あらすじ
舅は人気戯作者、曲亭馬琴。家風の違いすぎる婚家、癇性な夫。苦労の絶えない結婚生活を明るく強く乗り切っていく女性の一代記――人気戯作者・瀧澤馬琴の一人息子に嫁入りした、てつ。結婚早々、みちと改名させられ、病弱な夫と癇性持ちの姑、そして何事にも厳格な舅・馬琴に苦労させられながらも、持ち前の明るさと芯の強さで、次第に瀧澤家になくてはならない存在になっていく。のちに「八犬伝」の代筆を務めるまでになる、馬琴の嫁の奮闘記。
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Posted by ブクログ
『南総里見八犬伝』で有名な瀧澤馬琴。
「馬琴の嫁」とは馬琴の妻のことではなく、馬琴の息子・宗伯(そうはく)の妻、みち(路)のことである。
みちは医者の家に生まれ、医者である宗伯に嫁いだが、夫の宗伯はひどい病弱な上、ヒガミっぽく癇癪持ち。
舅の馬琴は瀧澤家の全ての差配を己でやらねば気が済まず、非常に細かく口うるさい。
姑の百(ひゃく)はこれもことあるごとに癇癪の発作を起こす。
そして、瀧澤家では常に誰かが病の床に就いており、みちはその看病に忙殺され続ける。
みちの生涯は以前、『曲亭の家』(西條奈加 2021年4月15日発売)で読んだ。
この『馬琴の嫁』は2006年に単行本で発行されたものが2009年に文庫化されたものだから『曲亭の家』よりも前の作品である。
私自身、先に所有していたのに、読む順が逆になってしまった。
瀧澤家やみちの日常は詳しい日記が残されているようで、人物像や細かいエピソードも両作品に齟齬はなく、病弱な夫に仕え先立たれ、気難しい舅姑に苦労し、息子に先立たれ、そして「八犬伝」の口述筆記を成し遂げるというみちの生涯は、何度読んでもやはり壮絶としか言いようがない。
瀧澤家の飼い猫の描写には、群ようこさんらしさが垣間見える。
一 てつの家
二 緊張の日々
三 孤軍奮闘
四 跡取り誕生
五 夫の病
六 不運続き
七 次との別れ
八 宗伯の死
九 太郎の元服
十 馬琴、没す
十一 みちのその後
Posted by ブクログ
ありえないと思ってしまうほどの嫁という立場。でも学ばなくてはならないと思うことも。「八犬伝」が書き終わる最後の章が、瀧澤家の嫁として生活してきたみちの集大成のようでよかったです。
Posted by ブクログ
「そろそろ旅に」で馬琴が出てきたので急に読んでみたくなって。想像していたような話ではなくてちょっとびっくり。主人公みちが嫁いだ馬琴の家は、馬琴をはじめ一家じゅう気難しく、夫も姑も病気がちでヒステリーで、とにかくみちは家事と看病でつねにただただ大忙し。次々災難は起きるし、えんえんそれだけみたいで笑えてきそうなほどなんだけど、群ようこさんの文章のおかげか、なぜかすごくおもしろくてぐいぐいと読んでしまった。そうドラマチックなことがあるわけでもないんだけど。でも馬琴の人となりがよくわかるような。漢字もあまり読めないみちが「八犬伝」の代筆をしたとエピソードも最後のほうだけなんだけど、おもしろかった。
Posted by ブクログ
群ようこさんの親しみやすい言い回しが冴えわたり、普段時代小説を読まない方にも読みやすい作品だと思います。主人公みちの物語としては、確かにひとつひとつのエピソードがあっさりしているかもしれませんが、かえってテンポ良く、脚色しすぎないのも爽やかです。次は、群ようこワールド全開の時代小説を読んでみたいものです。
Posted by ブクログ
面白くなくは、ない。半分くらいはすごい勢いで読めたけど、その後もくらい話が延々と続き、救いようがない。
自分の家庭とシンクロしてしまって途中からつらくなった。読み終えたあと、夜中に憂鬱な気分で目が覚めるほど憂鬱なエピソード満載でした。
最後に次々と人が亡くなっていくあたりは泣けましたが…。
とにかく読み終わったあとくらくなる話です。
Posted by ブクログ
現代においては「あり得ない」様々なことが絶対的な不文律だった封建社会において、悩みながらも奮闘するひとりの女性の姿がいきいきと描写されている。遺された日記や様々な文献を参考にしたとはいえ、瀧澤馬琴の嫡男の嫁となった女性を主人公に据えたところが著者の炯眼だと思う。それは個人と社会が密接につながっていた時代であり、今となってはまさにおとぎ話の世界なのだから。
Posted by ブクログ
「八犬伝」の著者 瀧澤馬琴の一人息子に
嫁入りをしたてつ、改名してみつの奮闘記
群さんの小説なので、読みやすいのですが
感想は、、、う〜ん 微妙です
事実だけしかわたしの中には入ってこず、
心にひびく事とかはなかったですね〜
群さんの小説、久し振りでした
Posted by ブクログ
タイトルがなんか誤解を招きますが馬琴の嫁ではなく、馬琴息子の嫁・お路が主役の話です。馬琴先生は日記魔&それを受け継いだお路さんも日記をつけていて、当時の記録が詳細に残っているため再編集しやすいようで、馬琴やお路を扱う物語は多い。ちなみにお路さんが何でそんなピックアップされるかというと、晩年失明した馬琴の代わりに口述筆記で八犬伝を書き上げた人だからです。
んで感想ですが…日記を一生懸命繋ぎましたって感じです…。ああ日記にそう書いてあったから書いたんだろうね、的な…もっと虚構織り交ぜるとか宋伯とお路さんを掘り下げるとか、話として盛り上げる方法はあると思うんだけど、日記追うのに必死すぎる気が。
悪妻として有名な姑・百が多少呆けただけのいい人?なのと世間一般で影の薄い宋伯のダメっぷりがこれでもかと書かれているのは新しい気もしました。でも嫁の苦労話という感じでもないんだよなー。