あらすじ
巨大書庫・仙文閣(せんぶんかく)。そこに干渉した王朝は程なく滅びるという伝説の場所。
帝国・春(しゅん)の少女、文杏(ぶんきょう)は、一冊の本をそこに届けるべく必死だった。
危険思想の持主として粛清された恩師が遺した、唯一の書物。
けれど仙文閣の典書(司書)だという黒髪碧眼の青年・徐麗考(じょれいこう)に、
蔵書になったとしても、本が永遠に残るわけではないと言われ、
心配のあまり仙文閣に住み込むことに……。
少女小説の手練、三川みりが贈る、
命がけで本を護る少女と天才司書青年の新感覚中華ファンタジー!
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Posted by ブクログ
本を守りたい主人公のまっすぐなところが好ましい。そして周りの人からの支えがあって己が立っていると自覚した時の主人公の心情描写に感動した。
麗考も良い奴。2人の関係が好き。
本好きなのでこういう本を守る話に心が擽られた。
ただ白雨が裏切ってるだろうなーというところは予想出来てしまったのがちょっと残念。白雨のちょっと狂ってる感じも萌えポイント←
Posted by ブクログ
「本が永遠に残るわけではない」
作中で文杏が答えを見出す問いだが、読みながら自分もどういう意味なのだろうとずっと考えていた。
電子媒体に比べて紙の方が保存期間は長いと言われるが、物理的に消滅してしまうことはあるだろう。
例えば、これも作中にあった焚書のように。
あるいは不注意によるもの、事故によるもの。
可能性だけなら、いくらでも提示できる。
ただ場所が場所だけに、そのような可能性が限定されてしまう。
舞台は仙文閣。
あらゆる書物が大切に保管されている書庫。
本を大事に思う者たちが管理している場所。
そしてそこはそもそも神仙が作った場所でもある。
恐らく世界で一番書物を大事にしている場所で、それでも「本が永遠に残るわけではない」と、よりによって仙文閣の人間が言うのかと。
そういう間違いが起きないために、あなた方がいるのではないのかと。
今にして思うと、文杏と同じく、視野狭窄に陥っていたと恥入るばかり。
本に限らず「存在しているのに存在していない」物は、それこそ身の回りにも溢れているだろう。
また、その価値が分からない者にとっては、例え目の前にあってもないのと同意であることも。
ならば、それを大事に思う者が取る行動とは。
「永遠に残す」ためにできることとは。
その一つの例が、答えが、この物語の中にある。
師の残した書物を守り通そうと奮闘する少女と、仙文閣で目録を整えようとしている青年の不器用な交流を
通して、実に様々なことを考えさせられたし、教えていただいたと思う。
体は滅びても言葉は残る。
それを残そうという意志が受け継がれる限り。
きっとそれは前述通り、本だけとは限らない。
様々なもの、ことに共通する大切な「もの」が、この物語の中では確かなものとして息づいている。
本好きにはたまらない巨大書庫という魅力的な世界観を堪能しつつ、その大切な「もの」に気づかせてくれるという、本当に魅力的な物語だった。
Posted by ブクログ
著者初読。龍ノ国幻想シリーズを読みたくて、でも手に入らなかったため、同じ様な世界観かと思い予習のつもりでこちらを手に取る。結果は大正解!面白かったー!中華風ファンタジーで、禁じられた本、消えてしまった本、それらが守られ読める場所、仙文閣という途方もなく大きな書庫を舞台にした物語。薄い本なのでサクッと読めるが、内容は山あり谷ありでしっかり充実!
Posted by ブクログ
この方の作品は正直展開が読めるんだけど、場面を飛ばさず読ませるのは筆力なんだと思う。
最後に文杏が自分で本を納めた場面が脳内で映像が拡がってそこが印象良かった。
続きがもしあれば読みたいし、バカどもにちゃんと天罰がくだったんだろうか。
本を焚かれて思想や文字を奪う。本当に愚かしいことだと思う。そして本に書いてるからと鵜呑みにする危うさやら色々と詰まっているなと思った。