あらすじ
人類の大半が死に絶えた終末後の世界。仕立て屋の羽繕(はづくろ)は学生時代から密かに想いを寄せていた護堂(ごどう)が目の前で息を引き取るのを見ているしかなかった。悪魔のような容貌の男から与えられた「魔法のミシン」で実物と寸分たがわぬ護堂の人型「ゴドー」を縫い上げたところ、それは生き生きと動き出し羽繕に懐いてくる。だがどうやら人間の魂のようなものはないらしい。死人を生き返らせる禁忌を犯した羽繕に、悪魔のような男は、この新しい世界には縫われるべきものが待っている、ゴドーの「たましい」を探す旅に出よと送り出すのだった。針と糸だけで世界を渡る羽繕とゴドーの未来は……?
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Posted by ブクログ
斬新な切り口、奥行きの深さ…色々な感情に心が揺さぶられることまちがいナシのARUKUセンセのファンタジックワールドでした。
色んな不思議ワールドをこれまでも見せてくれたセンセなのですが、まだまだ枯れるどころかめちゃくちゃ進化してるのがすごいです。
…そして、確実に絵柄も上達してる…!
センセの作品には影が薄くて幸も薄い主人公が登場することが多いのですが、みんな地道に働き続けてとても真面目で勤勉。そして、自分とは対照的なキラキラの王子様にひそかに憧れていたりするのです。
仕立て屋の羽繕もそんなタイプで、善意のかたまりみたいな青年です。
虐げられていた環境の中でも、食べていくためとはいえ、一生懸命自分にできることをやり続けて来た成果とも言える仕立て屋としての腕前に、悪魔から授けられた途方もない力。
その力で羽繕はゴドーをよみがえらせ、様々な生き物たちを救っていきます…
なのに、その見返りをこれっぽっちも求めない。ここが彼のいいところですね。
そうしながら、羽繕はゴドーとともに彼の魂を求めて旅を続けていきます。
魂とは?生きること死ぬことの意味とは?
読み進むうちにそんなことをあれこれ考えてしまっている自分に気づきました。
そして、みんなを助けながら旅するうちに孤独だった羽繕にだんだん仲間が増えていくのが、とてもよかったです。
読んだ後の余韻がすごかったです。
続きものなので早くこの先が知りたくてたまらないです!
羽繕が幸せになりますように。ゴドーが愛にあふれた魂を手に入れることができますように。
良すぎました
作者様ファンです。ヤバイ…良すぎます。童話を読んでいるような世界観がスゴイ!続くのですね。魂の半分はどうなっちゃうのでしょう…気になりすぎる…
ARUKU世界の集大成
終末を迎えた後の世界なのに殺伐とした中にどこか優しさを感じる不思議な世界を旅するはづとはづの作った人形ゴドー。人形ゴドーの幼児みたいな無垢さにも、はづには姿は見えないけどずっと側にいる護堂の魂にもキュンキュンします。次巻も楽しみ。