あらすじ
毎晩夢に現れ、少しずつ近づいてくる巨大な虫。この虫に憑かれ眠れなくなっていた男子高校生の浅井は、見知らぬ女子生徒の祭火から解決法を教えられる。幼い頃に「しげとら」と取引し、その取り立てに怯える糸川葵もまた、同級生の祭火に、ある言葉をかけられて――怪異に直面した人の前に現れ、そっと助言をくれる少女・祭火小夜。彼女の抱える誰にも言えない秘密とは? 新しい「怖さ」が鮮烈な、第25回日本ホラー小説大賞&読者賞ダブル受賞作。
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Posted by ブクログ
3章の短編が祭火小夜という少女を軸に展開し、最後に収束する。ホラーの醍醐味の一つである、未知なるものに皆で立ち向かう、という点において素晴らしい。トリックも巧みで、仮に気づいたとて面白い。
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毎晩夢に現れる巨大なムカデに憑かれた男子高校生や幼少期に「しげとら」と取引しその取り立てに怯える女子高生に不思議な雰囲気の少女・祭火小夜が助言を与える連作短編集で、1~3話を経て4話で明かされる小夜が抱える秘密の正体が予想だにしないもので驚かされた。
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怪異や妖怪、幽霊といった類のものが好きなのでとてもスラスラ読めた。怖くはないが面白かった。
最後の兄のお話はなるほどなぁと思ったし、薄々勘付いてはいたがお兄さんがいい人だなぁって思った。
あと小夜ちゃんがかわいい。
Posted by ブクログ
シンプルに車を持ってる大人が頼りになる世界
実質竹中先生の後悔
前半の短編3つで祭火小夜の助言によって救われた人たちが後半の中編で救う側に回るシステム
どちらかというと前半の雰囲気の方が好き
ムカデ編で浅井くんの従兄弟が伝えるべき情報をあえて伝えなかったのは何が目的なんだよ
跡取りレースから脱落させようとしてんのか?
しげとら編は名前の由来と疑心暗鬼にさせるしげとらチェックが面白い
悩み相談した瞬間に裏切られるのたまらん
Posted by ブクログ
不可思議な体験にアドバイスをしてくれる少女とそれに助けられた人々の物語。彼女自身が一番の不可思議か?
綺麗に纏っている感じ。
続編…というか、短編集とかあったら読みたいかも。小夜ちゃんが可愛い❤️
Posted by ブクログ
読みやすくてライトな感じ。
第3話までの短編があって、第4話になる。色々とヒントが早いうちから出てくるので、早々に何が起こっているか察してしまうかも。ミステリーではなく、ホラーなので、それでも良いのかもなのですが、もうちょっとお話に振り回されたかった。
祭りの夜、という特別な雰囲気のありそうな設定なのに、祭りの描写が案外なくて、中秋の名月でも冬至でも……いや、うん、祭りの夜。登場人物たちもわりとザックリ思考な人たちなので、身の危険を感じているのか、心配になりつつ読んだ。
Posted by ブクログ
● 短話が綺麗にまとまっている
怪異と人間の対峙が短編形式で描かれている本作。
一本一本の物語の分量がちょうど良く、
まとまりがある。
怪異に対する忌避感や恐怖感はあまり強くなく、法則のある不思議な生き物という捉え方がメイン。
登場人物は、等身大で馴染みやすい。
行動理念も共感できる。
ホラー小説の中では
突出した作品ではないかもしれないが、
丁度良い面白さで読みやすい
怖いだけがホラー小説の魅力ではない
Posted by ブクログ
普段ならば自ら選ばないかなという本でしたがbooktuberさんが紹介していたのでなんとなく読みました。
想像よりも面白かったです。全4編の連作短編集で先に進むほどにストーリーのボリュームも大きくなるような構成なので先が知りたくてついいっきに読んでしまいます。そして続編も読みたくなります。
幽霊ではなくて化け物の話。最終話である程度小夜のバックグラウンドが明らかになります。
読後感が悪いということもなくて怖すぎることもないです。
Posted by ブクログ
不気味な描写の中に、どことなくおかしさもある怪異から一転、終盤はまさに命を懸けた鬼ごっこの様相を呈する、日本ホラー小説大賞、最後の大賞受賞作品。
ひっくり返された教室の床板、夜毎追いかけてくる巨大なムカデ、取引した人間を消すほどの力を持つ謎の存在「しげとら」
それぞれの怪異に翻弄される人々の前に現れるのは、怪異現象に詳しい美少女、祭火小夜(まつりびさや)。前半の三編ではそれぞれの視点から、怪異と小夜の活躍が描かれます。
民話や伝承にありそうな怪異を、巧く現代に落とし込んでいると思います。床下に潜むもの、巨大なムカデの気味悪さもさることながら、三話目「しげとら」の10年間に及ぶ物語は、語り手である糸川葵という少女の心理描写や追い込まれていく感じが、しっかりと描かれていて読み応えがありました。葵と小夜の関係性も雰囲気よく描かれていて、ホラーの中でも青春小説らしさを感じられる。
前半三編は怖さの中に、どことなく小噺めいたおかしさもあったりするのですが、最終話「祭りの夜」は一転して緊迫の展開。小夜に助けられた三人は、小夜からあるお願いをされます。それは兄を助けるため“魔物”を引き付ける囮として、一晩一緒に過ごしてほしいというもの。そして、魔物との命を懸けた鬼ごっこが描かれる。
魔物の描写で印象的なのは目。この目の描写が何とも不気味で想像力を掻き立てられる。そして四人に徐々に魔物が迫ってくるという緊張感が描かれる一方で、小夜の隠していた秘密も明らかになっていきます。
小説慣れしている人なら、前半の短編も最終話の展開も、先読みできるところは多いかもしれない。でも一方で物語の作りこみであったり、登場人物の描き方がとても真摯で誠実な印象を受けました。なんとなくだけど、著者の人柄が伺えるような作品。不気味さの中にある、物語自体の優しさがそう見せるのかも。
いい意味でホラー小説らしくない爽やかさが最後に残る作品でした。
第25回ホラー小説大賞〈大賞〉〈読者賞〉