あらすじ
厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出していた柏原野々。その父も亡くなり、四十九日の法要を迎えようとしていたころ、生前の父と関係があったという女性から連絡が入り……。
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Posted by ブクログ
厳格なお父さんが亡くなって、不倫が発覚。お父さんは本当はどういう人だったのか、お父さんの実家・新潟にある島まで3人兄妹で旅に出たりする。あったかい穏やかな気持ちになる家族の物語。
身近な感じのする長女、なんだかんだで頼りになる長男、可愛い妹...登場人物がみんな楽しくて好きで、森絵都さんのお話やっぱり大好き。
物語の中の日常の風景がそこにあるような感じ、兄妹たちの会話もおもしろいし、綺麗な風景の描写もスーッと目の前に広がるようで、読むと心が晴れる。
『イカが好きでも嫌いでも、人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。』(201p.)
イカリング、イカめし、イカカレーどれも食べたい!
Posted by ブクログ
家族であってもそれぞれが色んな感情を持っていて様々な形があると感じた。
自分の親のルーツを知ることで何か分かるかもしれないって思う気持ちに同感した。
私の親は離婚していて、父の顔をよく覚えていない。この作品では、父と娘が互いに理解し合えないまま、父は亡くなった。その後父の故郷を訪れてルーツを辿っていた。
細かい状況は違うものの、私も自分の父の故郷に行ってみたい。勇気はまだ出ていないが、自分の父親がどんな環境で育ったのかには興味がある。
この作品を読んで、自分の父親について考えるきっかけになったし、今一緒に暮らしている家族をもっと大事にしたいと思った。
Posted by ブクログ
【2025年155冊目】
ストイックな父が死んだ。一周忌について話し合うため集まった、兄と私と妹の三人兄妹は、母親が以前の溌剌とした様子とは打って変わって病院通いばかりしていることを知る。原因はどうやら生前の父の浮気にあるようで――厳格な父は何を隠して逝ったのか。ルーツを探りながら自らの人生に向き合い始める物語。
森絵都さんにしては、結構生々しいお話でした。いい意味です。完璧主義者に見えていた父親に育てられ、反発するように家を出ていった兄と私。唯一従順だった妹も、父親の過去を知ってショックを受けるものの、本当の父親の姿を知るため調査を始めるのですが、単に父親のルーツを追うだけでなく、主人公の私を通した登場人物たちの心情にも触れている物語だったところが良かったです。
死んだ人の話よりも、生きている人の話の方が楽しいみたいな一文もありましたが、死んだ人をきっかけに、物事が加速していくのも悪くはないなぁなんて思ったりしました(もちろんポジディブな意味で)
大事に捉えていたことが蓋を開けてみれば存外大したことがなかったりして。とっても人生だなぁなんて思いました。