【感想・ネタバレ】バクちゃん 1のレビュー

主人公は生まれ故郷の「バク星」で「夢」を食べられなくなり、地球に住むおじさんを訪ねてやってきたバクの男の子・バクちゃん。この世界において、バク星と地球は友好条約を結び、観光や労働市場での活発な交流が期待されています。しかし、「バク星の人々は夢を食べる」という情報が一部の地球人に不安を与え、なかには「バク星の人々は危険な民族なのではないか?」と懸念する地球人もいました。バクちゃんは地球での永住権の取得を目指しますが、その工程は一筋縄ではいかず、バクちゃんは銀行口座やケータイを入手することすらなかなかできません。自治体の仕事探しの窓口を訪ねますが、そもそも故郷でも仕事をしたことがないので、何ができるか自分でもよくわかりません。

バクちゃん以外の移民たちもまた、テロや資源枯渇、環境汚染など、故郷にさまざまな事情を抱えて地球にやってきます。しかし、地球で生まれた人間なら当たり前に受けられる社会保障や、就職の機会なども、移民というだけでハードルが上がります。そしてそうしたハンディキャップ以上に、見知らぬ土地で生きるしか道がないことにどうしようもない寄る辺なさを移民の人々は抱えているということが、作品を通して伝わってきます。

『バクちゃん』という作品の世界の中で「移民」が抱えている苦労や、その孤独感は現実にも既に存在しているのだ、という気持ちで作品を読んでいくと、今までよく見えていなかっただけで多くの問題が自分たちのごく近くにあったことに気づくはず。

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Posted by ブクログ 2021年09月04日

 バク星から移民として地球にやってきたバクちゃんが、その周囲の地球人、同じ異星人の移民、地球生まれの異星人の皆んなと一緒に過ごすお話。

 可愛らしい絵柄ですが、実際の移民の問題や外国人の扱われ方などの社会問題をテーマに扱っているような雰囲気がします。
 
 また、いい人もいれば嫌な人もいたりします...続きを読むし、優しすぎる人が損をしていたりもします。
 そういう少しリアルな現実も描かれることで、より優しさが際立って見えました。

 バクちゃん可愛いよぉ。

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Posted by ブクログ 2020年09月16日

仕事で地方に放り出された時、今まで簡単に手に入った物が手に入らなくなりました。仕事も分からず、助けてもらえる人もおらず、知り合いもいない状況…色々な側面から追い詰められました。

主人公のバクちゃんは、住んでいる星で満足な生活がおくれなくなったので、仕方なく、でも、希望を持って地球にやってきます。言...続きを読む葉、文化、姿さえも見慣れない場所で暮らすことになるわけですから、いくら前向きなバクちゃんでも、とても大変なことだと思ってしまいます。

「これは現在282万人の外国人が暮らす、日本の「みんな」の物語。」
そんな帯を付いていて、つい手に取りました。

今は違う地方に住んでいますが、大変だった頃の僕を救ってくれたのは、先人の知恵と時間、そして、そこに暮らす人たちの優しさでした。大変だった頃の自分を思い出し、ほんの少しでも優しい気持ちでい続けなければ、そんなことを考えています。

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Posted by ブクログ 2020年05月21日

ファンタジーのような優しいタッチで引き込みつつ、異質の理解と寛容の精神を問う鋭い視点に泣いてしまいました。温かいのに、哀しみが覆っている姿をこんな風に描くのか!とその表現力に脱帽しました。同時代に生きて作品を読めることがとても嬉しいです。2巻も楽しみしています。

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購入済み

違和感の理由がわかった時の衝撃

2021年12月30日

テーマは「移民の辛さ」。
最初はなんじゃこりゃ?だったけどその「なんじゃこりゃ?」は現代日本人に自然に文化ギャップを投げつけるステップでして
本題は銀行口座開設とかの移民用書類系作業や現地2世と短期ビザ者の格差

#タメになる

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Posted by ブクログ 2020年05月18日

夢が枯れてしまった故郷の星から一人きりで地球にやってきたバクちゃん。
地球は、バクちゃんと同じように様々な理由で様々な星からやってきた異星人の移民たちが珍しくない世界になっていますが、彼らが住まいと仕事を見つけ、口座を作り、ましてや永住権を得るのは並大抵のことではありません。

可愛らしいバクちゃん...続きを読むのキャラクターでほのぼのした雰囲気の中に、現代日本にもそのまま当てはまる移民問題のハードさが潜んでいます。

故郷の星が戦争で失くなってしまったサリーさん、27年も地球で働いて、子供たちを育て上げたけれど、「27年いて地球は好き?」と聞かれ、少し考えたのちの答えは「ノーチョイス(選択肢ないよ)」。
胸が詰まりました。

とは言っても物語全体のトーンは決して重くなく、バクちゃんを助けてくれる地球人のハナちゃんや、人間に擬態して暮らしているおじさんやバク星の仲間たち。一人きりでやってきたバクちゃんが、少しずつ新しい世界と繋がっていく様子を、この後もずっと見ていきたいと思いました。

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購入済み

2021年10月01日

序盤の入国審査のシーンは大好きだけど、東京についてからはそこまで好きだってなる場面はなかった。でも買ってよかった。

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