション、CVCへの期待を寄せる。
人の移動と技術の移転はセットであり、強国は、人が集まって作られる。
強い会社ができる時も同様なのだろう。
コロナ禍で人の動きがあるとすれば、人を集めてイノベーティブな新しい財貨、生産方法、販路、供給源、組織形態を見せてくれる組織が現れるだろうと見ている。

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2020年12月27日

Posted by ブクログ

偏見だが、(ちゃんとした)外国人作者がこのテーマで書いたらもっと分厚くて文字数多くて微に入り細に入り書きそうな印象。全史は盛りすぎ。軽い教養読み物。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

おもしろい!!!

詳しいことはよくわからないけれど、著者の言葉を借りるなら

"経営学や経営論というのは、地域性があって、普遍ではない。"

つまり、ひとことで「マネジメント」とは言うけれど、どのマネジメントも同じやり方ではないということ。それぞれに、人をまとたり、ビジネスを展開したりする方法は、百人百様であるということ。その中には、似たような事例もあるし、真似して成功した企業もある。でも、なにかしら必要に迫られてマネジメントしていったという、その文脈はさまざま。


経営の話のみならず、世界史としても読める。おもしろい。

あと、「(つまり・・・)、とか「とはいえ」とかの表現が多用されてて、(くどいと感じる人もいるかもしれないけど(笑))、わたしは経営の話は全くもって疎いので、とても読みやすかった。



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2022年09月07日

Posted by ブクログ

経営論というより、企業論の話。それに、5000年の歴史を振り返っている。

初めは、ほぼ歴史の話。なんか面白い。
バイキングは、ただの海賊かと思ってたけど、商人だったのね。

ノルウェー十字軍遠征は、行くのに3年もかかってだのには驚く。寄港地で、歓待を受けてたらしい。

中世の文化の伝播は、アジア→イスラム圏→ヨーロッパだ。

大航海時代が到来するとようやく会社が成立する。
その後は、なんとなく知って現代会社のマネージメント。大企業は国の施策とか、大企業はえげつないとか、大企業は巨大化する必要があった(自動車とか航空機とか薬の産業)とかそんな話

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2022年06月07日

Posted by ブクログ

興味を惹く小話が散りばめてあって、講義として見れば面白い。歴史を俯瞰してみるサンプルとして通読する意味はあるかな。

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2022年02月27日

Posted by ブクログ

色々な情報がたくさん詰まっている
本として面白いには面白くて、ただ途中であれ何の本読んでるんだっけと思ってしまうのはまだまだ自分にも知識がないからか

気になるワードがどんどん出てきて、かつコラム的な情報も多くて注意力散漫になってしまった

前半部分がためになった
船が大きくなるのはどういうことか。丁寧に考えれば分かりそうなところを、自分では意外と分からなくって教えて頂きました。

船の巨大化=船の共同所有

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2021年08月29日

Posted by ブクログ

マネジメントそのものの発展の歴史ではなく、時代時代でのマネジメントを綴ったものととらえました。テイラーにはじめる近代的マネジメントの発展史について、続編を期待したい。

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2021年05月01日

Posted by ブクログ

ゴーイングコンサーンとして環境に適応する方法を歴史の中に探す。ピラミッド建設時代からの歴史をマネジメント方法の移り変わりとともに学ぶことができる。

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2021年01月01日

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