あらすじ
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
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Posted by ブクログ
今まで読んだミステリーの中で上位に匹敵する面白さ。
ラストの真賀田四季と犀川先生との会話。予想のつくオチではあったものの、私の願うオチであったので大満足。犀川先生の「四季にしてやられた」感が最高に良かった。多分、犀川先生も真賀田四季系の天才の素質がある感じがとても良い。また出会って欲しいと思ってしまう。
Posted by ブクログ
理系ミステリの金字塔として語られることの多い本作。
ミステリというジャンルとは裏腹に登場人物たちは厨二チックな設定モリモリのキャラばかり。
そんな天才たちが本シリーズ通してのキーパーソン「真賀田四季」に迫っていく物語。
正直オチの部分より印象に残っているのは「睡眠」について語られる部分。
「生物は意識のない状態」つまりは「眠っている状態」「死んでいる状態」こそがベースであり、だからこそ人間は目醒めるときに不快感を感じるのだ、という話。
生物学の世界で「生物とは寝ている状態こそが標準の姿であり、起きている状態がイレギュラーな姿の可能性がある」という議論がされ始めたのは2020年代に入ってからだったが、なんとこの本、1996年に書かれた本なのである。
このような森博嗣先生の先見の名はつくづく感心させられる。他にも先生自身の思想と思われる内容が登場人物たちの会話や地の文に多く登場しており、ミステリの部分以外の大きな魅力となっている。
S&Mシリーズは全て読んだが、正直ミステリ部分の展開、衝撃は本作がずば抜けている。
しかし、登場人物たちを通して先生の言葉に触れるという目的だけでも、シリーズ10冊全て読んでみてほしいと思う。
それほど興味深く考えさせられる問いかけ、思想が多かった。
娘に勧められて
娘に勧められて、読んでみることに…
現代もののミステリーは久しぶりだったので、付いて行けるか不安でしたが、すぐに杞憂に。
文章も好みだし、登場人物も魅力的。一気に読めました。
20世紀の終わりごろって、まだ携帯電話もインターネットも一般人にはそれほど馴染みのあるものではなかったなとか、出どころの不明なフロッピーを無暗に共用のパソコンに突っ込むなとか、WSとか懐かしさを感じるものがいろいろと…
中華航空機墜落事故って、この小説が書かれた少し前だったな、とかも。
シリーズもののようで、楽しみです。
Posted by ブクログ
良くミステリィには「天才」と呼ばれるキャラクターがしばし登場する。しかしそれこそ難しい計算ができるだとか、なぜか全てが見透かされているなどといった、一般人にわかりやすい「天才像」から逸脱するような天才ではなかったなと思う。
彼女の思考は天才すぎた。
あまりにも。凡人の自分には理解できなかった。
子どもが居る私には信じられない。
自由って何だろう。
お友だちがオススメしてくれて、そのお友だちは何日も何日も考えて推理してキチンと答えを導き出せたらしいです。すごい。私には14歳に発情する既婚者キメェとか名前も無く外の世界も知らず人形として死んでいった子が余りにも哀れで悲しくてもうFだのなんだのどうでもいいわとなるなどしてた文系です。でも面白かった。確かにこの作品を読んだら理系ミステリーハマるわ!と思います。
Posted by ブクログ
すべてがFになる、、、タイトルの意味がものすごちすごい綺麗に回収されていてよかった!
まさか時限爆弾の発火タイミングだとは思わなかったけど、読み終わるともうそれ以外考えられない!
けど入れ替わりトリックはそんなわからないことあるか?って思ってしまった。
20後半と14歳の少女は流石に見間違えないでしょw当時のカメラの荒さとかを加味してるのかな?
Posted by ブクログ
情報工学や数学の部分は話が難しかった。
天才と謳われている真賀田四季や、新藤所長の考え方が意味わからなすぎてあまり感情移入できなかった。
まず、叔父でありながら14才の四季を妊娠させてしまう新藤所長がキモすぎる。
その流れで両親にナイフを向ける四季の気持ちもよく分からないし、そのナイフで両親を刺させる所長もまたまたよく分からない。
あとヘリで到着したとき四季に刺されたけど、最後の力を振り絞って四季に協力して演技する理由が本当に分からない。ナイフで刺されてるのに。
最後の四季のセリフで印象に残っているものがある。
生きていることはそれ自体が病気、意識がないのが正常、覚醒は本能的に不快なもの、
誕生だって同じこと。生まれてくる赤ちゃんって、だから、みんな泣いているのですね。
生まれてくる赤ちゃんの産声を、誕生するのが嫌だったから泣いている、と捉えている価値観に衝撃を受けた。
考察にも書いてあったが、森博嗣の小説は常識に捉われず客観的に物事を捉えており、読者に委ねている的なことが書かれていたが、まさにこの部分のことを言っているのではないかと思った。
Posted by ブクログ
真賀田女史が妊娠していたたいうトリックはとてもおもしろかった。
正常に振る舞っているように見えるプログラムがある日ウイルスの振る舞いを表出するというトロイの木馬の例えが、レッドマジックが稼働時からシステムが暴走する時限爆弾が仕込まれていたことと、真賀田女史が妊娠していたことの2つにかかっていて、伏線の回収の仕方がうまいと思った。
しきりに描写されていたおもちゃのブロックが、子どもがいることを指し示していたとは気が付かなった。
ただ、筆者の書き方のためか自分の想像力の無さのためか分からないが、建物の構造を想像するのが難しい場面がいくつかあった。
例えば真賀田女史の部屋に入って捜査する場面で、今どの部屋に誰がいるのか、部屋のどこに何があるか分からず何度か読み返してしまった。
また、登場人物の人物像も自分の中でキャラクタ付けるのが難しかった。
島田さんは遺体の乗ったロボットが真賀田女史の部屋から出た時に気を失うほどショックを受けていた割に、次の日には萌絵と備中さんと晩酌を交わしていてどういう心情の変化なのかついていけなかった。
そういったところが読み進めるときのひっかかりになってしまい、すらすら読み進められずもどかしく感じた。