あらすじ
万葉集の歌の数々が味わえる!新シリーズ。
日本橋の伊勢屋で奉公する助松には、父親の大五郎がいた。しかし、一年半前に伊勢屋の仕事で富山に出かけたまま、行方不明になっていた。父は、助松に日記を残していた。このことは決して他人に話さないように言われた。日記には和歌らしきものがいくつも書かれている。
伊勢屋の一人娘しづ子は助松より六歳上で、和歌が好きで賀茂真淵に学んでいた。そして、店の大切な客人である占い師の葛木多陽人も和歌に造詣が深かった。多陽人は京都生まれの京都育ちで、回りがぽかんと見惚れてしまう程の美男子だった。
助松は、二人に事情を知らせずに日記に記された歌の意味を少しずつ、教わっていた。
ある日、体調を崩した大友主税という若い侍を助けたことがきっかけで、しづ子に和歌を学びに主税が訪れるようになった。しかし、主税がしづ子に近づいたのは別の理由があったのだった。
その後、しづ子は密かに姿をくらましてしまう。
大五郎としづ子の失踪には、関連があったのだ。
日記に記された和歌の数々には、どんな意味があったのか。
一連の謎は解き明かされるのか――。
万葉集の和歌が面白さが判る、新シリーズ!
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Posted by ブクログ
この作家「篠綾子」さんの本との初めての出会いは、
何年か前に一度読んだ『代筆屋おいちシリーズ』の1巻と2巻。
ところがその時はさほど面白さがわからなかったので
感銘を受けるまではいかなかった。
ところが最近『江戸菓舗照月堂シリーズ』を全巻読んでから
というもの、普通の物語に、和歌が混じる文章も
違和感なく読むことに慣れると、
再び『代筆屋おいちシリーズ』を1巻から4巻全巻を再読。
江戸菓子舗シリーズのホッとするような優しい物語に
癒されたせいか、今回はストンと胸に落ちた。
そして新シリーズ!
『万葉集歌解き譚シリーズ第1巻からころも』を読む。
今回の新シリーズは、物語の中の和歌も実にしっくり馴染んでいて、違和感がないどころか、素敵な雰囲気を醸し出している。
その上、スリリングなミステリーも含まれていて、
登場人物にも好感が持てる。
第1巻から、何やら良い予感がする。
1971年生まれ。東京学芸大卒
『春の夜の夢の如く〜新平家公達草子』で、デビュー
『月蝕 有原業平歌解き譚』
『青山に在り』
『更紗屋おりん雛形帖シリーズ』
『江戸菓子舗照月堂シリーズ』
『絵草紙屋万葉堂シリーズ』
『代筆屋おいちシリーズ』など
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