【感想・ネタバレ】北朝の天皇 「室町幕府に翻弄された皇統」の実像のレビュー

石原比伊呂

建武三年（一三三六）、京都を制圧した足利尊氏は新天皇を擁して幕府を開いた。後醍醐天皇は吉野に逃れ、二帝が並び立つ時代が始まる。北朝の天皇や院は幕府の傀儡だったと思われがちだが、歴代将軍は概して手厚く遇した。三代義満による南北朝の合一以降、皇統は北朝系が占めた。一見無力な北朝は、いかに将軍の庇護を受け、生き残りに成功したか。両者の交わりをエピソード豊かに描き、室町時代の政治力学を解き明かす。

[ブクログ · ★★★★☆]

室町幕府に翻弄された皇統の実像が副題であるが、最後まで読むと（著者も書いているが）御互い共生していて、むしろやられ続けながらも「無手」のクセに得るものを得ている皇統こそ室町を絞りとるくせ者に思えた

確かに、義詮の死後で問題無く義満が後継として続けていくためには「パワーゲーム」の土俵ではありえない
幕府が朝廷を支えれば、朝廷から幕府が幕府足りえる権威をあられるのだが、個別にひとつづつ見ると何も持ち合わせがない（永久機関を見ているような不思議感）

もう少し読み込まないとうまく言えないが、内容は興味深かった（大満足）