あらすじ
守るものなんて、初めからなかった――。人生のどん詰まりにぶちあたった女は、 すべてを捨てて書くことを選んだ。母が墓場へと持っていったあの秘密さえも――。直木賞作家の新たな到達点!
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Posted by ブクログ
何が起こるか分からない、面白い話だった。読み終わってもするりと指の間を抜けていくような、掴みどころのない登場人物たち。それなのに惹かれてしまう女たちが書かれている。とにかく、面白い。
主人公が小説を書き、その話に出てくる主人公も同名の小説を書いている。主人公の家族を題材に書いているし、読んでいる方もフィクションの中の更に事実と虚構の境目が曖昧になっていくのがなんともいえない感覚だった。
実話を読んでいるような気持ちになる。本当にそういう反応を相手が示したんだというような錯覚をさせられる。
虚構でも問題ないのかもしれない。これは小説なのだから。
主人公は小説を書き上げるために自分を見つめ、母の過去を辿り、その他様々な人の言葉を飲み込み自分のものにしたのだと思う。自分を認めなければ先には進めない。その過程で得た感触はそのまま実生活に反映され、ますます強固な自分になっていくように見えた。
自らの意思で物語を生み出していく女たちに引き摺り込まれる。ミオ、令央、美利、そして乙三。豊子も珠子もそうかもしれない。
どれもが真実でどれもが嘘なのだ。こんな魅力的なこと、あるだろうか。こんな女たちのようになれたらいいのに。
Posted by ブクログ
「ケチは生き方、せこさは性分」
「屈託とか葛藤とか、簡単な二次熟語でおさまらない話が読みたいんですよね」
舞台が江別 珍しいな~とおもいつつホテルローヤルに続いて手に取った一冊。本当は前回書店に行ったときも気になったんだけど、読むのを延期しておいた作品でした。小説を書く40歳女性、柊令央を取り巻く関係が母親の死をきっかけに大きく変化していくお話。彼女が16歳で産んだ娘を、妹として育てる母親。彼女の人生を小説として表すために、令央はミオ(母親)の人生を追っていく。
「一人称じゃなく三人称で書く」自分の人生も嘘で覆い、作家に作品を描かせる編集者、小川乙三がなかなかインパクトがある。言語力堪能な彼女の言葉は、令央と同じように読んでいる私もうーんと悩まされたりと考えさせられたりするものばっかり。物を、文章を、産み出す苦しみを主軸において主人公を取り巻く環境について軽快な書き口で表していた。