あらすじ
デジタルが隅々まで浸透した「アフターデジタル」社会。日本はその社会に向けてゆっくりと進んでいましたが、コロナ禍で状況は一変し、速度を上げてアフターデジタル社会に突き進んでいます。
多くの日本企業は「DX戦略」で活路を見いだそうとしていますが、実はその立脚点が危ういケースは少なくありません。すべてがオンラインになるという前提に立っていないのです。
本書ではアフターデジタル先進国に注目し、特に中国のアリババやテンセントといった巨大デジタル企業の「戦略」、表面的な取り組みの奥にある「本質」に迫ります。事実として、アフターデジタル社会では産業構造がひっくり返ってしまいます。これは予測ではなく、実際の中国市場がそうなっており、こうした世界が広がれば、日本のお家芸ともいえる製造業は最下層に位置づけられてしまうのです。
いわゆるデジタル企業だけでなく、デジタルビジネスとは直接関係ないと思っているビジネスパーソンにも、本書を読んでほしい。なぜなら、アフターデジタルでは、リアルがなくなるのではなく、リアルの役割が大きく変わると言われているからです。
アフターデジタル社会になると、市場のルールが変わると考えたほうがいい。キーワードは「UX」。そして、アフターデジタル社会において成功企業が共通で持っている思考法を「OMO」(Online Merges with Offline)と呼びます。社会の変革は避けようがないなら、こうした新たなルールをいち早く学び、自社の立ち位置を決めて戦略を練らねば負けてしまいます。既に新たな成果を出し始めている日本企業もあります。デジタルを強みにするには必読の書です。
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Posted by ブクログ
「アフターデジタル」オフラインのない時代に生き残る
■世界の状況
〇エストニア:世界で最も政府の電子化
・所有する不動産などの資産全てがオープン、誰が見たかもオープン
・強盗して所持金が増えたらすぐに分かる。
〇スウェーデン
・体内にマイクロチップ。手をかざすだけで会計
〇中国
・8億人の人口の97%がスマホ所有・モバイル決済
■オフラインがなくなる世界
・あらゆる行動が個人のIDと結びついて可視化
・単体事例の先進性ではなく、全体システムのアップデート
■メリット
・社会的評価仕組みが未成熟だった国では、社会的信用が保証され、努力すればいい待遇が受けられる仕組みになった。
・満足度のデータ化
・コンビニ無人化→人件費はそれほど変わらないが、空き時間で人的サービス。顧客満足向上。
→効率化によって、人でしかできない仕事の価値が高まる。
・検索・予約しやすい医療アプリの提案→検索から必要な医療を把握、提案する保険会社
→売上にすぐにつなげるのではなく、ずっと寄り添う事を重視する姿勢
→継続的な価値提供
■OMO(Online Merges with Offline)
・オンライン/オフラインの一体化の上で、オンラインにおける戦い方・競争原理としてとらえる考え方
■UX
・顧客体験
・モノが手に入りやすくなる→顧客が体験価値に気付く。
■今後
・取得したデータを顧客ごとに紐づける
・自社・自部門だけで顧客を囲い込んでもどうにもならない
・大型プレイヤー(決済プラットフォーマーになろうとしている)にとって重要な視点。
■次の時代
・アフターデジタルの到来
オンラインとオフラインの区別がなくなり、デジタル世界に住んでいるような状態になる。
・ビジネス形態の変化
大量データを取得し、OMOで試行できるようになると、企業体の出来る事が変わってくる。
顧客との接点が増える(商品売買だけでなく、コンサルティングで様々な状況で関わる)
■大事な事
・ハイタッチ
特定の人に個別対応:個人対応ならではの対応や感動で信頼を得る
・ロータッチ
ワークショップやイベントなどの「場」:リアルだからこその心地よさや得難い密度の情報提供
・テックタッチ
オンライン:プロセスが短く・便利で高頻度で使うと得をするインセンティブを提供する。
↓
以前:製品単体で価値提供するしかできない
今後:体験全体で価値提供が可能になる。
→顧客の定義/商品の定義が変わる
Posted by ブクログ
・面白かった。読んだだけで、まだ自分の業務に落とし込んでいないため、有用だった と言うのは憚られる。おもしろかった。
・日ごろシゴトしながら感じている違和感(データへの幻想/「それは経営陣が決めることだから」/海外事例をそのままモデルに/…)が登場して、ニコニコ頷きながら読める
これが数年前の本、と思うと笑ってはいられないけれども。
・実ケースの話①:これを書いているほんの数日前、ちょうど(?)イーロン・マスク氏がTwitterを買った。“Twitterが実名性になる”との噂でTLがざわついている。本書4-4で紹介される通り、日本市場でSNSを売る気ならその戦略はとらないわけで、Twitter社は日本市場を切ったのか〜と感じた。
・実ケースの話②:街中でメルカリ教室を見かけるたび これどうやって利益出してるんだ?旗艦店ひとつ出すなら分かるが、なんでこんなあらゆる所でやってんの?と思っていた。利用者の定着率に繋がっている、元々あったサービス形態(ケータイ教室)に乗っかっている、との紹介を読んで腑に落ちた。
・実ケースの話③:マルイの売らない店舗も、当初面白がって見かけるたび立ち寄っていたが、自分は、結局オンライン以上の情報が得られず行かなくなってしまった。②の例からするに、自分はピンと来ていないが、どこかで誰かが喜んでいるのだろうから 理屈を考えたいなあ
Posted by ブクログ
前作のOMOをベースに、UXを軸とした説明。
バリュージャーニーの作り込みについて具体的な説明がされていた。
データはソリューションとセットでないと価値がないこと、DXを目的化しないこと。
DXって何をすればいいの?に
データーを制するものがビジネスを制する、わけでは無いことが明確に説明されており、モヤモヤが晴れました。さらにUXの大切さとそこから生まれてくるトランスフォーメーションこそがDXであること、それをきちんと成し遂げるには正しい思想が必要と続き、目指すべき姿のひとつを示しています。
後半のケースの説明でほカタカナ用語が多く一読では理解が追いつかなかったので、星は4つとしました。
Posted by ブクログ
これからのデジタルの時代、アフターデジタルでは、
UXを中心としたOMOを加速させることが鍵になる
逆にUXを求めないD2Cは意味を持たない
デジタルが浸透し、行動データを集めることができるようになった現代では、
そのデータを元にUXを高める行動が大切
商品を販売して終わりではなく、顧客の自己実現のための体験を提供し、
自社の世界観に共感得ることで、顧客の心の奥まで届く価値提供ができる
このときに最も大切なのはデータをどのようにUXにつなげるのかという考え方であり
ただデジタルを普及させるO2Oの考え方は意味を持たない
Posted by ブクログ
アフターデジタルの時代にビジネスで生き残るには①行動データ②状況ターゲティング③バリュージャーニー(体験)が必要である。
特に個人的には状況ターゲティングを意識することが必要であると思う。今までの行動データだけでなく、なぜ顧客がその行動を取るのかを深堀し(状況の理解)、顧客の感動する体験(UX)を提供しなければならない。
これまでのメーカー市場主義のようにモノを売って終わりでなく、そこからのサービスをどう考え、接点を持ち、感動を与えるかを考えていかなければならない。
またDXとは新しいUXを提供することであり、組織全体がUX意識を根付かせることが必要であると理解した。