あらすじ
NYの弁護士・トレヴァーと元アーミッシュの大学生・ジーンが同居して2年。ジーンはカナダの大学教授が自身のエッセイに興味を持ってくれたことを知る。優しく頼りになる恋人との愛に溢れた暮らしに不満はなかった。でも、NYは故郷ペンシルバニアからたった200マイルの場所でしかない。もっと広い世界を見たい、カナダで学びたいという気持ちは日ごとに募っていった。ジーンの物思いに気づいていたトレヴァーは彼の選択を祝福するが、内心穏やかではいられず……。そして1992年。トレヴァーの甥・ジーンは手記を読んでいることが伯父にバレてしまい……!? 電子限定描きおろしページも収録。
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80年代のアメリカを舞台に、アーミッシュの青年・テオと男娼のオズの純愛を描いた名作『ラムスプリンガの情景』(心交社)のスピンオフ作品。
テオたちより年上で、ラムスプリンガ(アーミッシュになるか俗世で生きるかを選ぶためのモラトリアム期間)を経て、外の世界で生きることを選択した19歳の青年・ジーンと、NYで働く34歳の弁護士・トレヴァーが主人公です。
物語の始まりは1992年夏のNY。50代になったトレヴァーのもとに16歳の甥・ジーン(同名の別人だなんて意味深…!)がやって来て、トレヴァーの手記を見つけたのをきっかけに、1973年の冬に出会った2人の馴れ初めが紐解かれていきます。
俗世間のことをほとんど何も知らない無垢なジーンと、優秀な弁護士として活躍しながらもゲイであるがゆえに他人に心を開くことが出来なかったトレヴァーとの交流や、恋が育っていく過程が優しく丁寧に描かれていて、心が温かいもので満たされていく――初めて聞くカーペンターズの歌声に夢中になってしまうジーン、真面目すぎていつも一言多いトレヴァーなど、何気ないけれど幸せな描写はBL界屈指のストーリーテラー・吾妻香夜先生だからこそ。『ラムスプリンガ』で味わった、あの多幸感を再び味わうことができます。
そんな温かで細やかな描写を積み重ねて辿り着いたクライマックス、ジーンが信仰にも似たトレヴァーへの愛を告白する一幕は涙なしには読めません。そして、告白に続くベッドシーンはエッチでかわいくて、純粋な愛に満ちていて、エロいのに泣ける……!
1992年の世界ではジーンは未登場。今はどこにいて何をしているのか、トレヴァーとの関係はどうなっているのか。早く!続刊が!読みたくてたまりません!!
感情タグBEST3
匿名
トレヴァーとジーンの出会いから別れ、そして再会。それを導いてくれた甥っ子ジーン。
心優しい二人のジーンと生きてきたトレヴァー。
うるうるしながら読み進めました。
あとがきの二人、凄く素敵です。
この絵だけでも「親愛なるジーンへ」を物語っていると思います。
最高
本当最高でした。
読んでる最中はすごい幸せと不安の交互で、、
2巻ずっと待ってました!
待ってたかいがありました!
最高!
何度も『2人はどうなるの!』という思いを持ちつつ読みました。読み終わった後の多幸感というのでしょうか?この作品に出会えて本当に良かった。
トレヴァーとジーン
2人の、互いを思いやる気持ちにとても癒されます。
まっててよかった…‼︎
2巻が出るのをずっと待っていました…‼︎
長い間別々の時間を送っていた2人がジーンのおかげでまた再開できてよかったです😢♡
吾妻先生お疲れ様でした‼︎‼︎
無償の愛
70年代のアメリカ、LGBTQのエの字も登場してないようなこの時代。愛する相手と例えひと時でも想いが通じ合えたトレヴァーは、幸せだったんだろうな。「それだけでこの先、生きていける」ほど。
ジーンは、1巻でこそトレヴァーへの想いを感じる描写や物事の機微に関する描写が多かったけど、外の世界を知っていくにつれて、繊細な感性は徐々に変化していく。雨の気配にも、1番身近な人の心の機微にも気づかないくらい。トレヴァーへの想いも少しずつ形を変えて、最後は2人同じ形の愛ではなかったのかなと思いました。
一方で救済を得たトレヴァーはどんどん人間らしくなるけど、ジーンを繋ぎ止めない。愛する人の選択を応援し、あげられるものを全て差し出し幸せを願う。究極の愛ですよね。彼の無償の愛は涙なしには読めません。
NYに戻ってきたジーンのシーンは個人的にちょっとモヤりました。あんなに世話になり、一度は愛し合った人に対する態度にはちょっと見えなかったから。ここモヤってるの私だけかなぁ。
それぞれの故郷と繋がる奥行きのあるお話が本当に素敵でした。小冊子を別売りにしていただけたらもっと良かった!!涙
買い直し、、
感動しました。
こんなに漫画で感動したのは久しぶりかも…トレヴァーの無償の愛に感銘を受けました。
どうしてこんなに愛情を注ぐことができるのかな、とも思ったけど、
彼の生い立ちや血の繋がらない家族が源なのかなぁと思うと、一巻で少しだけ描かれたトレヴァーのご両親がもう本当にご立派だわ…と尊敬しきりです。
一巻も良かったけど、二巻にはもっと、大事に読み返したい言葉がたくさんあります。
現代の、国も違う私たちの世界でも、救われる言葉がたくさんあるように思います。
相手を想い、支えて、信じて赦し、送り出す。トレヴァーの愛こそが、本当の愛情だなぁとしみじみ感じました。恋愛のような友愛のような親愛のような2人が、再び出会えて良かった。
ジーンの選択も、アーミッシュという文化の否定もしない、どんな選択も正しく、気持ちに素直に生きれば良い、というような描き方に、作者の方の優しさも感じました。
愛する人の存在の深さ
1巻を読んだ後、読みたくてたまらなくなってしまった2巻。一気読みしてしまった。
読後感は満足!でした。
愛する人の門出を、相手に罪悪感を持たせずに送り出してあげられるトレヴァー。
赦されたいと心の中で思うジーンに、僕は君を赦すと言葉にし、自分のなりたい人になってくれと送り出すトレヴァー。
トレヴァーのやさしさと強さとジーンを愛する気持ちの深さが読んでいてひしひしと伝わってきた。
どんな気持ちで別離後を生きてきたのかを甥っ子のジーンに聞かれて、忙しくしていたらいつの間にか時間が過ぎてしまっている、
という意味合いの答えにトレヴァーの人柄が集約されていてさらに切なくなってしまった。
傍に居たい、居てほしいという思いが叶わなかったジーンとの愛をトレヴァーは淡々と受けいれたのでしょうね。
とにかく、深いストーリー。ぜひ、ご一読を!