あらすじ
NYに住む伯父・トレヴァーの書斎で一冊の手記を見つけたジーン。そこには、自分ではない「ジーン」について綴られていた。……1973年。弁護士のトレヴァーは重要な書類を紛失する。雪が降りしきる中、それを届けてくれたのは清掃員していたジーンだった。ボイラー室で暮らしているという、見るからにみすぼらしい彼を放っておけず、トレヴァーはお礼も兼ねてハウスキーパーをしないかと持ちかける。まるで中世からやってきたような世慣れなさに反し、教養を感じさせる美しい元アーミッシュの青年ジーンとの同居生活は、ゲイであるトレヴァーに羨望と穏やかな幸せをもたらすが……。大ヒット作『ラムスプリンガの情景』へとつながる、もう一つの愛の物語。
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80年代のアメリカを舞台に、アーミッシュの青年・テオと男娼のオズの純愛を描いた名作『ラムスプリンガの情景』(心交社)のスピンオフ作品。
テオたちより年上で、ラムスプリンガ(アーミッシュになるか俗世で生きるかを選ぶためのモラトリアム期間)を経て、外の世界で生きることを選択した19歳の青年・ジーンと、NYで働く34歳の弁護士・トレヴァーが主人公です。
物語の始まりは1992年夏のNY。50代になったトレヴァーのもとに16歳の甥・ジーン(同名の別人だなんて意味深…!)がやって来て、トレヴァーの手記を見つけたのをきっかけに、1973年の冬に出会った2人の馴れ初めが紐解かれていきます。
俗世間のことをほとんど何も知らない無垢なジーンと、優秀な弁護士として活躍しながらもゲイであるがゆえに他人に心を開くことが出来なかったトレヴァーとの交流や、恋が育っていく過程が優しく丁寧に描かれていて、心が温かいもので満たされていく――初めて聞くカーペンターズの歌声に夢中になってしまうジーン、真面目すぎていつも一言多いトレヴァーなど、何気ないけれど幸せな描写はBL界屈指のストーリーテラー・吾妻香夜先生だからこそ。『ラムスプリンガ』で味わった、あの多幸感を再び味わうことができます。
そんな温かで細やかな描写を積み重ねて辿り着いたクライマックス、ジーンが信仰にも似たトレヴァーへの愛を告白する一幕は涙なしには読めません。そして、告白に続くベッドシーンはエッチでかわいくて、純粋な愛に満ちていて、エロいのに泣ける……!
1992年の世界ではジーンは未登場。今はどこにいて何をしているのか、トレヴァーとの関係はどうなっているのか。早く!続刊が!読みたくてたまりません!!
感情タグBEST3
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圧倒的な
この作品のコメントをするには自分の語彙力が圧倒的に足りない。身体と心理社会、スピリチュアルな部分ふくめて「人間」が丁寧にダイナミックに描かれている。
絡みの部分も本当に良かった。
トレヴァーのじゃばじゃば溢れ出る欲情(と愛)と、ジーンのどうしたらいいか分からない感じが肉体と表情ですごく写実的に表現されていて、色っぽくて切なくて魅力的で、ふたりの感情があふれて紙面が濡れるかと思った。
特にトレヴァーが脱いだときの表情が、、、たまらない。。(自分もしたくなってしまった)
いま、ふたりが幸せでありますように。切に切に願ってます。どなたかがレビューで書かれてましたが、続巻出るまで生きます…!
匿名
普段の自分では選ばないような舞台や絵柄の作品だけど、レビューの評価が高すぎて手を出しました。
本当に出会えてよかった…
まじで泣く、2人の出会いは偶然じゃなくて必然なんだ
甥のジーンも、姪のジーンもよくやった!!!
離れてた間の2人が何してたか、再会後は描かれてないけど、読者に委ねる感じがこの作品は心地いい。
やっぱり1巻が好き
カモメで吾妻ワールドにハマり、ラムスプリンガ→ジーンを一気読みした所です。
2巻の感想は2巻に書きますが、やっぱり1巻が好き。
甥っ子のジーン君が手記を広げるところから過去の物語が始まるの素敵すぎる。
喧嘩した後トレヴァーが贈り物の植物と一緒にお手紙を書いて、それを読んだジーンが満点の笑顔で迎えてくれるシーンが大好きです。
この頃の2人が1番好きなのさ。
忘れられない物語
1巻を読み終えた時、タイトルの「親愛なるジーンへ」がより一層意味深く感じられました。
物語がすすむにつれてトレヴァーとジーンの穏やかな日常に癒される反面、何故ジーンがいないのか。
甥がジーンと同じ名前なのはどうしてなのか考えるほどとても切なくなります。
前作のラムスプリンガの憧憬に続きとても美しい物語で生涯忘れることの出来ない作品になると思います。
2巻も楽しみです。
正直ここまで感動するとは
思っていませんでした。星の数が多かったので好奇心で購入し、読み進めるうちにこれは普通のBLではないなと···。1回目読了し、またすぐ冒頭から読み直し、そしてあの部屋の現在の状況の場面になり初めて涙がどっと出てきました。ジーンはどうしちゃったの?甥っ子の名前もジーンなのはどうして?トレヴァーは何故まるで回想録のような日記を残しているの?二人は確かに愛し合っていたよね?とグルグルと頭で考えてしまいました。2巻以降に解決することを切に切に望みます!
素晴らしい!!
BLという枠に収まらないような良質の洋画を見たような気になる作品です。主人公の甥が主人公の愛したジーンとの出会いから愛し合うようになる日記を見たことからその内容が描かれますが、心の繊細な動きややりとりが素晴らしく心をもっていかれました。もう号泣です。ただ今こそにジーンがいないというのが何があったのかものすごく続きがきになります。続刊を楽しみに絶対購入したいと思います。
とても素敵な作品
吾妻さんの作品は、時代背景や宗教への考察が深いのは勿論、心にじんわり染みわたり読み終えた後も何度も何度も読み返したくなるものばかり。(モブも桜田先輩も含めて…?笑)
今回の作品も、 これはまだ1なんだ…と思うくらい、ラストで泣いてしまいました。続きが気になって仕方ありません。
とても良かったです
ごめんなさい 個人的に絵はちょっと苦手なんですが、ストーリーはもの凄く良いです。最初に現在が描かれ そこから過去のストーリーが始まるのですが、現在にジーンの姿が無いことが気掛かりです。何巻まで続くのか分かりませんが、ハッピーエンドでありますように…!