あらすじ
「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!(解説・西山奈々子)
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Posted by ブクログ
高評価と短さに惹かれて購入
短編ながら非常に面白かったです。
登場人物ほぼ全てが一見立派で良い人ですが、裏に何かしら歪な心を持っています。
水谷は頼りになる部長ですが殺人犯です。
未帆子は美しい演者ですが貞操観念は壊れています。
水谷の親戚の人々は普段優しいですが、孤独な子供を引き取ることはしません。
もちろん環境的な要因はあるでしょう。大人の女性に裏切られた水谷が貞操観念が壊れていない少女に救いを求めるのも、
金のために風俗で働く事になった未帆子が知り合いだろうが誰とでも関係を持つ事に無頓着になるのも、良いか悪いかはさておき、わからなくはないです。
ルビンの壺は見方によって壺であったりヒトに見えたりする騙し絵のことですが
このタイトルの「割れた」が良いと感じました。何かを知って壺が割れることで、二人の関係も壊れてしまうという暗示のようでとても面白いと思いました。
構成としては水谷と未帆子の二人のメールのやり取りで、互いが当時の事を話すことで答え合わせをするのですが、本作はこの二人しかいないのです。
なので他の登場人物は全て二人の回想、すなわち主観と想像だけで出来ています。
宮脇くんも最初は聖人の様に描かれますが、あくまで「水谷にとって」であり他の人にはどう見えていたかはわかりません。
優子の件にしても日記は事実なのか主観なのかわかりませんし、優子と叔父さんの結婚観の違いも「早く大人に成りたい」と「まだ子供でいてほしい」の対立にも思えますし、そうなると叔父さんに実子がいないのも意味深に思えてきます。
短編なので展開が駆け足ではありますが、短いなかでこれだけの事をやってのけるのも、読み進めるうちに変なことは言ってないはずなのに何かわからないイヤな感じを漂わせる文章も凄いと思いました。
匿名
二転三転
最初は今に絶望し、遠い昔の元カノに執着する哀れなおじさんと隠し事をしていた元カノの不思議なメールのやりとりだったのが、後半にかけて二転三転し印象が全く変わったのは面白かった。
匿名
考えさせられた
世間にはいろんな犯罪があり、
人は生きていれば色んな経験をする。
彼は自分の犯罪を薄めようとしたのだろう。
周りにはこんなに嘘をつく人がたくさんいて
自分はそれに翻弄されたんだと。
だから我を失っただけで、自分が犯したことなんて本性でもないし、大したことない。
むしろ自分は被害者なんだと。
そんなの認められるわけない。
あなたが犯した罪は1ミリも薄まらないし、消えない。
大どんでん返しと言うには少し違うかな。
命尽きる前の悪あがきと言ったところ。
Posted by ブクログ
読み始めてしばらくは往復書簡系の恋愛小説か?と思っていましたが、時折不穏な表現(男性が女性の住所とか本名聞こうとしたり)があり、ミステリーか?でも事件起きてないし、何だろう、何だろうと読んでいくうちに、あっ、もう事件起きてた…犯人からコンタクトがあったからそれを利用して証拠集めようとしてたんだ…と分かり、あぁ…恐ろしいとなりました。SNSで昔の恋人と再会なんて今時だなぁ…とほっこりしてた序盤の感想が吹っ飛びました。罪の自覚がない人の物事の捉え方ってこういう感じなのかなと考えました。
Posted by ブクログ
28年ぶりに連絡をとった元恋人同士のメールのやり取り
登場人物のほとんどが変わり者。
水谷の一方的なメッセージから始まり、美帆子の返信から少しずつ物語が動き出す。
伏線こそ少ないが、徐々に分かってくる水谷の異常さや、最後の美帆子のメールの衝撃、恐怖を感じる最後の一行など、尻上がりに展開が大きく動く構成。
内容が内容なので万人にお勧めできる訳ではないが、ゾクゾクした読書体験を味わいたいなら読んでみる価値はある。
Posted by ブクログ
Facebookを通してかつての恋人を見つけ、メッセージのやりとりをしながら学生時代の思い出を紡ぎいで行く恋愛物語、、と途中まで思っていました。
最後の方に一馬が殺人鬼へと様変わり。
一馬が人殺しを好むような描写が特になかったので、伏線回収を楽しむものではなかったなぁ、と思いながら読み終えました。
しかし、よく思い返してみると、メッセージの最後に住所を聞いたり、本名を聞いたりしていたんですよね。読んでいる最中は「なんか粘着質な人だな」としか思っていなかったけど、本気で探していたなんて。そして探し出してどうするかはもう明白。
未帆子が最初からその問いかけに対して取り合っていなかったのが伏線だったのかも。
未帆子の文章には「無期懲役のところ、態度が良かったために仮釈放された」というような記載もあることから、刑務所の中で恨みを募らせながら、早く復讐を果たせるように模範囚を”演じて”きたのだろうことがよく分かりました。
きっと優子も同じ手口で殺られたのだろうな。
『かつての恋人とのメッセージ』から『復讐を果たす殺人鬼からのメッセージ』へと変わる面白い小説でした。
にしても優子と未帆子、揃いも揃ってふしだら過ぎないか???
というか、最後の方で全員まともではなかったことが分かる。
…なんか一馬がまともに思えてきたぞ。不思議だな
Posted by ブクログ
短くてサクッと読める。
メッセージのやりとりの形式で話が進んでいく、というか少しずつ色々なことが明かされていく。
最後は衝撃的な終わり方ではあるけど、どんでん返しというか、そういうことだったのね、という感じ。
読んでいる時の気持ち悪さの理由が明かされるという感じか。
読んだ後に、時系列に整理してみたくなったり、それぞれのメッセージを読み返してみたくなったりする仕掛けは多い。
Posted by ブクログ
男女のfacebookのDMのやり取りで話が進む。主人公の男性は、同じ大学の後輩の女性と付き合っていたが、卒業し結婚式当日に彼女が結婚式場に現れず行方をくらまし、その後30年そのことに囚われ暗い人生を送る。そのもと婚約相手の女性をfacebookで30年ぶりに見つけ、DMを送る。
主人公の男性目線で話が進む。徐々に明らかになっていく真実。3度ほど驚く。人間には裏がある。ルビンの壺の絵のように、片側に囚われ真実を客観的に見ていないことがある。
話は変わり、この手の小説を読むと、人は誰しも大なり小なり、一般的なりアブノーマルなりの性癖や欲求をもつが、自分がたまたま持って生まれた欲求が満たすためには犯罪に繋がってしまうという人は生きるのが大変だろうな。それは生まれつきか育った環境か、何で決まってしまうんだろう。自分が望んで手にしたものではないのに。自分がそっち側だったら、どうやって生きていけばいいんだろう。大変だよなあ
Posted by ブクログ
メッセージを重ねた先に見えた変質性___
結婚式で逃げた未帆子と、未帆子に執着する一馬
お互いに奇妙な点があるが、読み進めていく途中に未帆子が悪かったのか?と思う要素もあった。
だが、一馬は未帆子の風俗勤務を知っているのに、知らんふりをしていたのが奇妙だった。
また、一馬は過去に犯した犯罪について極端な他責をする。今回未帆子にメッセージをした理由も、メッセージを通して未帆子に謝罪をもらうことで、自分の罪は未帆子のせいだと逃れたかった。がんで死ぬ前に、心を軽くしたかったんだと思う。
人間の愚かさや執着心が表された作品だと思った。
Posted by ブクログ
前評判が高く、期待しながら読んでいた。
相互にメッセージを送り合い、懐かしい昔話が徐々に不穏な感じになって行く展開は読んでいてワクワクしてしまった。
未帆子か一馬、どちらが悪なのか?楽しみにしながら読み進め、途中一馬の表現に気になる点が多くなり、こちらが何らかの問題を起こしているのだと徐々に明確になってくる。一馬が犯した犯罪がやや唐突に出てきた感は否めないが満足度の高い作品であり、次作も読んでみたい作家さんである。
最後の担当編集者の付記の内容が非常に共感できる内容であった。
匿名
読みやすい
全文男女のメッセージのみで構成された小説のため非常に読みやすいです。
そしてメッセージを繰り返していく中で、目まぐるしく登場人物の印象が変化していくのについていけず、いつの間にか小説が終わっていて唖然としました。
Posted by ブクログ
最後の1文はかなり痺れた。
こういう文通形式の本は初めてで面白かった。
最初から水谷の気持ち悪さはなんとなくあったけど
(女を見下して自分を肯定している感じ)
時代的なものなのかと受け入れつつ読んでいくと
次々と衝撃な事実が浮かび上がってきて、
読み進めていく度に不気味な気分になった。
残り数ページになった所で、未帆子の真実が分かっていくのね〜と油断していたらラストは予想外の展開で驚いた。
Posted by ブクログ
読み終わって、なんか違う意味でゾッとしました笑
タイトルのように読めば読むほどこの本に出てくる人物の見方が変わるので、その部分で本の面白さを楽しむことができてよかったです!
あと150ページほどで読むことができ、すごく読みやすい本でした
Posted by ブクログ
前評判や帯の煽り文句で期待値が上がりすぎた気がする。
どんでん返しってこういうものなの?という疑問が浮かんだ。別に最後まで読んだ後にひっくり返る要素はそんなにないように思う(一度しか読んでないので私の見落としかもしれないが)
短い話なので、気軽に読めばもっと楽しめたのかもしれないが、
「日本一の大どんでん返し」(帯参照)
とか言われると、全然そんなことはないだろ、という思いが勝ってしまう。
辻村深月さんの冷たい校舎とかの方が全然どんでん返し感が強い。
前編メール文だけでやり取りする感じや、演劇部時代の話など、雰囲気はミステリアスで良かったと思う。