【感想・ネタバレ】忘れられた花園 下のレビュー

あらすじ

2005年、オーストラリアのブリスベンで祖母ネルを看取ったカサンドラは、祖母からイギリス、コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した。1975年にネルはなぜそのコテージを買ったのか? ネルの遺したノートと古いお伽噺集を手にカサンドラはイギリスに渡る。今はホテルとなった豪壮な屋敷の敷地のはずれ、茨の迷路の先にコテージはあった。建物の手入れを進めるうちに彼女は、蔓植物に埋もれ、ひっそりと忘れられていた庭園を見出す。封印されていたその花園は何を告げるのか? ネルとはいったい誰だったのか? 屋敷の秘密とは?/解説=川出正樹

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三つの時代を行き来しながら話が進むが、上手く繋げられているためあまり混乱せずに読めた。
真実にあたるイライザのパートと、謎解きにあたるネル、カサンドラのパートが同時に進む構成も面白いし、徐々に真実が分かっていくのが楽しかった。ラストも前向きな終わりで良かった。

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上巻より)

22歳の時に、自分の子供ではないと父親に告げられ、
婚約を解消し、それまでの人生に背を向けたネル。
そのネルが、自分の出生を探しに訪れた秘密の花園にいた少年に、
ネルの足取りを追ってきた孫がめぐり合う。
ちょっとご都合過ぎると思いながらも、良かった。

自分や祖母の過去を追う謎解き自体も面白かったが、
挿入されたおとぎ話が美しい。
その美しさがこの物語の核だろう。

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2023年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読!
三つの時代を行ったり来たり。
闇のロンドン市中やコーンウォールの蔦に囲まれたお屋敷や庭、既視感たっぷりなのに何度ページを捲っても新しい。

私にとって一生モノの本です。

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2023年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3人の女性の視点で物語は進む。
章ごとに視点が目まぐるしく入れ替わり、少しずつ秘密が解かれていく構成。

主題は、ネルとは一体誰だったのか。読み進めていくと想像はできるけど、3人がたどり着く結末が気になり最後まで一気に読んでしまった。

ミステリというより、ハーレクイン。
読後感は良かった。

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2021年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

後半に入ってからの「花園」の象徴的存在感、イライザとローズの歪んだ友情、過去を辿る者と真実との微妙なずれ、謎の解きほぐされ方の物語としてのバランスが絶妙すぎる。

正直、結末は予想できたが、そこに至るまでの語りにのめり込んでしまい一気読み。

個人的には「半身」のキーワードが懐かしさと切なさを生み印象的だった。解説にも触れられていなかったと思うのだが、オマージュ的要素はあるような気がするのだが。

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2005年、オーストラリア。祖母を看取ったカサンドラは、葬儀の席で大叔母たちから実は祖母のネルが養子だったことを知らされる。驚くカサンドラだったが、ネルはもうひとつ謎を遺していた。オーストラリアから遠く離れたイギリスのコーンウォールにコテージを所有していたのだ。「これをカサンドラに遺贈する。いずれその意図を理解してくれることを願って」と書き残したネルの足跡を追って、はるばるコーンウォールのトレゲンナという村にたどり着いたカサンドラは、かつて貴族の邸宅だったブラックハースト荘で貴族の令嬢と童話作家と画家が過ごした日々にネルの出生の秘密が隠されているのを知る。百年の時を行き来しながら、一人の女性のアイデンティティにまつわる謎を追った歴史エンターテイメント。


時空を超えたシスターフッド、そして祖母と孫を描いた作品。ネルがなぜ偏屈ばあさんになったのか、その絡まった糸をときほぐすうちに、カサンドラが抱える傷も少しずつ癒されていく。心地よい距離感を保ったシンクロニシティとも言うべきこの関係性は、親娘間では書きにくいことのような気がする。
物語は3パートに分かれている。一つ目がカサンドラのパート。軽いタッチのロードムービーふうで、少しおせっかいなキャラクターが次々登場し、後半にはラブロマンスもある。二つ目はネルのパート。船でのかくれんぼの記憶に始まり、人生が一変してしまった婚約パーティーのこと、謎解きの果てにトレゲンナにたどり着いたことが描かれる。三つ目はイライザのパート。サラ・ウォーターズの『荊の城』を思いだすようなイライザの身の上とローズとの友情。三つのパートを細切れに語って謎の解明を引き延ばすと同時に、同じ人物の時を経た姿が多角的に描かれる構成になっている。
一番の眼目はブラックハースト荘のパートだが、ミステリーを意識した(?)ミスリードが余計に感じてしまう。イライザが実母に決まってるんだから、もっとローズとイライザとナサニエルをめぐるドロドロに注視してゴシック気分を盛り上げてほしかった。友情で繋がるローズとイライザ、性愛で繋がるローズとナサニエル、創作で繋がるイライザとナサニエル…という掘り下げがあるものと思っていたので肩透かしを食らった。イライザがだんだん破天荒じゃなくなるのも寂しい(これは物語上必然性があるが)。アデリーンの徹底した悪役ぶりが一番好感度高い。
でも作中でイライザが書いたとされる童話が全部ちゃんと面白いのは偉い。元々は「Authoress」という題にするつもりだったというから、イライザの人生から妖精物語が生みだされるその飛躍こそがテーマだったのだろう。直接血筋と関係があるネルやカサンドラだけでなく、ジュリアがローズのスクラップ帳を、クララがナサニエルの原画を、クリスチャンがイライザの庭をそれぞれ大事に思っているところは、創作物と時間の経過とその需要のあり方をあたたかく描いていると思った。
最初に「時空を超えたシスターフッド」と書いたのは、ネルもイライザもローズも苦しみ傷ついて、秘密を抱えたまま亡くなったが、その気持ちを受け取る相手が未来にいたのだとわかる物語だからだ。過去に苦しんだ人びとへの共感が、いま前を向くためのパワーに還元されていくというポジティブなメッセージがあるからこそ、二人のキャラクターの死の場面で終わるにもかかわらず、読後感は明るい。

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2020年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一番の謎は予想通りでしたが、面白かったです。
過去の人物視点で語られる事は、現在の人物は自分で調べないと知りえない事で、それも、詳細まではわからない、という構成も面白いです。

それから、作中にバーネットが登場するのですが、彼女がブラックハースト荘のガーデンパーティに招かれるのが1907年。『秘密の花園』の初版発行が1911年。成程、そういう仕掛けかぁ、と。

本編にはあまり関係がないのですが、読んでいて疑問に思った事が、訳者あとがきですべてツッコまれていたので、「あ、何だ、そう思ったのは私だけじゃなかったんだ!」と、少し面白かったです。

『秘密の花園』と『茨の城』がお好きな方にはおすすめです。

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2017年06月11日

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