【感想・ネタバレ】バクちゃん 1のレビュー

主人公は生まれ故郷の「バク星」で「夢」を食べられなくなり、地球に住むおじさんを訪ねてやってきたバクの男の子・バクちゃん。この世界において、バク星と地球は友好条約を結び、観光や労働市場での活発な交流が期待されています。しかし、「バク星の人々は夢を食べる」という情報が一部の地球人に不安を与え、なかには「バク星の人々は危険な民族なのではないか?」と懸念する地球人もいました。バクちゃんは地球での永住権の取得を目指しますが、その工程は一筋縄ではいかず、バクちゃんは銀行口座やケータイを入手することすらなかなかできません。自治体の仕事探しの窓口を訪ねますが、そもそも故郷でも仕事をしたことがないので、何ができるか自分でもよくわかりません。

バクちゃん以外の移民たちもまた、テロや資源枯渇、環境汚染など、故郷にさまざまな事情を抱えて地球にやってきます。しかし、地球で生まれた人間なら当たり前に受けられる社会保障や、就職の機会なども、移民というだけでハードルが上がります。そしてそうしたハンディキャップ以上に、見知らぬ土地で生きるしか道がないことにどうしようもない寄る辺なさを移民の人々は抱えているということが、作品を通して伝わってきます。

『バクちゃん』という作品の世界の中で「移民」が抱えている苦労や、その孤独感は現実にも既に存在しているのだ、という気持ちで作品を読んでいくと、今までよく見えていなかっただけで多くの問題が自分たちのごく近くにあったことに気づくはず。

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