【感想・ネタバレ】バクちゃん 2のレビュー

主人公は生まれ故郷の「バク星」で「夢」を食べられなくなり、地球に住むおじさんを訪ねてやってきたバクの男の子・バクちゃん。この世界において、バク星と地球は友好条約を結び、観光や労働市場での活発な交流が期待されています。しかし、「バク星の人々は夢を食べる」という情報が一部の地球人に不安を与え、なかには「バク星の人々は危険な民族なのではないか?」と懸念する地球人もいました。バクちゃんは地球での永住権の取得を目指しますが、その工程は一筋縄ではいかず、バクちゃんは銀行口座やケータイを入手することすらなかなかできません。自治体の仕事探しの窓口を訪ねますが、そもそも故郷でも仕事をしたことがないので、何ができるか自分でもよくわかりません。

バクちゃん以外の移民たちもまた、テロや資源枯渇、環境汚染など、故郷にさまざまな事情を抱えて地球にやってきます。しかし、地球で生まれた人間なら当たり前に受けられる社会保障や、就職の機会なども、移民というだけでハードルが上がります。そしてそうしたハンディキャップ以上に、見知らぬ土地で生きるしか道がないことにどうしようもない寄る辺なさを移民の人々は抱えているということが、作品を通して伝わってきます。

『バクちゃん』という作品の世界の中で「移民」が抱えている苦労や、その孤独感は現実にも既に存在しているのだ、という気持ちで作品を読んでいくと、今までよく見えていなかっただけで多くの問題が自分たちのごく近くにあったことに気づくはず。

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Posted by ブクログ

p.200〜で涙腺決壊。
こんな感想じゃ生温い、っていうくらいの現実があるのは十分わかっているけれど。
私の知人の姿にあまりにも重なるので、読んでいて本当に胸が痛い。

日本はまだ「移民」を認めていない。「外国人労働者」「技能実習生」という特殊枠に括っている。彼らの人権が蔑ろにされていることに対する、目眩しとして。既にそれが国際社会からの批判の的になっているけれど、「日本に移民はいない」という詭弁でその批判をのらりくらりとかわし続けている。
ポピュリストは、移民を「自分たちの権利を奪う泥棒」と名指しして、「既得権」の危機だという庶民の意識を煽るけれど、本当の意味で庶民の生存権や普通の暮らしを奪っているのは、当のポピュリストだということは決して明かさないような詐術を使っている。
考えることをやめてはいけない、と心から思う。
でも、いきなり氷水に浸かることは難しいから、こういうソフトな入り口からたくさんの人が関心を持ち始めてくれれば、と願わずにはいられない。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

東京での移民の生活を戯画的に描いていて、普段なかなか深く関わる機会のない世界について想像するきっかけになる。

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2021年09月06日

Q

購入済み

ほんわか

全編ほんわかムード。始まりは「好きじゃないかも」と思ったけど、
色々な星からの移民設定で、出身地の事情言語能力...と深い設定で考えさせられる良いお話。

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2021年09月05日

購入済み

涙で

目の前が見えない!!

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2021年05月23日

Posted by ブクログ

やさしい絵柄で、あたたかいタッチで描かれる、ままならないことたち。
地球にやってきたバクちゃんとその周りの人たちのお話。

本当に買ってよかった、読んでよかった、ひとりでも多くの人が読んでくれればと心から思っています。

バクちゃんは人や生き物のの夢を食べることができます。
同じく地球にやってきた移民の仕事(庭の剪定)を手伝う際に、草の夢を吸うことで草を枯らすことに成功します。でも、故郷で夢はとても大切なもの。自分が地球で役に立つためにできることが、草から夢を奪い枯らせることなのかと涙を流します。
それを見ていた庭の持ち主は迷惑そうに「訳がわからないわ、外国人って」「働かずにすぐに泣いたりして」それを聞いた仕事のオーナーがこう言います。

「私が埋め合わせしますのでご批判は無用 それに
誰かが泣くのは外国人だからじゃない 
人間だから泣くんだ」

小さな場面を丁寧に取り上げて、同じ人間だと叫んでいる。
私が日頃見て見ぬ振りをしている場面がそこここにある。
私が気付けもしないような現実が日常が溢れている。
ままならない。
それでも、この漫画が、バクちゃんが、トニーが、ダイフクが、ホルヘがくれたものを心において、この国で生きていく。すぐに全ての問題が解決するなんて簡単なことではもちろんない、それでも知ることがその第一歩だから。

もっともっと増村先生の目で見る世界を読んでいたかったな。

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2022年01月27日

購入済み

移民

移民としてコールセンターで働いたり
そのコールセンターの中にも日本人がいる一方で、言語に不自由する妻持ちの移民がいたり
移民である現状を「選択肢がなかった」と言う人がいたり
好きで移民をする人がいたり
この作品をどう評価するかで言えば「啓蒙」であるんだなと思った
現代日本と全然違う世界観については「日本人の読者を意味わからん世界でぶっ叩く為」なので
そこが許容できれば心に刺さる作品になるかと
自分自身が恵まれてるんだなってあらためて思えるってのも変な話だが、そう感じざるをえない作品

#タメになる #怖い

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2021年12月30日

Posted by ブクログ

移民を宇宙人まで拡大解釈した「すこし不思議、すこしリアル」なお話。2巻で終わりなのは残念。
都市雄のエピソードにはアリス的な演出が。たぶん都市雄は一般的な都市生活者が写し取られていて、街にいる外国人を認識はしているものの、彼ら自身の背景などにはほとんどの人が興味を持っていない、ということを都市雄を通して感じた。
ホルヘのエピソード、シロサイ夫婦のエピソードは無念さでちょっと泣いてしまった。外国人の就労契約、言葉がわからないことによるハンデや疎外感(あれはそもそも連絡の不備?)について想いを廻らした。
ダオさんもジャスミン先生のお母さんなど、他のエピソードも好き。

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2021年07月19日

Posted by ブクログ

えー。
嘘ついちゃだめだよー。完璧じゃないよー。
えー。これこの後どうなるの??ばれるよー。
と、ドキドキしてたけど、その後は書かれず…打ち切りだからか。うわーん。

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2021年01月26日

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