あらすじ
「だって彼は殺されたんでしょ?」――アバネシー家の主人リチャードの葬儀後、末妹のある一言が、一族を怪事件へと巻き込んでいく
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
【再読】
「だって彼は殺されたんでしょ?」
葬儀の後、遺言の公開の場で一族の一人コーラが口走る。そして翌日、コーラは何者かに惨殺された。遺言執行人のエントウィッスルは事件に不吉なものを感じ、一族の者たちを訪ねていく。すると、誰もが経済的な苦境に立たされており、アバネシー家の当主だったリチャードの死を歓迎していたことがわかった。そこでエントウィッスルは、旧い知り合いであるポアロに協力を要請した。
調べを進めると、リチャードは死の直前にコーラのもとを訪れており、そこで何かを仄めかした可能性が浮上する。だがコーラの同居人ミス・ギルクリストは二人の断片的な会話しか耳にしていなかった。すると今度はギルクリストが命を狙われたため、ポアロはますます二人の会話に何かヒントがあるということを確信する。
ポアロは一族を屋敷に集めて観察をする中で、ようやく真相に辿り着く。
犯人はミス・ギルクリストだったのだ。コーラのコレクションの中にフェルメールの作品を見つけた彼女は、それを奪うためにコーラを殺害することを決意する。ちょうどそのタイミングでリチャードが死んだため、ギルクリストはコーラに変装して葬儀に参加、リチャードの死が殺人であったことを仄めかす。それは全て、その後のコーラの死をリチャードの死と関連づけるものだったのだ。
印象に残るフレーズの多いクリスティー作品の中でも、間違いなく上位に入る作品。外国人である利点をいつも以上にフル活用する抜け目のないポアロ。犯人であるミス・ギルクリストの動機とその豹変ぶりが恐ろしい。
唐突に登場する情報屋の存在がやや反則な気がしないでもない。
●名言
「過去はあなたのすぐそばにいて、『こっちはまだ片づいていないよ』と言う」
Posted by ブクログ
アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、遺言状公開の場で長く疎遠だった末の妹コーラは無邪気に「だって彼は殺されたんでしょ?」と発言した。その翌日コーラは死体で発見される。
『ABC殺人事件』や『オリエント急行殺人事件』とかにくらべると知名度は低いイメージだけど、ミステリとしてはかなり良い作品だと思う。トリックの部分は基本的に好きでは無いけど、この作品でのやり方なら上手くいくかな。
Posted by ブクログ
あーーー犯人そこーーーーー。
となった。まさかコーラが別人だとは思わなかったし、本命が〈そっち〉だとは思わなかったよなあ。
最初は弁護士のエントウィッスル氏を疑っていたよ。だってあまりにも語り口が胡散臭くてさ。信用できない語り手かと思っていたら、いつの間にか気配が薄くなって消えていた…。
途中では、そこまで頭良くない設定なのに分かっている風なことを言うロザムンドも疑った。
その全てがミスリードだったとは…。
確かにミステリーの定石は「一番怪しくない人が犯人」だけれども、「怪しくない人が複数いる」のはクリスティの十八番ですね。してやられた感。
やはりクリスティは好きです。
Posted by ブクログ
ポアロものの推理小説。一族の主人が亡くなり、遺産相続の舞台から始まる作品。まず、登場人物の多さ、しかもほとんどが親族なので登場人物の一覧とともに、家系図まで小説にあります。ただ、そこは素晴らしき小説家アガサクリスティー、最初のうちは誰だかどういう繋がりかがわからない登場人物が次第に混同せず読み解けるのはそれぞれの登場人物の人物描写、キャラクター性が素晴らしくわかりやすいところがあると思う。
以下ネタバレ含む
展開としては連続殺人だと思われていたのが、実は連続殺人ではなかった。動機も一族の財産分与ではなく、個人の問題であった。繋がりを示唆され繋がりを見つけようと読み進める中で、実は連続殺人ではないというのは見事。親族ではあるが面識はほとんどないことを生かした入れ替わりのトリックも納得のいくものであった。
Posted by ブクログ
クリスティにしてはトリック?が凝ってて良かった。
葬儀に現れ、事故死とされた事件が実は殺人だったと告発した人物が、翌日遺体で発見されるという掴みの良さ。しかもそれが別人という真相は面白い。
ただ、首を傾げる癖を真似たとき、鏡越しに見ていたから違和感なかったが実は逆に傾げていたなんて後から気づけるだろうか?そこはゴリ押し感があると感じる。
まぁ言い出したらキリがない。
ロザムンドは結構気に入ったキャラ。バカっぽいけど大切なことは知っていて、男のバカさも理解しているのが格好良かった。妊娠して女優を引退。お母さんになる。
ポアロ「その職業はあなたに最もお似合いですよ」
んーかっこいい!
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ㉕
アバネシー家の主人リチャードの葬儀は滞りなく終わり、遺産についての遺言が読まれるという時に放たれたコーラの一言「だって彼は殺されたのでしょ?」
なにこの一気に不穏に変わる空気。なにこの一気に心掴まれる展開。ワクワク感。
アガサ・クリスティがえがく『館に集まる一族』って本当に面白いわ~
相手に対する親族ならではの人物評や思い出によってそれぞれのキャラクターが分かってくると、ダメっぷりも、隠している秘密も、怪しさも浮き立ってくる。そして、それらが事件の謎をさらに深めていく。
やっぱり最後は犯人に驚かされる。
関係者を集め最後に行われるポアロの謎解きに、ただただ、ため息。
Posted by ブクログ
これはこうだ、と思い込んでいる事象をいい意味で裏切ってくれるのがいいなと思う。登場人物は疑いようもなくその人本人だと信じているからこそ、今回も結末は予想外のところから出てきたし、こんな作品を次々編み出していったからこそアガサクリスティーはミステリの女王と呼ばれるのだなと考えた。
それにしても、作中に出てくる料理(スコーンや紅茶、
フォアグラのパテ、トースト、ポートワイン、クレームドカカ、舌平目のクリーム煮、子牛肉のカツレツなどなど)、すごく美味しそう。イギリス料理はあまり美味しくないと巷で言われているけど、このラインナップを見ているとそんなことはなさそうに思える。料理や地名がよく出てくる小説はイメージを掻き立てることでその舞台世界に誘ってくれるから好き。