あらすじ
小さな農家のための「経営カイゼン」の教科書です。
農業をテーマにした経営読み物×経営実務書。
2部構成になっています。
①東大→デュポン→メルカリを経た全くの「他所者」の著者が、栃木県の小さな梨農家「阿部梨園」を再生させた過程の読み物
②農家が経営改善するためのスキルを500こ公開したwebサイト「阿部梨園の知恵袋」から、全ての農家に共通していて、即効性と実用性の高い100を抜き出した実務書
①で実例を追体験し、②で合理的な視点や判断基準が得られる、農家のための経営ドリルです。
「本書を通して得られる合理的思考こそが、これからの農業者に最も求められること」だと著者は言います。全ての農業者の羅針盤、バイブルにします。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
〇読む目的
・農家=家族経営、家族の犠牲と暗黙知によって成立しているイメージがあるが、筆者はそこにどう切り込んでどう変えていったのかを知る。
・その家のやり方や価値観、凝り固まったビリーフをどうやってより企業体としての価値観に変えていったのか。
・具体的な改善事例を知り、自社で取り入れられるものがあるか。
〇感想
多少勉強ができたり、ヘンなプライドがあったりと精神構造として筆者に近いものを感じた。
心を病み、近い距離間の家族経営の農業、自然、筆者のスキルが生かされる状況が重なって平穏を取り戻し、やる気が回復されたのかなと思う。
・利益配分をしっかり行う
・福利厚生の制度を(徐々にでいいので)整える
・現場を知る
・広く浅く知る
・目標を設定し進捗を振り返る
・数字で語る
・嫌いなものでも食べてみる
実践されたことはごくごく当たり前ではあるが、農業・農家ではこういったことよりも生産と販売に注力され、経営スキルを学ぶ時間もなく、またそういったスキルを持つ人材を採用することも非常に難しいのだろう。
作物の魅力はもちろんだが、企業体としての魅力がないと(特に農業分野では)働き手は来ない。
筆者の参謀としての考え方にはとても共感するものがある。
社長に安心して意思決定してもらえるように準備をするのが一番だと思うし、労働者側の言い分や現状も理解しないといけない。
これはやはり実際に現場で手を動かしたり、一方で社長の考え方や目指すものを自分に刷り込む必要がある。
小さな改善から少しずつ成果を出すことで社内の信頼を勝ち得て、改革をより進められるようになったんだろうなと推測した。
課題解決については「どうすれば解決できるのか」ではなく、「なぜ解決しなくてはいけないのか」「解決するとどんないいことがあるのか」をもって提案する。
労働者は基本的に変わりたくないのでなぜやるのか、そのメリットは何かを伝えないと納得してくれない。
課題解決より、課題解決させてもらうための裁量や理解を得るのが最大の難関であると書かれており、全くその通りだと思う。
アナログな農業に携わる人を「デジタルが苦手」などと勝手なイメージで固定していることが成長を阻害している、という提言にハッとさせられた。
人は一番大きな変数であるのに、不変の定数扱いをしていると。
そういう人にPCを使ってもらえるようにするにはどうしたらいいかと考えることが本質的な解決に近づける。
今の自分にも、自社の社員に対して固定観念や決めつけがかなりあるので反省した。
具体的な改善事例の章はこれから読むが、すぐやれそうなことはぜひマネしたい。
Posted by ブクログ
タイトルからはコンサルタントが農業に乗り込んでいくないようかと思ったがそうではない。知人の梨園(こう書くと歌舞伎業界のようだが)で何年か経営を手伝ってみた、という内容。「東大卒」っていらないんじゃないだろうか。。。
前半は抽象的・観念的な内容が多く刺さりにくい。
第二部のノウハウ100というところだけ読めばよいかも。この内容も至極当然のことばかりで、農業分野ではこの程度のことすらやられていないのか、と思うことも多いが組織論の基本を網羅しているので自分の組織を見直すきっかけにはなると思う。